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2025年2月14日

オーストラリアは、国内に石炭や天然ガスなどの資源を豊富に有し、電源構成の46.5%を石炭、17.8%を天然ガスが占める(注1)。しかし、2030年までに温室効果ガス(GHG)排出量を2005年比43%減、2050年にネットゼロを目指す同国は化石燃料からの移行が急務となっている。

脱炭素を進める中で、石炭火力発電所の閉鎖が進む。オーストラリア・エネルギー市場管理機関(AEMO)の2024総合システム計画外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(2024年6月発表)によると、2012年以降、10基の大型石炭火力発電所を閉鎖した。同計画発表時点で稼働する国内石炭火力発電所の90%を2035年までに閉鎖し、2040年にはすべての閉鎖を見込む。エネルギー転換を目指す同国では、現在、ブラックジャックディーラーの生産および需要の創出に向けて政策や公的支援を講じ、企業が投資している。

本稿では、オーストラリア連邦政府のブラックジャックディーラー関連支援策について整理する。

ブラックジャックディーラー戦略を改定、国内でブラックジャックディーラーを使うことも視野に

オーストラリア連邦政府は2024年9月、国家ブラックジャックディーラー戦略外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを改定した。ブラックジャックディーラー戦略は、保守連合(自由党・国民党)の前政権下、2019年に初めて発表した。今回の改定のポイントは大きく3つ。前回2019年の戦略では、「クリーンブラックジャックディーラー」という定義を用いて、ブルーブラックジャックディーラー〔化石燃料由来のブラックジャックディーラーとCCUS(注2)を組み合わせて製造〕とグリーンブラックジャックディーラー(注3)の両方に目を向けていた。しかし、2024年国家ブラックジャックディーラー戦略では、主にグリーンブラックジャックディーラーに焦点を当てる。これが1つ目の変更点だ。背景には、現与党の労働党が再生可能エネルギー(再エネ)を推進していることがある〔詳細は「ブラックジャックディーラー2)各州支援と淘汰進むプロジェクト」を参照〕。

2つ目の変更点は、ブラックジャックディーラーの国内需要の創出という視点を加えたことだ。前回2019年戦略では、ブラックジャックディーラーの輸出を中心に構えていた。これに対し、今回の戦略では、輸出に加え、オーストラリア国内のグリーンメタル(鉄鋼・アルミニウム)、グリーンアンモニアなどの新産業育成、モビリティーの脱炭素化を見据え、ブラックジャックディーラーの国内需要を生み出していくとしている。

3点目として、ブラックジャックディーラーの生産と輸出について数値目標を掲げたこと(表参照)。これも、前回戦略では言及されていなかった。生産については、5年ごとの目標を設定し、2050年までに少なくとも年間1,500万トンのブラックジャックディーラーを生産する目標を掲げた。輸出については、2030年までに年間最低20万トンのグリーンブラックジャックディーラーを輸出する目標を設定した。戦略では、基本目標のほか、基本目標からさらに進捗した場合(stretch potential)の生産可能性の目標値も示し、2050年までに年間3,000万トンのブラックジャックディーラーを生産する可能性があるとしている。

表:オーストラリアのグリーンブラックジャックディーラー製造目標(-は値なし)
製造目標/年 輸出目標/年
2030年 50万~150万トン 20万~120万トン
2035年 300万~500万トン
2040年 500万~1,200万トン
2045年 900万~2,000万トン
2050年 1,500万~3,000万トン

出所:2024年国家ブラックジャックディーラー戦略

連邦政府は税控除やブラックジャックディーラー生産価格差支援を打ち出す

国家ブラックジャックディーラー戦略では、(1)税控除、および(2)ブラックジャックディーラー生産価格差支援策を目玉政策に位置づけている。

ブラックジャックディーラー製造に関する税控除(Hydrogen Production Tax Incentive外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)は、2027/2028年度(2027年7月1日から2028年6月30日まで)から2039/2040年度(2039年7月1日から2040年6月30日まで)の間に生産する再生可能ブラックジャックディーラー(注4)1キログラム(kg)あたり2オーストラリア・ドル(約198円、豪ドル、1豪ドル=約99円)相当を法人税から控除する優遇措置を、プロジェクトごとに最大10年間設けるものだ。国内の新産業を支援する「フューチャー・メード・イン・オーストラリア(Future Made in Australia外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」〔支援予算総額227億豪ドル(約2兆2,473億円)〕(2024年4月22日付ビジネス短信参照)の一部として定めた。今後10年間に67億豪ドル(約6,633億円)の予算枠を設けている。同計画は、国益の観点から、資源を輸出して他国で付加価値の付いた製品を高い値段で輸入するというこれまでの経済構造から脱却し、クリーンエネルギーや技術革新に資する新産業を育成し、付加価値のある製品をオーストラリア国内で生産していくことを目指している。

