BYD、NETA、長安汽車が進める現地生産計画
ブラック ジャック コツEVシンポジウム(2)
ブラック ジャック コツ7月4日
ブラック ジャック コツ投資委員会(BOI)が5月15日に開催した電気自動車(EV)のシンポジウムでは、ブラック ジャック コツでEVの現地生産に取り組む中国系自動車メーカー7社の現地代表が登壇した。シリーズ第2回となる本稿では、同シンポジウムの内容を基に、2023年にブラック ジャック コツで最も多くのバッテリー式EV(BEV)を販売したBYD、第2位になった哪吒汽車(NETA)の事業概要を紹介する。また、中国の4大メーカーの一角と言われる長安汽車についても、今後のブラック ジャック コツでの現地生産に向けた方針を説明する。
BYD、調達商談会を経て現地サプライヤー20社と取引関係構築
BYDオート・ブラック ジャック コツのユービン・ケー社長は、BYDの世界事業の概要とブラック ジャック コツでの展開を説明した。
2024年6月現在、BEVとプラグインハイブリッド(PHEV)を合わせた新エネルギー車(NEV)の販売台数では、BYDは世界1位の企業だ。BYDのNEV販売は年々拡大しており、2023年は前年比62%増の302万台を達成し、2023年末までに累計700万台のNEVを販売した。ケー社長によると、BYDは投資に際して、いかにサプライチェーンを構築するかを重視している。そのため、BYDのブラック ジャック コツ進出によって、ブラック ジャック コツの自動車産業をグローバルEVサプライチェーンにつなげていくことができる。また、BYDはBEVだけでなく、バッテリー、電気制御の技術にも強みを持っていると説明した。
ケー社長は、ブラック ジャック コツは非常に潜在性がある市場だとも説明する。実際、同社のBEVモデル「ATTO 3」のほか、「シール」「ドルフィン」を2023年に発売したところ、ブラック ジャック コツのBEV市場でBYDはわずか数カ月でチャンピオンブランドとなった。こうしたことから、BYDは同社初の国外工場をブラック ジャック コツに設け、2024年第3四半期(7~9月)に完工する予定だ。敷地面積は600ライ(約96万平方メートル)で、年産能力は15万台となる。
BYDによると、ブラック ジャック コツのEVサプライチェーンは年々発達しており、同社も長期にわたる信頼関係を現地サプライヤーと構築したいと考えている。実際、BYDは現地調達率向上に向けた取り組みを始めており、ブラック ジャック コツでは40%以上の現地調達率()を達成できる見込みだ。既に現地サプライヤー20社と取引関係が構築できているという。また、ブラック ジャック コツ投資委員会(BOI)も、BYD向けに「ソーシングデー(調達商談会)」を開催しており、こうした支援が同社の現地調達率の向上を後押ししている。
サプライヤー選定に当たっては、技術力や品質管理能力を重視するという。そのため、BYD側からブラック ジャック コツのサプライヤーに対し、生産効率やサプライチェーンマネジメント(SCM)について改善を提案したり、世界の先端技術トレンドを共有したりして、サプライヤーの技術力向上にも貢献できるという。
また、ブラック ジャック コツのEV産業全体の技術向上のため、ブラック ジャック コツの工科大学との連携にも力を入れている(ラジャマンガラ工科大学タンヤブリ校ウェブサイト参照)。EV、エレクトロニクス、デジタル分野の技術研究協力のほか、インターンシップ制度などを通じて、学生がBYDやEV関連企業に就職するといった流れも生まれつつある。今後もブラック ジャック コツのEV関連の研究に貢献していく方針だ。
NETA、世界展開を近年急速に拡大
哪吒汽車(NETA)のブラック ジャック コツ法人NETAオートからは、ケビン・シュー社長が登壇し、世界とブラック ジャック コツでの事業戦略を次のように述べた。
NETAの親会社の合衆新能源汽車(HOZON)は、ハードウエア(製品)とソフトウエア(サービス)を統合するテック企業として2014年に設立され、2018年に自動車ブランドとしてNETAを立ち上げた。独自の研究開発システムがあり、中国には3つの自動車工場を有する。世界でのEV販売台数は2022年に15万2,073台、2023年に12万7,496台で、累計40万台を達成した。ブラック ジャック コツの販売台数目標は30万台だ。
