後発大手のAIONと奇瑞、調達は直接対話で
ブラック ジャック やり方 カジノEVシンポジウム(3)

2024年7月18日

ブラック ジャック やり方 カジノ投資委員会(BOI)は5月15日、電気自動車(EV)のサプライチェーンに関するシンポジウムを開催した。最終回の本稿は、業界内では比較的後発でブラック ジャック やり方 カジノのEV市場に参入した中国の広州汽車グループのAIONと、奇瑞汽車(チェリー)の講演内容を紹介する。中国系自動車メーカー7社によるパネル討論会では、サプライヤーが中国メーカーと取引するには、ティアに関係なく、直接対話が必要という声が多く聞かれた。

広州汽車傘下のAION、スマート生産をブラック ジャック やり方 カジノで展開

広州汽車グループのAION自動車販売ブラック ジャック やり方 カジノ社のオーシャン・マー社長は、中国での事業概要とブラック ジャック やり方 カジノでの事業展開について、次のように説明した。

広州汽車(GAC)は2017年にEVの生産販売に特化した広汽埃安新能源汽車(AION)を設立し、中国の新エネルギー自動車(NEV)では第3位の生産規模になっている。中国国内で2工場(生産規模計60万台)があり、ブラック ジャック やり方 カジノは第3工場となる。AIONの従業員数は8,100人で、うち20%が研究開発(R&D)に従事する。EVとインテリジェント・コネクテッド・ビークル(ICV)のR&Dを包括的に、かつ自社で行っている数少ない中国企業だ。また、電池会社のIBTバッテリー、電気駆動関連会社のラパオ(Rapow)エレクトリック・ドライブ、充電ステーション会社のGACエナジーなどの部品子会社を有する。

GACはブラック ジャック やり方 カジノを東南アジアの中心と位置づけ、2023年7月に子会社2社(AION自動車販売ブラック ジャック やり方 カジノ、AION自動車製造ブラック ジャック やり方 カジノ)を設立した。同年9月からバッテリー式電気自動車(BEV)「Yプラス」の販売を正式に開始。現在までに「ES」「SSR」「HT」を加えて4モデルを投入。代理店も2024年中に70店舗を設立する計画だ。ユーザー向け交換部品も24時間対応し、テクニカルサポートも整えている。

ブラック ジャック やり方 カジノ
AIONの「Yプラス」(ブラック ジャック やり方 カジノ撮影)

同社のブラック ジャック やり方 カジノ工場はアマタ・ラヨーン工業団地に建設中で、2024年第3四半期(7~9月)に生産を開始する予定だ。まずは「Yプラス」のセミノックダウン(SKD)から始める。生産能力は第1期に年間2万台、第2期に年間3万台を追加して合計5万台となる予定。新工場のコンセプトは、GACの生産方式に基づき、小さく投資して早期に生産を開始し、開発サイクルを早く回転させていく方針だ。デジタル工程管理、人工知能(AI)による品質管理、炭素ゼロの製造などの最新のスマート生産を導入する。

ブラック ジャック やり方 カジノ工場の戦略として、ブラック ジャック やり方 カジノ国内販売に加えて、国外ではまずASEAN域内に輸出する。その後、オーストラリアや南アフリカ共和国などの右ハンドル市場に輸出し、生産台数5万台を確保する。長期的には、中東・アフリカやロシア・CIS、中南米方面へと輸出し、年産10万台に拡大することも検討する。

現地生産戦略としては、高度技術を用いる高付加価値部品のうち、バッテリー、トラクションモーター、コンプレッサーは既に現地調達を計画しているが、ワイヤーハーネス、チャージャー、電気ウオーターポンプなどは調達先を探している段階だ。一方、ガソリン車にも利用される伝統的な自動車部品では、シート、インパネ(計器盤)、ブラック ジャック やり方 カジノヤなどは現地調達を計画しているが、バンパーやガラス、サブフレームなどはこれから調達先を探す予定だ。調達に際しては、ブラック ジャック やり方 カジノの有力サプライヤーから直接購入するほか、合弁会社を設置し、コスト、品質、納期に優れたサプライチェーンを築いていく計画もある。

