米商務省、輸出管理違反の開示に関する政策方針を公表
(米国)
ニューヨーク発
2023年04月20日
米国商務省産業安全保障局(BIS)を所管するマシュー・アクセルロッド次官補は4月18日、輸出管理違反の開示に関する政策方針を明確化する覚書を公表した。覚書は、(1)自己の違反に関する自主的な開示(VSD)と(2)他者の違反に関する開示に分かれており、いずれについても国家安全保障リスクを軽減させる上で重要な行動だとして、産業界や学術界の協力を呼び掛ける内容となっている。
(1)に関して、BISは2022年6月に、EAR(輸出管理規則)の執行強化のために規則変更をしており、その中ではVSDを軽微なものと深刻なものに分けて対処するデュアルトラックの手続きを導入している(関連ブラック ジャック 勝率)。今回の覚書では、軽微な違反ではなく、潜在的に国家安全保障に脅威となり得る深刻な違反に関するVSDの申告数を増加させることに主眼があるとしている。BISはVSDを行う利点として、「BIS問題解決ガイドライン」において、時宜を得ており、包括的で、BISに全面的に協力するかたちでのVSDに対しては、民事罰として科される罰金額が軽減されるか、悪質なものでない場合は全額猶予される可能性もある点を挙げている。最近公開されたマイクロソフトによる違反事例でも、VSDにより罰金が軽減されたことが明らかになっている(米商務省と財務省、オンライン)。一方で、違反を関知しながらVSDを行わなかった場合は、ガイドライン上での罰則の「加重要素」になるとして警告を発している。
(2)に関しては、米国の機微な技術を保護することは官民が一体となって行うべきことだとし、他者の法令違反を関知した場合には積極的に通報するよう呼び掛けている。法令順守をしている企業が収益減を被り、順守していない企業が潤うという不公平な状況はつくりたくないとして、秘匿性が確保された通報フォームも活用するよう紹介している。また、BISへのこうした協力実績は、自身が将来に違反した場合に、罰則の「軽減要素」として勘案される利点があるとしている。さらに、米国政府による制裁に他社が違反している事実を、財務省の金融犯罪取り締まりネットワーク(FinCEN)または司法省に通報した場合、報奨金を受領できる可能性がある点も利点として挙げている。
(磯部真一)
(米国)
ビジネス短信 750594b0630fc102