英政府系開発金融、2021年の投資額は過去最高と発表

(英国、アフリカ、アジア)

ロンドン発

2022年07月13日

英国の政府系開発金融機関ブリティッシュ・インターナショナル・インベストメント(BII)は7月5日、2021年の年次報告書を発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。

報告書によると、BIIは2021年、新たに18億7,000万ポンド(約3,067億円、1ポンド=約164円)の投資にコミットしたとしている。単年の金額としては過去最大で、2020年の12億2,000万ポンドを大幅に上回った。地域別の内訳では、アフリカに13億4,510万ポンド、アジアに5億1,020万ポンドで、それぞれ投資総額の72%、27%となっている。BIIは、電力インフラへの投資により58テラワット時(TWh)相当の電力が発電されたほか、約94万人の労働者の雇用創出につながったとしている。

BIIの2021年の主な活動は以下のとおり。

〇デジタル・トランスフーメーション(DX)の加速

  • BIIは、ボーダフォン、南アフリカ共和国のボーダコム、ケニアのサファリコム、住友商事とコンソーシアムを組成、エチオピアのモバイルネットワークのライセンスを取得し、同国でのより良質かつ安価なデジタルサービスへのアクセスを提供予定。
  • 南アのリキッド・テレコムへの投資を通じ、アフリカの孤立した地域に対してインターネットへのアクセスを提供。

〇金融サービスの強化

  • BIIが間接出資するナイジェリアのエコバンクは、アフリカに(資金の)流動性を提供し、新型コロナウイルス感染拡大下で重要なサプライチェーンを支援し、製品・サービスへのアクセスを維持するための貿易金融施設を設立した。
  • ファーストバンク・ナイジェリアと連携し、女性が経営する企業や同国の中小企業に資金を提供。

〇最新インフラの構築

  • ドバイの港湾管理会社DPワールドとのパートナーシップを通じて、セネガル、エジプト、ソマリランドなどの港湾や回廊など、アフリカの港湾や内陸物流の近代化・拡大を支援。
  • インドの再エネ企業フォース・パートナー・エナジーへの投資を通じ、インド、スリランカ、バングラデシュ、インドネシア、ベトナムで約294メガワット(MW)規模の再生可能エネルギー発電に出資。

ニック・オドノホー最高責任者(CEO)は、BIIが開発途上国の新型コロナウイルス、気候変動、貧困への対応のために、再生可能エネルギー向けの3億3,000万ポンドを含む7億2,000万ポンドのインフラ投資や、4億7,900万ポンドの気候変動対策を支援する気候資金などに注力していることを紹介した。

(オステンドルフ・七海・ありさ)

(英国、アフリカ、アジア)

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