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第三国での日韓産業協力を探る(2)

2024年12月4日

シリーズの2回目はベトナム。ベトナムでは、日本も韓国も多くの企業が多様な業種に進出し、活発にビジネスを展開している。カジノ 無料 ゲーム、KOTRA(大韓貿易投資振興公社)によると、日本企業は約2,500社、韓国企業は約9,000社がベトナムに進出している。インドやインドネシアと比べ、韓国企業の進出数が日本企業をはるかに上回っているのが特徴だ。ベトナム投資庁(FIA)によると、ベトナムの対内直接投資累計額で韓国がトップだ。(1回目は「インドにおける日韓産業協力」、3回目は「ブラック ジャック ブラック クイーン」を参照。)

エレクトロニクス分野でのサプライチェーン強靭(きょうじん)化やリスク分散を狙った日韓協力が可能

まず、日韓企業の対ベトナム直接投資の動向を業種別にみてみよう(表1)。日韓ともに製造業が半分以上を占めているものの、韓国は投資金額の61.6%、日本は51.0%と、韓国はより製造業の割合が高い。製造業の内訳をみると、韓国はエレクトロニクス関係(「電気装備、電子部品・コンピュータ・映像・音響・通信装備」)が21.7%と最も高い割合を占める。これはサムスン電子やLG電子など、韓国のエレクトロニクス大手やその関連企業による投資と思われる。エレクトロニクスに次いで「繊維、衣服」(12.9%)、「金属加工製品、1次金属」(7.4%)が続く。一方、日本は韓国とは異なり、特定業種に対して投資は集中しておらず、「一般機械器具」「電気機器器具」「鉄・非鉄・金属」など、幅広い業種で投資が行われている。非製造業分野の業種割合でも日韓は多少、傾向が異なる。韓国は「金融および保険業」(9.4%)、「鉱業」(7.7%)、「建設業」(4.2%)が上位を占めているのに対し、日本は「金融・保険業」(23.2%)、「不動産業」(11.5%)、「卸売・小売業」(3.9%)が上位を占めている。日韓ともに金融・保険業の分野での投資が活発だが、それ以外の分野では傾向が異なる。

表1:日韓の対ベトナム業種別直接投資

韓国(単位:100万ドル、%)
業種 法人数 投資
金額
金額
構成比
製造業 4,727 22,513 61.6
階層レベル2の項目食料品 132 599 1.6
階層レベル2の項目繊維、衣服 1,139 4,709 12.9
階層レベル2の項目木材・パルプ 154 288 0.8
階層レベル2の項目化学・医療 407 2,234 6.1
階層レベル2の項目石油精製品、コークス、煙炭 11 23 0.1
階層レベル2の項目ゴム・プラスチック 341 1,172 3.2
階層レベル2の項目非金属鉱物製品 74 517 1.4
階層レベル2の項目金属加工製品、1次金属 426 2,688 7.4
階層レベル2の項目産業用機械、その他機械・装備 460 1,048 2.9
階層レベル2の項目電気装備、電子部品・コンピュータ・映像・音響・通信装備 1,110 7,912 21.7
階層レベル2の項目自動車、その他運送装備 221 936 2.6
階層レベル2の項目その他製造業 252 386 1.1
非製造業 3,778 14,006 38.4
階層レベル2の項目農業、林業、漁業 46 80 0.2
階層レベル2の項目鉱業 18 2,826 7.7
階層レベル2の項目建設業 593 1,526 4.2
階層レベル2の項目運輸および倉庫業 177 227 0.6
階層レベル2の項目情報通信業 369 451 1.2
階層レベル2の項目卸売・小売業 1,183 1,717 4.7
階層レベル2の項目金融および保険業 96 3,431 9.4
階層レベル2の項目不動産業 231 1,632 4.5
階層レベル2の項目サービス業、その他 1,065 2,116 5.8
合計 8,505 36,519 100.0
日本(単位:100万ドル、%)(△はマイナス値)
業種 残高 構成比
製造業 12,162 51.0
階層レベル2の項目食料品 864 3.6
階層レベル2の項目繊維 373 1.6
階層レベル2の項目木材・パルプ 511 2.1
階層レベル2の項目化学・医薬 1,296 5.4
階層レベル2の項目石油 △ 264
階層レベル2の項目ゴム・皮革 164 0.7
階層レベル2の項目ガラス・土石 414 1.7
階層レベル2の項目鉄・非鉄・金属 1,649 6.9
階層レベル2の項目一般機械器具 2,134 9.0
階層レベル2の項目電気機械器具 1,701 7.1
階層レベル2の項目輸送機械器具 1,417 5.9
階層レベル2の項目精密機械器具 707 3.0
非製造業 11,668 49.0
階層レベル2の項目農・林業、漁・水産業 19 0.1
階層レベル2の項目鉱業
階層レベル2の項目建設業 281 1.2
階層レベル2の項目運輸業 417 1.8
階層レベル2の項目通信業 50 0.2
階層レベル2の項目卸売・小売業 919 3.9
階層レベル2の項目金融・保険業 5,524 23.2
階層レベル2の項目不動産業 2,740 11.5
階層レベル2の項目サービス業 458 1.9
合計 23,830 100.0

