4月1日から電気料金を平均11%引き上げ
(台湾)
中国北アジア課
2023年03月31日
台湾電力は3月29日、4月1日からの電気料金を平均11%引き上げると発表した。具体的な引き上げ率は以下のとおり。
- 産業用の高圧電力を使用する大口ユーザーの場合は17%。産業用であっても低圧電力を使用する内需型および中小企業は10%。ただし、2022年下半期(7~12月)の電力使用量が10%以上減少したユーザーの場合は、引き上げ率を半減する。
- 月間使用量700キロワット時(kWh)以下の住宅、1,500キロワット時(kWh)以下の商店、農業、漁業、学校は引き上げ対象外。月間使用量701~1,000kWhの住宅、1,501~3,000kWhの商店は3%。月間使用量1,001kWh以上の住宅は10%、3,001kWh以上の商店は5%。
台湾電力の発表によると、住宅の場合、夏期は88%、夏期以外では95%のユーザーの月間使用量は700kWh未満で、平均で93%のユーザーは値上げの対象外となる。
台湾では2021年以降、半導体をはじめとする台湾域内への工場増設などによる電力需要の急増に伴い大規模停電が複数回発生。蔡英文政権は2050年カーボンニュートラル達成のため、再生可能エネルギーの発電比率引き上げに取り組んでいるが、産業界からは安定的な電力供給の面で懸念の声が上がっている。さらに、2021年時点で発電量の9.6%を占める原子力発電所については、2025年には全ての稼働を停止する見通しで(注)、2023年3月14日には第2原子力発電所の2号機の運転を停止した。
台湾の電力価格は産業用・民生用ともに2021年時点では世界で4番目に安いが、この水準が今後も維持されるのか注目される。
(注)台湾の原子力発電所の原子炉は使用期限が40年と定められており、2025年5月末までに全ての原子炉が使用期限を迎える。台湾電力は、現在稼働中の原子炉に対していずれも延長申請を提出しておらず、廃炉計画を提出済みだ。
(江田真由美)
(台湾)
ビジネス短信 2e6d839afca47eb9