地政学的影響を踏まえた中東・アフリカの物流動向ブラック ジャック トランプ やり方

イスラエルとハマスの衝突を契機に、イエメンのフーシ派が紅海で船舶を攻撃しており、スエズ運河の通航隻数は2024年9月には前年同月比60.2％減となった（2024年10月9日付ビジネス短信参照）。代替ブラック ジャック トランプ やり方トとして、海路では世界的に南アフリカ共和国の喜望峰ブラック ジャック トランプ やり方トが急増、航空貨物も、紅海の情勢悪化の影響に加え、Eコマースの需要拡大もあって、増加傾向だ。陸路では中国企業などによる中国と欧州をつなぐ鉄道（中欧班列）の利用が増加した。一方、貨物の混雑や輸送日数の増加、コスト増の懸念は残る。また、中東域内では物流インフラに課題もある。

本稿では、まず、紅海情勢悪化後の日本に関する貨物の動きについて、日系物流企業に行った取材の内容について解説する。次いで、世界での海路、空路、陸路の動向、加えて、中東の物流動向について概観する。

日本に関する物流・貨物の動き

2024年10月時点の日本に関する貨物や物流の状況について、日本の物流企業A社の海上貨物部門に話を聞いた（取材日：10月7日）。内容は次のとおり。

質問:

最近の紅海情勢による物流の変化やリスクは。

答え:

紅海情勢の悪化を受けて、物流が混乱し、特に2024年の夏ごろまでは、シンガポールなどで貨物船の混雑が発生した（ブラック ジャック 無料 ゲームビジネス情報）。一方で、新型コロナウイルス禍によるロックダウンの時とは異なり、紅海情勢の悪化があっても、南アフリカ共和国の喜望峰ブラック ジャック トランプ やり方トへ迂回することで、貨物は動いている。迂回により、航路にもよるが、輸送日数は10日程度増加し、最近では荷主も喜望峰ブラック ジャック トランプ やり方トの輸送日数で想定を始めている。運賃は各種要因により日々変動しており、9月時点では世界的な物流の混乱などもあり、日本発の欧州向け40フィートコンテナの輸送費が6,500ドルと高騰していた（11月時点では3,500ドルまで下落）。また、リスクを取ってスエズ運河を通行する船舶もあるため、物流の寸断という事態には至っていない。

喜望峰ブラック ジャック トランプ やり方トのリスクがあるとすれば、天候などによって海が荒れることによる、遅延発生などがある。現状、原油価格は落ち着いているが、もし燃料価格が上昇すれば、輸送日数が長い喜望峰ブラック ジャック トランプ やり方トでは特に輸送コストが上昇する。

質問:

日本の荷主のサプライチェーンに関する影響は。

答え:

紅海情勢悪化に限った話ではないが、新型コロナ禍での深刻な物流の混乱やロックダウンによる工場や港湾の停止を原因とする物資の供給不足を経て、各社が在庫を持つようになったとの話を聞く。また、新型コロナ禍による物流の混乱以降、各社は仕入れ国・仕入れ先を分散するなどの対応をしているようだ。紅海情勢悪化に加えて、たびたび発生する米国での港湾ストライキの影響などにも注視が必要だ。紅海情勢悪化には喜望峰ブラック ジャック トランプ やり方トへの迂回で対応が可能だが、ストライキで完全に港湾が止まる事案が発生すると、サプライチェーンへの影響が大きいためだ。また、コンテナ在庫について、日本は輸入量が多いので、コンテナ余剰が多いが、アジアなど輸出量が多い国からの輸送の際にはコンテナ不足になり、輸送が遅延する事例がある。

質問:

日本企業の鉄道や空路での貨物輸送の可能性は。

答え:

日本と中東間の貨物輸送における、夏以降の紅海情勢の影響は限定的だ。アジア欧州間の鉄道輸送を海上輸送のバックアッププランとして検討している。一方で、中国・コーカサス・欧州ブラック ジャック トランプ やり方ト（中欧班列）は、通常ならば、海上よりも輸送の日数は短いが、中国企業の貨物が多いために混雑しており、2カ月ほど待ち時間がかかるケースもある。また、鉄道の輸送価格も上昇している。

