パキスタン政府、2021~2022年度予算案を発表

(パキスタン)

カラチ発

2021年06月22日

パキスタンのショーカト・タリン財務相は6月11日、2021~2022年度(2021年7月~2022年6月)の予算案PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発表した。また、同時に、税制改正法案などPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。

歳出は8兆4,870億パキスタン・ルピー(約5兆9,400億円、1パキスタン・ルピー=約0.7円)で前年度比19%増と、「新型コロナ禍」後の持続的な経済成長を目指した大型予算となった。GDP成長率目標は4.8%とした。

歳出面においては、公共事業費(9,000億ルピー、前年度比38%増)、州政府などへの交付金(1兆3,700億ルピー、29%増)、各種補助金(6,820億ルピー、3.3倍)などが大きく増額された。国防費は1兆3,700億ルピーで6%増にとどまった。歳出における最大項目の利払い費(3兆600億ルピー、4%増)は、歳出全体に占める割合が36.1%となった。割合は前年度の41.3%からは約5ポイント改善した。歳入面においては、課税ベースの拡大や小売店へのPOS(Point of Purchase)機器導入などにより、5兆8,290億ルピー(前年度比17%増)という野心的な税収を見込んでいる。

発表された主なインセンティブや税制の変更点は以下のとおり。

  • 排気量850cc以下の現地生産の自動車について、売上税(GST)税率を17%から12.5%に引き下げ。連邦物品税(FED)税率2.5%の免税。また、850㏄以下の完成車(CBU)については、輸入時付加価値税(輸入時VAT)税率3%の免税。
  • ハイブリッド車の輸入時売上税と売上税の税率は、それぞれ17%から8.5%(1800ccまで)と12.75%(1801cc以上)に減税。
  • SEZ(特別経済区)企業については、2021年課税年度以降、ミニマム税(売上総利益の黒字・赤字にかかわらず、当該年度における売上高の1.5%相当と法人所得税を比較し、より大きい金額の方を支払う制度。別称:売上高税)が免税。
  • 企業一般に対するミニマム税率は、1.5%から1.25%へ減税。
  • 輸出品製造のための輸入原材料を中心に多くの品目の関税(CD)、追加関税(ACD)、調整関税(RD)を引き下げ(関税率表別表1PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)別表5PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))。
  • 所得税法65条Dの税額控除の廃止。同65条Dとは、企業が、2021年6月30日までに新株発行を通じた企業設立をした場合、所得税が5年間100%税額控除されるというもの。65条Dの廃止により、操業後10年間所得税が免税となるSEZへの進出が有利となる。
  • 国税庁(FRB)輸出促進制度(Export Facilitation Scheme)において、認定輸出企業による原材料や設備の輸入および同企業への販売は、所得税、売上税、関税、連邦物品税を免税。
  • 最低賃金は、月1万7,500ルピーから2万ルピーへ引き上げ。

(山口和紀)

(パキスタン)

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