米USTR、米台イニシアチブ第1段階協定の発効を発表
(米国、台湾)
ニューヨーク発
2024年12月11日
米国通商代表部(USTR)は12月9日、「21世紀の貿易に関する米国・台湾イニシアチブ」の第1段階の協定が12月10日に発効すると発表した。第1段階の協定は2023年6月に、米国在台湾協会(AIT)と在米国台北経済文化代表処(TECRO)が署名していた。しかし、その後、同年8月に、米国で「21世紀の貿易に関する米国・台湾イニシアチブ実施法」が成立したため、大統領は、協定発効前に台湾側が協定の順守に必要な措置を講じたことなどを示す文書を議会に提出する必要があった(バイデン米大統領、ブラック ジャック)。
米国では、憲法上、諸外国との通商を規制する権限は連邦議会に与えられており、これまで市場アクセス交渉を含む自由貿易協定(FTA)は議会の承認の下で発効してきた。だがバイデン政権は、米台イニシアチブを含め、同政権下で交渉してきた通商協定には市場アクセスが含まれないことなどから、大統領が権限を有する行政取り決めの範囲内で締結できるとの立場をとってきた(注)。議会はこうした政権の姿勢に反発し、米台イニシアチブ実施法を成立させ、同イニシアチブの締結に対して、議会による審査や承認などを経る義務を課した。
今回発効する第1段階の協定では、税関手続きと貿易円滑化、良き規制慣行、サービスの国内規制、反腐敗、中小企業が規定されている。具体的には、税関手続きと貿易円滑化では税通関書類の電子化、良き規制慣行では中小企業が両市場の規制手続きをより理解できるツールやメカニズムの創設、サービスの国内規制ではサービス提供者が事業許可を申請する際に公平に扱われることの保証、反腐敗では贈収賄などを防止する包括的な汚職防止対策の実施、中小企業では研修、教育、ミッションなどを通じた中小企業の貿易投資の支援、などが規定されている。
なお、米国と台湾は、労働、環境、農業を対象とした第2段階の交渉を行っている(関連ブラック クイーン ブラック)。
(赤平大寿)
(米国、台湾)
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