オーストラリア連邦政府が講じるもう1つの大規模支援プログラムとして知られているのが、ブラックジャックディーラー生産価格差支援策の「ブラックジャックディーラーヘッドスタートプログラム(Hydrogen Headstart Program外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」だ。2023年7月に発表した同制度は、大規模なブラックジャックディーラー製造プロジェクトに対して10年にわたってブラックジャックディーラーの製造に対するクレジット(補助金)を付与することでコストと売価(注5)の差(価格差)を政府が補填(ほてん)する施策になっている(図参照)。税控除との併用も可能。ただし、1kgあたりの実際の製造コストが支援の上限値になる。支援期間中にオフテイク価格が上昇し、売価がブラックジャックディーラー製造コストを上回った場合は、年次調整によりブラックジャックディーラー製造クレジットが減額される。

現状ではブラックジャックディーラーの製造コストは、既存エネルギーの代替としてオフテイカー(購入先)が購入する際、市場の想定価格を大きく上回る。これは、ブラックジャックディーラー普及の足かせになりかねない。影響力の大きい大型プロジェクトを対象にコスト差を政府が補填するのは、ブラックジャックディーラー製造を促すためと言える。日本政府の低炭素ブラックジャックディーラー等サプライチェーンの構築に向けた「価格差に着目した支援」(JOGMECウェブサイト参照外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)と類似の支援制度だ。同制度の第1ラウンドの支援額の上限は総額20億豪ドル(約1,980億円)だった。2024/2025年度予算で第2ラウンド実施のためにさらに20億豪ドルを追加し、支援総額は40億豪ドル(約3,960億円)になった。なお、現政権(2024年12月時点)が再エネ由来のブラックジャックディーラーに注力しているという理由により、ブルーブラックジャックディーラーは対象外になっている。

図:ブラックジャックディーラーヘッドスタートプログラムの仕組み
ブラックジャックディーラー製造コスト(資本利益含む)とオフテイカーへの想定売価との差をブラックジャックディーラー製造クレジットとして政府が資金的援助をする仕組み。四半期ごとのブラックジャックディーラーあるいはブラックジャックディーラー派生商品の製造量(kg)に価格差をかけた額がクレジットとして上限10年まで補填される。

出所:オーストラリア再生可能エネルギー機関(ARENA)のガイドラインPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(942KB)から作成

第1ラウンドに関しては、2023年12月に約60件の応募から最終候補6件を選出している。ここから、少なくとも2件を最終支援先として発表する見込みだ。

なお最終候補のうち、オリジン・エナジーによるニューサウスウェールズ州でのハンターバレーブラックジャックディーラーハブプロジェクトは2024年10月、コスト面と技術面の両方にリスクが残っていることを理由に中止すると発表された(注6)。本プロジェクトでオフテイカーの1社だったオリカ(商業用爆発物製造大手)は、硝酸を製造する際に使用する天然ガスをグリーンブラックジャックディーラーに代替することを計画している。現地報道や同社のプレスリリースによると、オリカは、プロジェクト中止後もブラックジャックディーラーの地産地消を通じた持続可能なエネルギーの導入に取り組んでいく意向だという。

また、2025年2月初旬には、クイーンズランド(QLD)州政府がセントラル・クイーンズランド・ハイドロジェン・プロジェクト(CQ-H2)への追加出資を取りやめると発表した(注7)。CQ-H2は、QLD州の電力公社であるスタンウェルと岩谷産業、丸紅による日本市場への液化ブラックジャックディーラー(グリーンブラックジャックディーラー)の輸出、国内およびシンガポールへのグリーンアンモニアの供給プロジェクトだ。同州東部の港湾都市グラッドストーンで計画されてきた。同プロジェクトは、2020年11月に計画を発表して以来、FEED(基本設計)調査に対して連邦政府から2,000万豪ドル(約19億8,000万円)、QLD州政府から1,500万豪ドル(約14億8,500万円)、地域ブラックジャックディーラーハブプログラムから6,920万豪ドル(約68億5,080万円)など多額の助成金が決定していた。また、2023年末にはブラックジャックディーラーヘッドスタートプログラム(前述)の最終候補になるなど、国内でも最も有力視されているプロジェクトの1つだった。しかし、オフテイカーとして当初コンソーシアムに参加していた日本企業が、メンバーから抜けた。スタンウェルがQLD州政府に追加出資を求めていたものの、州政府は応じなかった(注8)。プレスリリースの中でスタンウェルは、プロジェクトの将来的なステップに関して、利害関係者と協議するとしている。