日本からの航空貨物については、中東情勢悪化に関して大きな影響は見受けられない。一方で、近年はEコマース関連の需要拡大により、航空便の利用が増加えており、航空貨物が混み合っている状況だ。

世界的に喜望峰ブラック ジャック トランプ やり方トでの迂回増加

次に、世界的な紅海ブラック ジャック トランプ やり方トの代替の動きについて、海路、空路、陸路に関して解説する。まず、前述のとおり、世界的に見ても喜望峰ブラック ジャック トランプ やり方トでの迂回がメインになっている。IMFによると、喜望峰を通航する船舶の数は、紅海での事案発生前と比べて、80％近く増加している（地政学的影響を踏まえた中東・アフリカの物流動向カジノ）。マースク、ハパックロイドなどコンテナ船社大手2社も、2024年10月時点で、2025年2月からの新連合「ジェミニコーポレーション」のサービスでは、紅海ブラック ジャック トランプ やり方トではなく喜望峰経由の航路から開始する方針を示す。

2024年夏以降の欧州アジア間の海上運賃は落ち着いてきた。他方で、中東のアラブ首長国連邦（UAE）からエジプト、トルコなどへの輸送は、スエズ運河が通行できない場合は大きく迂回することを余儀なくされるため、10月現在もスエズ運河経由の5倍の輸送価格となる時もあるという（本特集「ブラック クイーン ブラック ジャックブラック クイーン」参照）。

これまでアジアと欧州間について、西側ブラック ジャック トランプ やり方トを見てきたが、もし喜望峰ブラック ジャック トランプ やり方トも使えない場合、東側ブラック ジャック トランプ やり方トでは、アジアから北米に向かい、北米を越えて、欧州に至るブラック ジャック トランプ やり方トもあるにはあるという。

図1：紅海と喜望峰ブラック ジャック トランプ やり方ト

• 図1：印刷用PDF（602KB）

注：航路は一部。簡略化したイメージで掲載。
出所：海運会社ウェブサイト、各種報道、WTOなどからブラック ジャック トランプ やり方作成

世界では空路も増加、Eコマース需要も

航空輸送も、世界的には紅海ブラック ジャック トランプ やり方トの代替として活用されている。国際航空運送協会（IATA）によると、世界の2024年8月の航空貨物総需要（貨物トンキロベース）は、全体で前年同月比11.4％増となり、国際貨物では12.4％増だった。総需要の前年同月比で2桁の成長が9カ月連続となった。IATA事務局長のウィリー・ウォルシュ氏は「航空貨物市場の収益は前年同月比11.7％増、前月比2％増、新型コロナ禍前の水準より46％増となった。好調な業績は、世界貿易の緩やかながらも着実な成長、Eコマースの急成長、海上輸送の継続的な制限による」と述べ、紅海情勢の悪化の影響にも言及した。

8月の国際貨物量を地域別に見ると、アジア・太平洋が前年同月比15％増、欧州が14％増、北米が7％増、中東が14％増、南米が13％増、アフリカが8％増だった。特に欧州と中東間の航空貨物量は約3割増と伸びが目立ち、紅海迂回の影響が見られる。

中国から欧州への鉄道輸送は増加

アジアと欧州間の鉄道輸送について見る。中国と欧州を結ぶ国際貨物列車の中欧班列（複数回廊あり）は、中国も「一帯一路」の重要ブラック ジャック トランプ やり方トとして開発を進めてきた。運行本数の推移をみると、2011年から2022年にわたって、運航本数と輸送貨物量は一貫して増加傾向にある。中欧班列の累計運行本数は2024年1月までに約8万4,000本にのぼったという。

• 参考：2024年3月8日付地域・分析レポート「ブラック ジャック アプリと諸外国を結ぶ鉄道輸送網の動向運行本数は拡大傾向、品目も多様化（ブラック」
• 参考：2024年3月8日付地域・分析レポート「カジノ 無料 ゲームと諸外国を結ぶ鉄道輸送網の動向ロシア向けが増加、環境面でも優位（カジノ」

