カタクチイワシ漁の解禁がエルニーニョ現象の影響により遅延
(ペルー)
リマ発
2023年06月16日
ペルー生産省(PRODUCE)は6月8日、解禁が遅れている沿海北・中央部のペルー産カタクチイワシ(アンチョベータ)の2023年第1漁期(冬漁)を再び解禁しないと発表した。PRODUCEのラウル・ペレス・レジェス生産相は記者会見で、解禁の遅延は約20万人のカタクチイワシ漁業関係者の雇用と、ペルーの主要輸出産品である魚粉の輸出への影響(注)など、ペルー経済にとってマイナスとなるとコメントしている。
ペレス生産相は今回の決定理由について、ペルー海洋研究所(IMARPE)が6月3~7日に実施したカタクチイワシの資源状況調査の結果、漁獲対象サイズを下回る幼魚の数が調査量の86.3%、調査重量の77.0%に上ったためとしている。IMARPEのホルヘ・パス・アコスタ所長は資源状況について、沿海の海面温度が上がるエルニーニョ現象などの影響により、例年より資源量が減っているという。特に通常、海面近くにいるカタクチイワシが深海に移動しており、そのため成魚の重さも例年の12~15%減少していると分析。そのため資源保護の観点から今回の解禁見送り提言を行ったとしている。
PRODUCEは6月1日付で、第1漁における漁獲量を109万1,000トン(前年同期比39.1%減)に設定する省令第000191-2023-PRODUCE号を公布した。解禁時期については、IMARPEの調査結果に委ねていた。ペレス生産相は、今後の予定について2~3週間後に再びIMARPEによる海洋資源調査を実施することを示唆している。
(注)PRODUCEの予測では、今回の遅延により、魚粉の輸出量の30%(約10億5,000万ドル相当)が失われたという。
(設楽隆裕)
(ペルー)
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