注1:韓国は実行ベースの2023年までの累計。日本は国際収支ベースの2023年末。
注2:日本は円ベースのデータからカジノ 無料 ゲームでドル換算(2024年7月2日レートの100円=0.6185ドルを適用)。
注3:韓国の業種分類は日本に合わせてカジノ 無料 ゲームで再構成。
注4:日本の場合、報告件数が3件に満たない項目は、個別データ保護の観点から「-」と表示。
注5:日本の製造業、非製造業は、各内訳項目に、「-」、「その他」を加えた合計であり、各業種の合計と一致しない。
出所:韓国は韓国輸出入銀行、日本は日本銀行

次に、現地インタビュー調査などからみた、ベトナムにおける日韓企業の産業協力事例や、可能性、ニーズを紹介する。まず、サムスン電子やLG電子など、韓国の大手企業が活発にビジネスを展開しているエレクトロニクス分野だ。特にサムスン電子は、ベトナム北部のバクニン省、タイグエン省でスマートフォン工場などを運営しており、従業員数は10万人を超えるという。関係会社やベンダー企業まで入れると、韓国企業300社余りが同地域に集中しており、従業員は17万人に上る。インタビューでは、韓国大手エレクトロニクスメーカーと日系部品・素材・装置企業がサプライチェーン全体で連携できる可能性が確認できた。逆に、韓国の大手企業への納品狙いでベトナムに進出している韓国のベンダーがリスク分散目的で、日系企業を含む他国企業との協力を視野に入れているケースも聞かれた。関連インタビュー内容は次のとおり。

(韓国系公的機関、K社)韓国からの投資は圧倒的にエレクトロニクス分野が多い。安定的なサプライチェーン管理のため、日系企業との協力が必要。

(韓国系部品メーカー、F社)サムスン電子のベンダーとしてベトナムに進出した。売り上げの8割がサムスン電子向けだ。しかし、サムスン電子のみではリスクがあるので、日系を含む外国企業との取引関係を拡大したい。当社のみならず、ベトナムに進出している韓国企業の大半の課題だ。ベトナム国内であれば、日韓企業間での競合関係も強くない。

次は、インフラ・エネルギー分野だ。この分野では、ベトナムのみならず様々な国で、第三国での日韓産業協力事例がしばしば紹介される。日韓相互のニーズが合致し、協力が最も活発な分野だ。膨大な投資資金やノウハウ、ネットワークなどが必要であるため、日韓それぞれが得意とする分野の強みを生かして協力している。ベトナムでは、2022年8月に完工したタインホア省の「ギソン2石炭火力発電所」()、2025年10月に完工予定のハティン省の「ブンアン2石炭火力発電所」が日韓産業協力事例として有名だ。しかし、従来の石炭火力発電所事業は、脱炭素に向けた世界的な建設需要の減少により、今後の事業拡大が厳しいため、新たな分野での協力を探る必要がある。インタビュー結果は次のとおり。

(韓国系エネルギー企業、K社)日系商社の経験や情報力、ネットワークなどが石炭火力発電所プロジェクトの成功要因だった。資金調達では、両国の政策金融機関も重要な役割を演じた。日本は政府、関係機関が固くつながっている印象を受けた。問題発生時には、大使館、カジノ 無料 ゲーム、商工会議所、民間企業が積極的に問題解決に向けて取り組んでいた。日韓は中長期的には、脱炭素に向けた水素・アンモニア分野での協力を推進すべき。