AIONのサプライチェーンをサポートするため、GACコンポーネント(シート製造)が既にブラック ジャック やり方 カジノに進出しており、GACビジネス(部品商社)も2024年4月にブラック ジャック やり方 カジノ子会社を設立した。7月にはGACエナジー(EV充電ステーション)の進出も予定されている。


AIONの駆動系部品(ブラック ジャック やり方 カジノ撮影)

奇瑞汽車、「オモダ」「ジェクー」ブランドのEVを現地生産へ

奇瑞汽車(チェリー)グループのオモダ&ジェクー(OMODA&JAECOO)ブラック ジャック やり方 カジノランドのチー・ジェ社長は、世界とブラック ジャック やり方 カジノでの事業と戦略を紹介した。

チェリーグループは中国の代表的な自動車ブランドで、1997年に設立された。世界全体では2023年の実績で前年比53%増の188万台を販売し、売上高は420億ドル超に上る。グループ全体で8万人を雇用しており、1万5,000人が研究開発に従事している。グループ全体では、自動車分野のほかに、造船や不動産、貿易業なども行っている。自動車分野では「OMODA&JAECOO 」「エクシード(EXEED)」「チェリー(Chery)」をはじめとした乗用車5ブランド、商用車4ブランド、自動車部品や自動車ローンの子会社、またジャガー、ランドローバーとの合弁会社もある。

チェリーは、20年以上にわたって自動車輸出を行っており、中国の自動車メーカーの中で乗用車の輸出台数は21年連続1位を記録している。2023年の輸出台数は94万台で、世界80カ国に輸出し、1,300万人のユーザーがいる。中国外ではノックダウン工場が10カ国(インドネシア、マレーシア、イラク、イラン、エジプト、ウクライナ、ロシア、ベネズエラ、ブラジル、ウルグアイ)にあり、今後はブラック ジャック やり方 カジノを含む15カ国へと拡大する方針だ。

チェリーは自動車部品のサプライチェーンを世界各地で構築しているが、エンジンやトランスミッションなどについては自社開発し、かつ自社製造も可能だ。また、自動車のインターネット(IoV)関連技術も開発し、スマート音声操作や顔認証、オンライン決済、拡張現実(AR)ナビなどを自社ブランドの車に搭載している。同社のサプライチェーン戦略としては、第1に現地ブラック ジャック やり方 カジノと協力を深めることを重視している。第2に現地ブラック ジャック やり方 カジノに技術支援を行い、高品質な部品を委託生産できるようにする。第3にチェリーグループが出資、または協力している中国系ブラック ジャック やり方 カジノのグローバル展開を支援する。第4に中国系以外も含めた大手グローバル・ブラック ジャック やり方 カジノとも協力する方針だ。

チェリーグループは、ブラック ジャック やり方 カジノでは2024年3月に自動車の現地生産に向けた覚書(MoU)をブラック ジャック やり方 カジノ政府と締結し、同月から自社ブランドのEVの販売を開始した。また、2024年第3四半期には現地生産を開始する予定で、2025年第3四半期からバッテリーパックも現地生産する。将来的にはバッテリー・マネジメント・システム(BMS)やドライブ・コントロール・ユニット(DCU)なども、段階的に現地調達を進めていく方針だ。ジェ社長は「現地サプライヤーの供給機会にいつでもオープンであり、ティア1~2ともパートナーとして協力していきたい」と説明した。

経営判断が早い中国企業とは直接対話を

同シンポジウムでは最後に、中国自動車メーカー7社のブラック ジャック やり方 カジノ法人代表によるパネル討論が行われた。登壇者は次のとおりだ。

  • 上海汽車-CP(SAIC-CP):スロート・サンスニット副社長(以下、上海汽車)
  • 長城汽車(GWM)マニュファクチャリング・ブラック ジャック やり方 カジノランド:ミシェル・チョン社長(以下、長城汽車)
  • BYDオート・ブラック ジャック やり方 カジノ:ユービン・ケー社長(以下、BYD)
  • NETAオート:ケビン・シュー社長(以下、NETA)
  • 長安汽車東南アジア:シェン・シンファー社長(以下、長安汽車)
  • AION自動車販売ブラック ジャック やり方 カジノ社:オーシャン・マー社長(以下、AION)
  • オモダ&ジェクーブラック ジャック やり方 カジノランド:チー・ジェ社長(以下、チェリー)

