米USTR、タイヤ大手グッドイヤーのメキシコ工場での労働権侵害が解決と発表
(米国、メキシコ)
ニューヨーク発
2024年02月06日
米国通商代表部(USTR)は2月5日、米国タイヤ大手グッドイヤーのメキシコ・サンルイスポトシ州の工場で発生していた労働権の侵害が解決されたと発表した。
この件についてUSTRは、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)で定めている「事業所特定の迅速な労働問題対応メカニズム(RRM)」に基づき、2023年5月にメキシコ政府に事実確認を要請し()、メキシコ政府はこの要請を受諾して調査を開始したと6月に通知していた(メキシコ政府、USMCAに基づく8件目のブラック)。その後、USTRは7月に、当該工場での労働権侵害の改善策についてメキシコ政府と合意し、グッドイヤーは改善策の履行を1月19日までに行うと定めていた()。
今回のUSTRの発表によると、メキシコ政府やグッドイヤーが履行した主な改善点は次のとおり。
- グッドイヤーによる、労働者1,186人に対する未払い賃金と手当として420万ドルの支払い
- グッドイヤーによる、結社の自由と団体交渉に関する企業ガイドラインの採択と掲示
- グッドイヤーによる、労働者の権利侵害や結社の自由・団体交渉に関するガイドライン違反を匿名で報告できる苦情処理メカニズムの設置
- メキシコ政府による、労働者への調査結果と改善策の説明と、結社の自由と団体交渉に関する企業職員向けの対面研修の実施
RRMでは、合意された改善策を履行すれば、今回の件は終了すると定めている。これにより、USTRのキャサリン・タイ代表は財務長官に指示していた当該事業所からの輸入製品に対する税関での精算留保を取り下げた。今回の問題解決により、米国がメキシコに対してこれまで発動した合計19件のRRM案件のうち、13件が解決したことになる(添付資料参照)。
(赤平大寿)
(米国、メキシコ)
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