(日系商社、M社)韓国企業と石炭火力発電所プロジェクトを2011年からスタートし、2022年に完工。韓国企業の強みは営業力。また、柔軟性もある。発電所の工事は韓国企業が行い、問題なく遂行した。韓国人がベトナムで起業して成功したケースも多数ある。元駐在員がスピンアウトして起業した発電所のメンテナンス事業を行う会社があるが、価格が安く、品質も高く、よいパートナーだ。

(日系エンジニアリング、J社)エンジニアリング分野で日韓は競合関係のところが多いが、ゴミ処理やバイオマス分野などで日本が技術プロバイダーになり、韓国がEPC(設計、調達、建設)を担当するケースはあり得る。

ベトナムでの日韓交流の場を期待する声も

次いで、業種横断的な日韓産業協力を紹介しよう。業種横断的とは、特定の産業分野での協力ではなく、異業種分野間の交流、産業協力の前段階のネットワーク形成、日韓共同での課題解決など、幅広い分野の協力を意味する。インタビューでは、次のように多くの企業が産業横断的な協力を言及した。

(日系部品メーカー、M社)最先端のことをしようとした時に、電力や法制度が足かせになっている。それを日韓で訴えていくことはあり得るのではないか。

(韓国系エネルギー企業、K社)ベトナムでは公式の日韓のネットワークがない。2023年11月にカジノ 無料 ゲームとKOTRAなどが主催した「第1回 日韓ビジネスネットワーキング(ハノイ)」(注)は非常によかった。このような場で定期的に日韓企業が会うことは良いことだ。

(日系商社、M社)ベトナムは韓国の「裏庭」だが、ベトナム人は日本が好きだ。韓国人と日本人が力を合わせるとよい。ジョイントベンチャー(JV)の成功可能性も高い。

(韓国系部品メーカー、F社)現在、ベトナムでは日本企業との取引はない。しかし、以前、取引の話があった日本企業、今も話が続いている日本企業がある。公的セクターなどに日韓の中小企業間の情報交換の場を作ってもらいたい。当社は電子部品がメインだが、自動車関連部品にも転用できるものがあり、業種横断的な交流の場がほしい。

業種横断的な分野として、日韓のスタートアップを巡る協力も紹介したい。成長する市場を狙い、日韓の多数のスタートアップがベトナムに進出している。ベトナムで成功した日本のスタートアップはピザレストランの「Pizza 4P's(ピザフォーピース)」、フードデリバリーサービスの「Capichi」など、非製造業が中心なのに対し、韓国はサステナビリティー、GX(グリーントランスフォーメーション)、製造業分野への進出が多い。このような傾向に着目し、次のように、韓国のスタートアップと連携してベトナムでのビジネス展開を企画している日系商社もある。

(日系商社、M社)サステナビリティー、GX分野など、多数の韓国のスタートアップがベトナムに進出しており、その数は年間10社以上だ。当社もベトナムでサステナビリティー、GX分野の新規ビジネスを計画しており、韓国の関連スタートアップとの連携を模索している。韓国のスタートアップは、当社のブランドを使って大きくなり、ベトナム以外の第三国への進出も可能になる。協力の方法としては、最初は市場開拓を当社が支援し、その後は投資なども検討できる。

これまで紹介した日韓の協力の現状と可能性をまとめると、表2のとおり。本稿で紹介した業種以外でも、日韓の産業協力の事例や可能性はあろう。特に今後、人口増加や消費水準向上により、急激な伸びが期待できるサービス産業、文化コンテンツ産業、次世代モビリティー産業などでの日韓の産業協力は「可能」を超えて「必須」となろう。

表2:日韓企業の業種別産業協力現状および可能性
業種 進出度合い 協力現状・可能性 協力内容・可能分野
日本 韓国
エレクトロニクス
  • サプライチェーン全分野
  • 日本は、部品・素材・装備、韓国は組み立て
インフラ・エネルギー
  • 相互のニーズが最も合致
  • 従来の石炭発電分野などは限定的。今後は、GX分野へ
業種横断的 - -
  • 日韓の企業間交流事業へのニーズ大
スタートアップ
  • 韓国スタートアップへの日系商社からの投資