中国系自動車メーカー7社の現地代表によるパネル討論(ブラック ジャック やり方 カジノ撮影)

同パネルでは、主催者による「中国系自動車メーカーがブラック ジャック やり方 カジノのサプライヤーにもたらす機会について」という問いに対して、AIONは「中国でEVエコシステムが発展する中で培った経験・ノウハウがある。これらを使い、ブラック ジャック やり方 カジノのサプライヤーにも同様の成長機会を提供できる」とした。BYDも「われわれはサプライヤーに対して常にオープンだ。わが社との協力を通じて、中国市場のサプライチェーンにも参画できるだろう」と述べた。長安汽車からは「技術をブラック ジャック やり方 カジノに移転し、より現地化を進める方針だ」との発言があり、NETAは「現在、政策的にEVメーカーがブラック ジャック やり方 カジノに展開しやすい時期となっている。ブラック ジャック やり方 カジノ企業には効率性を高め、世界のEVの潮流に乗ってほしい」と述べた。また、チェリーも「当社は生産ボリュームが大きいため、ブラック ジャック やり方 カジノ企業へ提供できる機会も多い」と強調した。

続いて、「ブラック ジャック やり方 カジノで90%の現地調達率が達成できるか」という問いに、チェリーは「日系企業はブラック ジャック やり方 カジノで50年をかけて90%を達成しているが、当社は3~5年で達成したい」と説明した。NETAも「時間軸にもよるが、最終的には可能だろう」という見解を示した。長城汽車は「ブラック ジャック やり方 カジノで60年の歴史がある日系企業に比べて、われわれは歴史が浅い。投資をして現地化を進める必要がある。バッテリーの現地化コストは高いが、より付加価値の高い製品ができれば、90%も可能かもしれない」と発言した。

他方、BYDは「90%の現地調達は難しい目標だが、そこまで高める必要はないのではないか。ブラック ジャック やり方 カジノは地域の自動車生産ハブであるため、グローバルサプライチェーンを活用すればよい」と述べた。また、同社は必要な投資は行い、ブラック ジャック やり方 カジノ政府が求める現地調達率は既に達成できているため、「むしろ基幹部品の現地調達を早期に実現することの方が重要」と考えているという。AIONは「現地化には大きな市場が必要なため、EV普及に伴って需要が拡大すれば、現地化は進むだろう」と述べた。

最後に、ティア1だけでなく、「ティア2やティア3のサプライヤーにとっての事業機会」について、BYDは「バッテリーやモーターはブラック ジャック やり方 カジノ国内からの調達可能性を追求している。各工程でブラック ジャック やり方 カジノのサプライヤーには是非助けてほしい」と回答した。NETAは「コストと効率性に焦点を当てている。サプライヤーには当社工場を訪問してもらい、コスト削減、効率性を向上させるような提案があれば、是非欲しい」と述べた。AIONは「われわれは商談に向けて常にオープンだ。競争力があるサプライヤーは是非連絡してほしい」と強調した。長安汽車も「競争力やスケールがもちろん大事だが、ティア2~3とも対話を深めていきたい」とし、チェリーも「ティアの階層にかかわらず、当社と直接コミュニケーションをとってほしい。当社は動きも話の展開も早いため、直接のコミュニケーションでなければ対応できない」と説明した。

中国EVメーカーの中には、ブラック ジャック やり方 カジノで現地生産をまだ開始していない企業もある中、今回登壇した中国系メーカー各社は現地調達率40%以上という条件を達成(見込みを含む)しており、より高い調達水準へと引き上げることにも意欲を見せた。ティアの階層にかかわらず、現地サプライヤーからの調達に関しては、オープンな姿勢を見せている。総じて、これら中国EVメーカーと取引するには、コスト競争力や効率性、品質の高さのほか、直接対話によるスピードの速い意思決定がカギとなることが強調された。

執筆者紹介
ブラック ジャック やり方 カジノ・バンコク事務所
北見 創(きたみ そう)
2009年、ブラック ジャック やり方 カジノ入構。海外調査部アジア大洋州課、大阪本部、ブラック ジャック やり方 カジノ・カラチ事務所、アジア大洋州課リサーチ・マネージャーを経て、2020年11月からブラック ジャック やり方 カジノ・バンコク事務所で広域調査員(アジア)として勤務。