中国企業は、昨今の紅海情勢悪化の影響が大きいアジアと欧州間の代替ブラック ジャック トランプ やり方トとしても中欧班列を活用しており、2024年1～5月の中欧班列での貿易額は前年同期比21.6％増となった（2024年6月25日付ビジネス短信参照）。また、中国地方政府の補助金で運賃が安くなり、中国内陸部から欧州への輸送の際は、海路よりも安価になる場合もあるという。なお、在中国の日系輸送企業によると、以前は積み替えを行う国境で滞留が生じていたが、落ち着いたという。ロシアを通る北側ブラック ジャック トランプ やり方トは国境が少なく遅延がおきにくいが、ロシアを通過しない回廊（中国～中央アジア～コーカサス～欧州）では、輸送区間の一部や、黒海またはカスピ海を通る海路でおきる遅延に課題があるという（カジノ 無料 ゲーム、日系輸送会社に聞く）。

ロシアを通るブラック ジャック トランプ やり方トの貨物が多いが、ロシアを通らないコーカサスなどを通るブラック ジャック トランプ やり方トの中継地点となるトルコには、この課題への対応策として、鉄道など各種物流を手配する物流会社も存在する（2024年10月1日付地域・分析レポート参照）。

なお、ウラジオストクからモスクワに伸びる欧州向けのシベリア鉄道による輸送は、ロシアのウクライナ侵攻以降、ロシアへの制裁や安全上の懸念もあり、日本や欧米諸国は利用を避ける傾向にある。一方、その他の国の利用もあり、紅海情勢の悪化後、輸送量の増加が見られるという。

日本から中欧班列を利用の際には海路との組み合わせが必要となるほか、中国沿岸部の港から、内陸部の中欧班列の主要な出発駅である西安、重慶、成都などへ内航船や鉄道による輸送に日数がかかる。さらに、日本企業は欧州班列がロシアを通過するため、ウクライナ危機の影響などの懸念も示す。一方で、今後、日系企業が在中国の工場などから欧州へ輸送する際には、中欧班列を選択肢の一つとして検討もできる。

• 参考：2024年3月8日付地域・分析レポート「ブラック ジャック ストラテジーと諸外国を結ぶ鉄道輸送網の動向ブラック」
• 参考：2024年3月8日付地域・分析レポート「カジノ ブラック ジャックと諸外国を結ぶ鉄道輸送網の動向カジノ」

中国政府が2016年にまとめた中欧班列の整備計画「中欧班列建設発展規画（2016-2020）（中国語） （3.58MB）」の5ページに、各ブラック ジャック トランプ やり方トの地図が掲載されている。

図2：アジアと欧州間の陸路と海路

• 図2：印刷用PDF（366KB）

注：鉄道、航路は一部のみ。簡略化したイメージで掲載。
出所：世界銀行、海運会社ウェブサイト、各種報道、WTOなどからブラック ジャック トランプ やり方作成

中東では現状はインフラ未整備、開発計画も

中東域内の陸路は、これまで紛争なども多く、輸送インフラは未整備な部分も多い。他方、昨今の紅海情勢の悪化などを受け、計画段階の部分も多いが、各種の輸送構想に注目が集まっている。中東は歴史的に物流の交差点として発展してきたため、長期的に見れば、鉄道など陸路の開発が進む可能性はある。各国・地域の状況や主な回廊計画は次のとおり。

中東域内の鉄道・陸路事情

トルコやイランなど一部の国を除いて陸路は未整備で、国際接続も不十分だ（本特集「」参照）。このため、現在、紅海ブラック ジャック トランプ やり方トの代替として、スエズ運河よりアジア側の中東港湾から、欧州向けに鉄道やトラックでの輸送を行うことは難しい。なお、UAEのDP（ドバイ・ポーツ）ワールドが陸路と海路に加えて、空路を接続することで、中東の貿易ハブ機能の拡大を目指す動きもある（2024年6月10日付地域・分析レポート参照）。さらに、UAEのエティハドレールは、長期的には湾岸協力会議（GCC）6カ国とも接続する構想で開発中だ。