注:◎→○→△の順で程度の強度をいう。
出所:カジノ 無料 ゲーム作成

カジノ 無料 ゲーム:メイコー

最後に、カジノ 無料 ゲームを2件、紹介する。

1つ目は、日本のプリント基板メーカーのメイコー(同社ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)だ。2007年にベトナム法人を立ち上げ、活発にビジネスを展開している。Meiko Electronics Vietnam Co., Ltd.(以下、メイコーベトナム)のゼネラルディレクターの井田秀二氏(役職名は当時)に、ビジネスの概要や日韓協力関係などを聞いた(2024年6月17日)。

質問:
メイコーベトナムの設立背景や事業内容は。
答え:
2007年にベトナムで現地法人を立ち上げ、プリント基板の設計や製造、販売を行っている。主な生産品は車載・スマートフォン向けのプリント基板だ。2001年から中国工場(広州、武漢)を操業していたが、中国拠点に加え、タイまたはベトナムへの進出を検討することとなり、政治情勢が安定していたベトナムに決めた。その後、ハノイとホーチミンを比較し、中国からのアクセスが空路、陸路、海路いずれも容易なハノイを拠点に決定した。特に新型コロナ禍では、ハノイが中国の広州から陸路でつながっていることがメリットだった。ハノイで同種の基板を製造しているのは当社のみ。現在、ベトナム北部で3つの工場を運営しており、第4工場も建設中だ。なお、当社には日本人駐在員やベトナム人社員だけでなく、韓国国籍の優秀な社員も多数在職している。
質問:
主な顧客は。
答え:
韓国系エレクトロニクスメーカー(以下、A社)のほか、日系企業、欧米企業などだ。A社向けの売上高は、当社の全世界の拠点の中で最も高い。A社との取引はベトナム進出後に始まった。A社のスマートフォンの半分がベトナムで生産され、多くのモデルに当社の製品が入っている。中級スマートフォンには当社の製品が、高級スマートフォンにはA社が独自に作る部品が組み込まれている。プリント基板分野では、韓国企業の技術レベルが高い。しかし、当社の価格競争力のみならず、技術と品質の高さが評価され、ハイエンド製品の比率が徐々に高まっている。
質問:
韓国人の採用スキームや人材採用の課題は。
答え:
韓国に代理店があり、その代理店を介して韓国から韓国人人材を確保するパターンが多い。ベトナム在住の韓国人人材を採用することもある。韓国人人材は、A社との取引など、韓国企業向けの業務に留まらず、新規事業を担う担当者も多い。マネジャー層の日本人、韓国人は、共通して、現地ベトナム人との言語の壁などを理由に、人材管理を課題に挙げる。他方、ベトナム人を登用するにはまだ育成の時間が必要だ。
質問:
ベトナムの投資環境および今後の展望は。
答え:
当社は比較的好調にビジネス展開し、中国工場の不振をベトナムで補っているが、ベトナム全体の景気はそれほど好調ではない。インフラ面では、電力不足が課題として挙げられる。脱炭素を踏まえた火力発電所の建設取り止めも1つの原因だろう。半導体などの最先端産業では、電力不足は深刻な問題だ。その他、法制度が厳しいことも問題。日韓はビジネス環境改善や、法制度への対応など、共通の事業課題については、ともに声をあげ続けることが、今後も必要だ。
ベトナムには中国企業の進出がまだASEANの他国と比べて目立っていない。しかし、2025年ごろからは中国企業の進出が急増する可能性もある。当社はこれに備え、建設中の第4工場とは別の新工場をつくり、顧客を獲得しようとしている。欧米系の半導体関連企業が調達先を中国からベトナムにシフトする動きをしっかりとつかむために、欧米系企業向けの新規ビジネスも考えている。

カジノ 無料 ゲーム:韓国電力公社

2つ目の事例は、韓国電力公社(韓国電力公社ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、以下、KEPCO)だ。同社は韓国唯一の公営電力会社で、韓国内では送電・配電事業、電力販売などをはじめ、19カ国で38〔2023年第1四半期(1~3月)ベース〕の海外発電事業を展開している。ベトナムでは「ギソン2」「ブンアン2」という2つの石炭火力発電事業を日系企業と行っている。KEPCOハノイ事務所のChief Representativeのジャン・ユジョン氏に、日韓協力事業の現状などを聞いた(2024年6月18日)。

