パキスタン政府、IMFから約70億ドルの追加融資を獲得
(パキスタン)
カラチ発
2024年09月30日
IMF理事会は9月25日、パキスタンへの約70億ドルの追加融資プログラム〔拡大信用供与措置(EFF)、期間37カ月〕を承認した。当該プログラムによる第1弾の融資(約10億ドル)は、間を置かずに実施することが見込まれている。
パキスタン政府は、2024年4月にIMFからの30億ドルのつなぎ融資が終了して以降、マクロ経済のさらなる安定化に向けて、IMFと新たな融資プログラムの適用について協議を続けていた。IMFは7月時点で、パキスタン政府が歳入増に向けて増税や免税措置削減などの改革を推し進めることを前提に、今回の追加融資プログラムの適用について、スタッフレベル合意に達したと発表していた(2024年7月22日記事参照)。
今回のIMFの追加融資を足がかりにして、パキスタン政府は財政・金融政策の強化や、税基盤の強化・拡大、国営企業の管理改善などを推し進めることになる。とりわけ税基盤の強化・拡大については、連邦レベルで個人所得税・法人所得税の徴税や、州レベルでのサービス関連税・農業所得税の徴税強化を織り交ぜながら、段階的にGDP比の税収割合を増やしていく政策目標を掲げている。
2023/2024年度(2023年7月~2024年6月)の税収のGDP比は8.9%だったが、政府は2024/2025年度に1.5ポイント、融資プログラム期間中に3ポイントの引き上げを目指す。一方、州政府が法整備とともに進める農業所得税の制度整備は、これまで着手が難しかった分野で、今後の制度の定着と実効性が注目される。
IMFは半年ごとに同融資プログラムのレビューを行いながら、分割して融資を行う。仮に政策目標の未達が続けば、融資の見直しや厳しい改善要求がパキスタン政府に課されることになる。現地に進出する日系企業からは、IMFの追加融資は経済安定化に資するとして歓迎する声がある一方、特定の分野や法人形態に偏った徴税強化などに陥らず、政府には公平性や透明性を保ったかたちの対応を期待したいとの声が聞かれた。
(糸長真知)
(パキスタン)
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