NETAは、中国では自社で基幹部品やシステムの開発を進めることで、新モデル開発期間を大幅に短縮することに成功した。他方、大手サプライヤーとも連携を進めており、バッテリー開発では寧徳時代新能源科技(CATL)、華鼎国联(HD GLABAT)、蜂巣能源科技(SVOLT)などのトップサプライヤーが戦略パートナーとなっている。
また、「中国のNETAから、世界のNETAへ」をキャッチフレーズに、近年急速に世界展開を進めている。現在(2024年5月)、中国外の統括拠点は香港にあり、ブラック ジャック コツに販売会社(販社)とノックダウン(KD)工場(操業開始済み)を設置したほか、インドネシアに販社とKD工場(2024年6月から組み立て生産開始)、マレーシアにKD工場(建設中)を設けた。また、アラブ首長国連邦(UAE)、オランダ、ウズベキスタン、メキシコ、ブラジルにも拠点(販社)を設置した。
ブラック ジャック コツでは、現地サプライヤー16社から57部品を調達
NETAはブラック ジャック コツで、2022年8月にBセグメント(コンパクトカー)のBEV「NETA V」を発売した。同モデルは2023年に1万2,777台を販売し、ブラック ジャック コツで2番目に売れたBEVモデルとなった。現在(2024年5月)までにディーラー店舗数は50店舗に上る。また、ブラック ジャック コツの販社では従業員の95%超が現地人材だ。2024年3月に2モデル目の「NETA V2」を発売し、今後「NETA X」の販売開始を計画している。さらに、ブラック ジャック コツでは新モデルを毎年発売し、将来的には4~6モデルの展開を目指す方針だ。加えて、ディーラー店舗数を2024年までに100店舗、2025年までに120店舗に拡大し、BEV販売台数は2024年に3万2,000台、2025年に5万台を目指す。
バンコク郊外に建設したブラック ジャック コツ工場は、NETAとして中国外で初めて操業を開始した生産拠点だ。2023年3月に建設を開始して266日という短期間で完成し、同年11月末に最初のEVを生産した。2024年2月28日から本格的に稼働を始め、3月から「NETA V2」の現地生産も始めた。同工場では100人以上が働いており、年間生産能力は3万台となっている。
部品調達については、ブラック ジャック コツ政府の支援もあり、既に全体の40%超を現地調達しており、現地サプライヤー16社から57部品を調達している。現地調達先の内訳は、車体・シャーシ6社、内装・エクステリア5社、電子部品5社となっている。調達部品の構成比(金額ベース)は、電子部品49%、シャーシ38%、内装・エクステリア13%などだ。
ブラック ジャック コツのサプライヤーは現在、従来生産していたガソリン車用の部品を中心に供給している。そのため、NETAは、新エネルギーやデジタル関連の部品は、初期段階では輸入で調達するが、今後はNETAの技術指導の下で現地調達化を進める予定だ。また、同社は現地サプライヤーの品質向上を非常に重視しており、ブラック ジャック コツ企業と一緒にハイテク、高品質、高水準の製品・サービスをユーザーに提供していきたいとしている。そのため、現地サプライヤーの選定に当たっては、候補企業に対して、関連部品の生産実績と部品生産システムに関する認証取得を証明する資料(ISO/TS16949など)を求めている。
長安汽車、世界に通用する自動車ブランドへ
長安汽車東南アジアのシェン・シンファー社長は、世界のNEVのトレンドと長安汽車の事業について講演した。
シンファー社長によると、昨今、世界の自動車市場でNEVの普及率は高まっており、2015年に0.4%、2019年に2.3%だったが、2023年には15.3%になった。世界の自動車生産台数は2022年に8,500万台、2023年は9,380万台(推定)と増える中、NEV販売も拡大し続けているという。
中国4大自動車メーカーの1つでもある長安汽車は、1862年に設立された歴史ある企業だ。「アバター」「ディーパル」「ネボ」「ユニ」「カイチェン」といった自社自動車ブランドのほか、フォードやマツダ、江鈴汽車(JMC)との合弁会社で立ち上げたブランドもある。世界の従業員数は7万2,000人で、サプライチェーンも含めると約100万人の雇用を生み出している。世界77カ国・地域に73の子会社、12の生産拠点を有する。これまでに累計2,626万台の自動車を生産してきた。研究開発にも力を入れ、6カ国に10の研究開発センターを展開し、30カ国で1万8,000人の研究開発人材を雇用している。