質問:
ベトナムにおける日系企業との協力事業の概要は。
答え:
現在、日系企業とは2つのプロジェクトを進行している。1つ目は、タインホア省のギソン(Nghi Son)2石炭火力発電プロジェクトで、KEPCOが50%、丸紅が40%、東北電力が10%を出資している。2011年に国際競争入札に参加して2013年に受注し、2022年7月から商業運転がスタートしている。2つ目は、ハティン省ブンアン(Vung Ang)2石炭火力発電プロジェクトで、KEPCOが40%、DGA(出資比率は三菱商事62.5%、四国電力37.5%)が40%、中国電力が20%を出資している。2025年10月の完工を目標としており、現在の工程進捗率は約80%だ。ブンアン2は、入札ではなく、シンガポール会社の持ち分を日韓企業が引き取ったものだ。ベトナムで国際金融を活用する最後の石炭火力発電プロジェクトになる可能性が高い。
質問:
日韓協力事業の成功要因や役割分担、メリットなどは。
答え:
日韓協力事業の成功要因は幾つかあるが、特に経済的・技術的・政策的側面での調和と相互補完的な関係形成が重要だった。経済的な側面で両国協力のシナジーを極大化できた要因としては、日本のJBIC(国際協力銀行)、韓国のKEXIM(輸出入銀行)など、両国の政策金融機関の積極的な支援があった。発電事業は、膨大な投資金額がかかるため、日韓協力による事業展開は、リスク分散の観点で大きなメリットがあった。特に建設期間中、コロナによる悪条件の中でも契約義務日より18日も早く完工できたのは、日系商社の経験と情報力などがあったためだ。技術的な側面では、「ギソン2」「ブンアン2」の2つのプロジェクトに対して、KEPCOと日本側事業主ともに、石炭火力発電事業が環境に及ぼす問題を十分に認識し、さまざまな工夫を行った。ベトナムの汚染物質の排出規制基準よりもかなり厳格な国際基準(IFCガイドライン)を適用して、発電所を設計し、完工に至った。この発電所はベトナム内の類似した石炭火力発電所と比べ、酸素の排出量が少なく、ベトナムのカーボンニュートラル達成への取り組みにも寄与できた。この2つのプロジェクトは、日韓のみならず、ベトナムを含む3カ国の間にウィンウィン(win-win)の関係を構築できたと評価できる。
質問:
日韓協力事業のビジネス環境上の課題は。
答え:
日韓でビジネスを展開していることから、さまざまな問題があったが、随時、日本側パートナーとの話し合いを通じ、困難な状況を乗り越えてきた。むしろ日韓の間での問題ではなく、現地でビジネスを展開する上での課題が大きかった。例えば、発電所建設の際、法律・制度が整備されておらず、ベトナム政府に法律・制度の改善を求めながらビジネスをやってきた。日本と韓国の大使館や関連機関、企業がともにベトナム政府への働きかけを行うことで、課題を解決した。
質問:
今後、ベトナムにおけるエネルギー分野での日韓産業協力の行方は。
答え:
ベトナムも2050年までに温室効果ガス(GHG)排出量ゼロを目指すと宣言している。その一環として、2030年までにLNG(液化天然ガス)、太陽光、風力などを増やしていく方針だ。今後、石炭火力発電事業は厳しく、新たな分野で日韓が協力すべきだ。LNGや風力事業は、膨大な金額の投資が必要で、1つの国、1つの企業で遂行するのは難しく、日韓が協力できる分野は多い。また、太陽光の場合は、既存の太陽光発電所の効率向上などのソリューションを提供する際にも、日韓が協力する方策も検討するべきだ。水素・アンモニア分野も日韓協力の有望分野だ。水素の生産・運送拠点としてのベトナムは、今後あり得るかもしれない。2023年11月開催の「第1回 日韓ビジネスネットワーキング(ハノイ)」は今後の日韓産業協力を後押しする場として有効だった。このようなネットワーキングの機会が定期的にあったらよいだろう。

注:
2023年11月28日、ハノイのカジノ 無料 ゲーム、KOTRA、日本商工会議所、大韓商工会議所の主催で「第1回 日韓ビジネスネットワーキング(ハノイ)」が開催された。「インフラ・エネルギー」をテーマとして開催された同会には、日韓双方から約45人が参加し、ベトナムにおけるさらなる協業に向けた情報交換が行われた。

変更履歴
文章を一部修正しました。(2024年12月6日)
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執筆者紹介
カジノ 無料 ゲーム・ソウル事務所
李 海昌(イ ヘチャン)
2000年から、カジノ 無料 ゲーム・ソウル事務所勤務。本部中国北アジア課勤務(2006~2008年)を経て、現職。