イランからの中央アジアなどへの南北国際輸送回廊（INSTC）

イランの南部チャーバハール港やバンダル・アッバースから鉄道により、（1）トルクメニスタンを越えて中央アジアへ、（2）アゼルバイジャンなどを越えてロシアへ、（3）トルコを越えて欧州へといった地域を結ぶ南北回廊で、インフラ整備、港湾と鉄道の接続、国際接続の発展などの計画が議論されている（2024年3月28日付地域・分析レポート「イラン海運産業の動向と課題」参照）。インドからの貨物需要も取り込むもくろみだ。

開発道路プロジェクト（イラクとトルコ・欧州を結ぶ鉄道・道路）

トルコのレジェップ・タイップ・エルドアン大統領が2024年4月、イラクを訪問した際に、イラクからトルコを抜けて欧州を結ぶ「開発道路プロジェクト」の覚書に調印した。もし完成すれば、イラクのグランド・ファウ港からロンドンまで、道路と鉄道によって結ばれる計画だ。このブラック ジャック トランプ やり方トでは、スエズ運河経由と比べて、15日間の輸送日数の短縮が可能になるとした（トルコのエルドアン大統領がイラク訪問、ブラック）。

インド・中東・欧州経済回廊（IMEC）

インド洋からUAEのジュベル・アリ港経由で、鉄道にてアラビア半島を横切り、サウジアラビア、ヨルダン、イスラエルを経て欧州へと通じる物流ブラック ジャック トランプ やり方トを構築する構想。新たな経済回廊を確立するプロジェクトとして、2023年9月にG20サミットで米国、欧州、インドや関係国などが覚書に調印した。その後、イスラエルとハマスとの衝突の発生などが、この計画の実現を困難にしている。

サウジアラビアの陸路事情

サウジアラビアは、紅海にもペルシャ湾にも面している。イエメンのフーシ派の船舶攻撃により、サウジアラビアの紅海側のジッダ港やキングアブドゥッラー港での荷揚げは減少し、同国のペルシャ湾側のキング・アブドゥルアズィーズ港（ダンマン港）での荷揚げが増え、トラックでジッダへの輸送も行われている（）。一方、リヤドで10月に「グローバル・ロジスティクス・フォーラム2024」が開催され、同国政府は輸送・物流部門の変革を促進し、貿易と物流の世界的なハブとしての地位の確立を目指しているとした（2024年10月17日付ビジネス短信参照）。また、同国では企業誘致や経済多様化のため、5カ所の経済特区を設けており、そううちの1つとしてリヤドのキング・ハーリド国際空港に隣接する総合物流特区を設置している（サウジアラビアのブラック ジャック オンライン概要）。

注：簡略化したイメージで掲載。
出所：ブラック ジャック トランプ やり方作成

喜望峰ブラック ジャック トランプ やり方ト常態化に留意

2024年10月下旬現在では、イスラエルとハマスの衝突はより広域の争いへと発展している。イスラエルのレバノンへの攻撃激化や、イランとの関係悪化などもあり、直近ではイランと関係の深いイエメンのフーシ派による紅海での船舶攻撃も止まる可能性は低い。

紅海の不安定な状況は長期化する見通しがあり、各種代替ブラック ジャック トランプ やり方トもあるが、しばらくは欧州とアジア間では喜望峰ブラック ジャック トランプ やり方トが常態化する可能性がある。貿易の寸断には至らずとも、輸送日数の増加に留意し、部品供給や商品輸出の際のリードタイムを計算する必要がある。前述のとおり、在庫を一定量ストックする例もある。付加価値の高い商品や少量の貨物などは、航空便の利用が代替案となる。この他、中欧班列も中国の工場からの輸送の際には利用も検討できる。

出所：国土交通省、物流会社、各国運輸当局ウェブよりブラック ジャック トランプ やり方作成

また、中央アジアやコーカサス、トルコやイランなどの中東地域を抜ける複数の回廊の整備にも注目が集まる。長期的に見ると、もし鉄道ブラック ジャック トランプ やり方トのインフラ整備や投資が進めば、将来的には陸路がアジアと欧州間の海上貨物の代替ブラック ジャック トランプ やり方トとしてある程度機能する可能性もある。

湾岸諸国のサウジアラビア、クウェート、カタール、UAEなどはカントリーリスクが低く、治安や政情が安定しているが、一部の国では地政学的なリスクがあり、ビジネスに当たっては最新情報の収集が重要だ。