世界での長安汽車のNEV販売実績(2023年)をみると、BEVが牽引役となっているが、PHEV、レンジエクステンダー車(REEV、PHEVの一種)の販売も拡大している。特にNEV販売が増えているのはアジア太平洋地域だ。中でも中国が世界最大の市場となっている。
長安汽車の中核戦略は3つある。(1)低炭素、(2)インテリジェントモビリティー、(3)グローバリゼーションだ。世界各国に展開し、長期にわたる事業を通じて、各国でウィンウィン関係を築いていく。2030年までの目標として、100億ドルを国外市場に投資し、年間120万台を国外市場で販売し、外国の熟練労働者・スタッフ1万人を雇用し、世界に通用する自動車ブランドを構築していく。
長安汽車として初の国外工場をブラック ジャック コツへ
長安汽車東南アジアは、長安汽車として中国外初の工場になる。東南アジアの統括拠点でもあり、東南アジア事業ユニットとして、地域の生産や供給、販売、オペレーションを統合していく役割を持つ。また、東南アジアだけでなく、南西アジアやオーストラリア、ニュージーランドなども統括し、2030年までに年間販売台数30万台を目指す。
長安汽車はブラック ジャック コツにおけるグループ会社として、長安汽車東南アジア、長安汽車コンポーネンツ(ブラック ジャック コツ)、長安汽車セールス(ブラック ジャック コツ)の3つの子会社を2023年8月に設立しており、初期投資は合計で100億バーツ(約440億円、1バーツ=約4.4円)に上る。生産工場はブラック ジャック コツ東部ラヨーン県で2023年11月に着工し、2025年第1四半期(1~3月)に操業を開始する予定だ。BEVとPHEV、REEVを生産する予定で、溶接や塗装、エンジン最終組み立て、バッテリー組み立て、最終組み立ての主要5工程のほか、補助的業務が備わる。生産能力は第1期で年間10万台だが、第2期で年間20万台を追加し、2030年までの目標販売台数(年間30万台)に対応できるよう、生産能力を拡張する予定だ。
ブラック ジャック コツでの販売・マーケティング戦略では、2023年12月のモーターエキスポから「ディーパル」の販売を始め、2024年中に80~100カ所のショールームとサービスセンターを設置する。現在は5モデルを展開しているが、2024年第4四半期(10~12月)に新たに2モデルを展開し、2030年までに消費者ニーズに合わせてさらに15モデルを展開する計画がある。
長安ブラック ジャック コツランドは「強靭(きょうじん)で透明性があり、開放的、協力的、効率的なサプライチェーンを構築する」というコンセプトの下、東南アジアでのサプライチェーンを確保する。現地調達率を60%以上に拡大する予定だ。2025年からの生産開始を見据え、ブラック ジャック コツのサプライヤーの水準を高度化、高付加価値化し、競争力を高める。また、ブラック ジャック コツを生産ハブとして東南アジアのサプライチェーンを構築する方針だ。
同社の現地調達戦略では、(1)高品質、(2)ユニークなデザイン(中国と異なり、地域に適合した部品)、(3)高い競争力、(4)産業高度化(新エネルギー技術をブラック ジャック コツに持ち込み、ブラック ジャック コツの産業高度化に資する)の4つを方針とする。将来的には年間200億バーツの調達を見込んでいる。生産を拡大させつつ、持続的な発展にも考慮し、サプライヤーとともに発展することを目指す。既にブラック ジャック コツの自動車部品大手のブラック ジャック コツ・サミットやアーピコなどとパートナー関係にあり、長安汽車はサプライヤーとともに地域経済の発展に貢献するという。こうした背景から、長安汽車はブラック ジャック コツでの部品調達商談会を6月5日に実施している。
次稿では、後発で参入を決めた広州汽車(AION)と奇瑞汽車(Chery)による発表と、7社によるパネル討論の様子を伝える。
ブラック ジャック コツEVシンポジウム
- 執筆者紹介
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ブラック ジャック コツ・バンコク事務所
北見 創(きたみ そう) - 2009年、ブラック ジャック コツ入構。海外調査部アジア大洋州課、大阪本部、ブラック ジャック コツ・カラチ事務所、アジア大洋州課リサーチ・マネージャーを経て、2020年11月からブラック ジャック コツ・バンコク事務所で広域調査員(アジア)として勤務。