カジノ ブラック ジャックE)
2024年6月10日
カジノ ブラック ジャックを有するアラブ首長国連邦(UAE)のドバイ。中継貿易拠点としても知られるジュベル・アリ港は、180以上の航路から貨物が集まり、2023年の年間取扱コンテナ量の規模は1,450万TEU(1TEUは20フィートコンテナ換算)の規模を誇る。港湾と隣接するフリーゾーン「ジュベル・アリ・フリーゾーン(JAFZA )」には、日本企業も多数入居する。貿易ハブのみならず、ビジネスハブとして発展するジュベル・アリ港およびJAFZAの特徴について、これらを運営しているDP(ドバイ・ポーツ)ワールドのシニアリレーションシップマネジャーである島嵜彩子(しまざき・さいこ)氏に話を聞いた。同氏は2016年にJAFZAへ入社し、ストラテジックアカウント部門で主にITエレクトロニック分野の優良顧客企業を担当している(取材日:2024年1月6日、3月11日、4月29日)。
- 質問:
- ジュベル・アリ港の特徴は。
- 答え:
- ジュベル・アリ港は中東最大の港湾で、ドバイのGDPに33%の貢献をしている。産油国として知られるアラブ首長国連邦(UAE)だが、実はそのほとんどがアブダビで採れ、ドバイではほとんど採れない。このような環境であることから、現在の会長兼最高経営責任者のスルタン・ビン・スレイヤン氏が、かつて、石油からではない収入を得る方法として、港湾を整備して大型船が寄港できる環境を整え、外国企業に優遇措置を提供して誘致し、貿易ハブとして経済を発展させようと考えたことに始まっている。地理的な特徴を生かし、かつ歴史的に中継貿易拠点として発展してきている。
- さらに、ジュベル・アリ港の最大の特徴は、マルチモーダル(注)にも対応した保税扱いで貨物を扱える物流回廊を成していることだ。ジュベル・アリ港は、貨物を主に扱うアル・マクトゥーム国際空港と非常に近い距離にある。ジュベル・アリ港から保税扱いでアル・マクトゥーム国際空港へ貨物を入れられるので、海運貨物から航空貨物への積み替えが容易にできる環境にある。港湾から空港までは距離にして24キロで1本の道路でつながっており、最短30分で積み替えが可能だ。アル・マクトゥーム国際空港は、今後10年以内にさらなる開発で5本の平行滑走路と400の航空機ゲート建設に約350億ドル投資すると発表した。完成すると、現在のドバイ国際空港の5倍の広さになり、2億6,000万人の旅客と1,200万トンの貨物取扱量を誇る世界最大の空港となる(2024年5月2日付ビジネス短信参照)。また、UAEの各首長国および長期的には湾岸協力会議(GCC)6カ国とも接続する構想で開発中の鉄道網「エティハドレール」は、現在、アブダビとドバイ間を結ぶ路線でジュベル・アリ港にデポ(小型物流拠点)を建設中だ。また、周辺地域の航路に変化がある昨今、DPワールドは、ジュベル・アリ港からトラック輸送に積み替えてサウジアラビアのダンマン港あるいはジッダ港向け、そしてGCCおよびレバント(東部地中海沿岸地方)諸国へ貨物を送り出している。こうして、ジュベル・アリ港は空と陸と海をつなぎ、道路、港湾、航空、鉄道網に至るまで、マルチモーダルにも対応した保税扱いで貨物を扱うことができる。物流回廊の強みを生かし、さらなる外資企業の進出を見込んでいく。
- 質問:
- 港湾オペレーションの工夫や課題は。
- 答え:
- これだけの貨物量を扱うには、運営においても効率性が求められる。ジュベル・アリ港では、IOT(モノのインターネット)など最新技術を取り入れたオペレーションの自動化およびデジタル化が進んでいる。デジタルトラッキングシステムの導入により、輸送状況の追跡ができるうえ、通関手続き、陸送ドライバーのアレンジもペーパーレスでできる。今後、デジタル化されたビックデータのAI(人工知能)分析により、海運市場の変動予測、コスト削減、異常検知など、オペレーションの一層の効率化を図る計画だ。
- 質問:
- DPワールド社はどのような事業を行っているのか。
- 答え:
- 当社はエンド・ツー・エンド物流ソリューションプロバイダーのグローバルリーダーで、世界の貿易量の約10%を取り扱っており、現在、世界で78カ所の港湾(コンテナターミナル)を運営している。また、港湾運営だけではなく、経済特区ビジネス、マリーンサービス、物流サービスなども国内外で提供している。もともとは、ドバイ港湾局(DP Authority)としてスタートし、ドバイのミナラシッド港とジュベル・アリ港の2つの港湾オペレーターとして活動していた。その後、サウジアラビアのジッダDPインターナショナルをはじめとして次々とカジノ ブラック ジャックで港湾事業を手掛けていった。
- 1975年には、経済特区JAFZAの運営を開始し、貿易、製造、物流ライセンスの発行や法律・税制面などでのインセンティブを提供し、外国企業の誘致に努めた。当時、スルタン・ビン・スレイヤン氏は自ら日本へ渡航して日本企業を訪問し、誘致活動を行った。1991年にソニーが日本企業で初めてJAFZAに入居し、その後、東芝、パナソニックなどもそれに続いた。現在は世界中から約1万社がJAFZAに入居しており、駐在員事務所、セールスオフィス、倉庫、サービス拠点、リペア拠点などさまざまな形態で進出している。
- 現在、カジノ ブラック ジャックの港湾運営の実績では、UAEと経済的な関係が深いインドで、港湾運営と経済特区運営に力を入れている。直近では、これらの運営に約30億ドル規模の投資を行うことを発表した。DPワールドは多角的な経営展開をしているところが大きな特徴だ。
- 質問:
- 日本企業がJAFZAに入居するメリットは。
- 答え:
- まずは、「海から物を持ってくる」企業にとってはジュベル・アリ港に隣接している点に最大のメリットがあるだろう。海と空の両方で製品を運ぶ環境が整っており、そこへさらに鉄道が完成すれば唯一無二の物流エコシステムとなる。また、JAFZAでは、輸出入のみならず、商品の梱包(こんぽう)あるいは再梱包、組み立て、ラベリングなど、製造加工ができる環境を兼ね備えている。さらに、JAFZA内の企業間売買は非常に簡単な手続きで可能だ。ジュベル・アリ港は大型の船も寄港でき、船便の数も多い。これらの点から、GCCやその他諸外国への再輸出には最適な場所といえる。
- 次に、DPワールドの多角的経営を生かした、多面的なサポートが提供可能である点だ。ライセンスの取得や事務的なサービスはもちろんのこと、人材派遣、廃棄物管理、物流面でのサポートをも実施しており、貿易に関して必要な業務は全てJAFZA内で完結する仕組みになっている。
- さらに、歴史的に日本企業が多く入居してきたJAFZAでは、日本企業を対象にイベントを開催したり、日本企業の声を束ねてさまざまな公的機関に意見を届けたりと積極的に日本企業を支援している。
- 注:
- 複数の輸送手段を連携させて、利用者のニーズに合致した効率的輸送方法。
- 執筆者紹介
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ジェトロ・ドバイ事務所
清水 美香(しみず みか) - 2010年、ジェトロ入構。カジノ ブラック ジャック調査部中東アフリカ課、カジノ ブラック ジャック調査企画課、ジェトロ埼玉などを経て、2023年9月から現職。