英開発担当相、スターマー政権の開発政策に関するアプローチを発表
(英国)
ロンドン発
2024年11月20日
英国のアネリース・ドッズ開発担当相兼女性・平等担当相は10月17日、英国王立国際問題研究所(チャタムハウス)での講演において、スターマー新政権としての国際開発に関するアプローチを発表した。開発政策における4つの「シフト」として、協調、多国間機関の改革、英国の持つ専門知識の活用、すべての者への機会拡大を挙げた。
ドッズ氏はまず、協調の例として、クリーン電力同盟(Clean Power Alliance)の発足や公正なエネルギー移行パートナーシップ(JETP)などを挙げ、これらを通じ開発途上国のグリーンへの移行を促進するとした。さらに、これまでの2国間モデルから、より幅広く連携を行うとし、傾聴する姿勢を示すとした。ドッズ氏は11月6日にも、気候関連投資について声明を発表した。適応(adaptation)に対する民間投資の動員が遅れていることを踏まえ、機関投資家、産業団体、多国間開発金融機関などとの連携に向けた意向を示した。
多国間機関の改革に関しては、パートナーと連携し人道支援、気候変動や女性支援などのさまざまな問題に取り組むとした。ファイナンスに関しては、キア・スターマー首相による国連総会の発言に言及、多国間開発金融機関の改革の加速を進めるとした。このほか、英国がこれまで各債権国に対して呼びかけてきた、気候(変動)にレジリエントな債務条項(CRDCs)の活用などについても触れた(2023年6月29日記事参照)。
英国の持つ専門知識の活用については、大学や金融機関、政府系開発金融機関の存在などに触れ、再生可能エネルギーや女性のエンパワーメントのほか、作物の品種改良や、新たな医薬品やワクチンの開発、環境負荷に配慮した鉱業といった研究・イノベーションなどの分野で途上国の支援を行うことができるとした。
すべての者への機会拡大については、人種やジェンダーなどの平等性を拡大、少数派に対する機会を提供していくとした。ドッズ氏は10月24日にも、世界銀行のジェンダー平等支援ファシリティに対し今後2年間で750万ポンド(約14億6,250万ポンド、1ポンド=約195円)を投じることを発表している。
(ワルダ・ホリー)
(英国)
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