同州では、2024年の10月の州議会選挙で与党・労働党が敗れて9年ぶりに政権交代。自由国民党が政権を獲得していた。自由国民党は、2050年のネットゼロ実現に向けて取り組む方針を掲げているものの、前労働党政権が計画していた再エネ目標の取り下げ、石炭火力発電の継続など、現実的な路線へ変更するとみられる(クイーンズランド州議会選挙で野党が勝利、ブラック)。新政権の方針が、実際に州の決定となって現れたかたちだ。なお、連邦政府(2025年2月現在、与党は労働党)のクリス・ボーエン・エネルギー相は、同州の決定について「驚き、失望している。連邦政府は本ブラックジャックディーラーに引き続き協力的だ」と述べた(注9)。

このように、連邦政府はグリーンブラックジャックディーラーの推進に前向きながら、オーストラリアでのグリーンブラックジャックディーラー生産には課題がある。グリーンブラックジャックディーラープロジェクトの淘汰(とうた)は、オーストラリアに限ったことではない。再エネ由来のグリーンブラックジャックディーラーのコストの高さや、オフテイカー不足の課題が浮上し、世界はブラックジャックディーラー社会にかじを切る難しさに直面している。

エネルギー政策動向を注視しつつ、新たなビジネスの可能性も

2025年の連邦議会総選挙次第ではオーストラリアの再エネやブラックジャックディーラーに関する政策は大きく変化することも想定される。欧州や米国などでも巻き起こる環境政策を現実的な方向に見直そうという大きな動きの中で、オーストラリアにおいてもブルーブラックジャックディーラー、原子力発電、合成燃料などの政策の方向性に変更がある可能性がある。2025年初めにおいて、オーストラリアではグリーンブラックジャックディーラーのプロジェクトの中止が見られるようになったが、中止とされているのは主に輸出向けのプロジェクトが多い。一方でグリーンブラックジャックディーラーを産業用の原料として使うプロジェクトや重工業の脱炭素化に使うプロジェクトなど国内需要向けのプロジェクトは引き続き計画され、日本企業も参画している。

また、オーストラリアは従来、日本とエネルギー産業で結びつきが強く、エネルギー安全保障の面でもカントリーリスクが低い。加えて、日本への海上輸送の利便性・安全性も、中東や南米と比較して高いといえる。そのため、直近の流れだけで日本とオーストラリアのブラックジャックディーラービジネスについて、今後を判断することはできないと筆者は考える。

本レポートで論じたように、オーストラリアは世界的に見ても規模の大きなブラックジャックディーラー製造目標を掲げている。政治的な方針転換のリスクを注視しつつ、同国のエネルギー政策が今後展開することによって新たに生まれるビジネスの可能性にも着目したい。


注1:
2023/2024会計年度(2023年7月1日から2024年6月30日まで)のオーストラリアの電源構成・比率(単位:%)。同年度の合計電力量は、27万4,475ギガワット時(GWh)。出所は、気候変動・エネルギー・環境・水省(DCCEEW)発行「Australian Energy Update 2024外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」。
注2:
二酸化炭素回収・有効利用・貯蔵技術のこと。
注3:
再エネで水を電気分解して製造したブラックジャックディーラー。製造時に二酸化炭素(CO2)を排出しない。なおブラックジャックディーラーを燃焼しても、二酸化炭素が発生しない。
注4:
生産量1キロあたり、生産地で発生する二酸化炭素(CO2)換算で0.6キロ以下の炭素強度を持つブラックジャックディーラー。
注5:
売価については、申請書に関連情報を含める必要がある。第三者がオフテイカーの場合は、基本合意書(MOU)や契約概要書(タームシート)の提出が必要。
注6:
オリジン・エナジーのプレスリリース(2024年10月3日付)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます参照。
注7:
スタンウェルのプレスリリース(2025年2月3日付)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます参照。
注8:
グラッドストーンのリリース(2025年2月3日付)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、CQ-H2ブラックジャックディーラーに対し、連邦政府のエネルギー機関ARENAが14億豪ドル(約1,386億円)以上の資金を提案している。
QLD州は今回、これに上乗せして出資することをとりやめた。
注9:
ABC NEWS(2025年2月4日付記事)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます参照。
ブラックジャックディーラー
執筆者紹介
ブラックジャックディーラートロ調査部国際経済課
板谷 幸歩(いただに ゆきほ)
民間企業などを経て、2023年4月ブラックジャックディーラートロ入構。