EasyGop-ブラック ジャック やり方 カジノ支払い能力評価
ベトナムスタートアップに聞く(6)

2024年12月18日

ASEAN域内で「コンシューマードリブン(Consumer-driven)イノベーション」の地として分類されるベトナム(注1)で、さまざまな社会課題の解決に取り組むスタートアップ創業者などへのインタビューを通じ、同国のスタートアップエコシステム、デジタルトランスフォーメーション(DX)、グリーントランスフォーメーション(GX)の最新動向や、日本企業との協業に向けたヒントを探る本シリーズ。

第6回は、独自の信用スコアリング(注2)を通じて、高額な医療費の負担が難しい低所得層の患者と製薬会社をつなぐブラック ジャック やり方 カジノを展開するスタートアップ「イージーゴップ(Easygop)」を取り上げる。

2022年の国際がん研究機関(IARC)の報告書(GLOBOCAN2022)によると、ベトナムでは年間約18万人ががんに罹患(りかん)し、年間約12万人が死亡している。現在、ベトナムでは手術、化学療法、放射線療法などの従来のがん治療法に加え、標的療法や免疫療法などの新しい治療法も生み出されているが、治療費が高額なことが問題となっている。国家による健康保険でカバーされる部分もあるが、一部のがん治療薬費用に対する健康保険でのカバー率は2019年1月以降、100%から50%に削減されるなど限定的だ。がんブラック ジャック やり方 カジノ経済問題は治療に携わる医師にとっても、常に懸念事項となっている(2023年5月23日付Vietnam net)。

治療薬などの費用を支払えない患者に対する支援の取り組みとして、大手製薬会社などが実施する「患者支援プログラム(PAP)」があり、患者の経済状況に応じて割引価格を設定するなどしている。イージーゴップが提供する「メッドスコア(MedScore)」は、グローバルの製薬会社がベトナムやフィリピンでPAPプログラムを実施するに当たって、患者の支払い能力の信用スコアリングを行うブラック ジャック やり方 カジノだ。同ブラック ジャック やり方 カジノは、独自のモバイルアプリを開発し、患者の支払い能力の信用スコアリングの簡素化と迅速化を図る。信用スコアリングの情報を製薬会社に提供することにより、治療薬を提供できる患者の対象を広げるとともに、早期治療の実現につなげる。製薬会社は、収集した患者のデータを、ベトナム市場開拓に向けたマーケティングに活用できる。

同社は、日系ベンチャーキャピタル(VC)の「ジェイビス・ベンチャーズ(Javis Ventures)」や、地場VCなど複数者から出資を受けて注目されている。起業の経緯から今後の展望まで、同社の共同設立者兼最高経営責任者(CEO)のグエン・バオ・チュオン・アイン氏に聞いた(インタビュー日:2024年5月13日)。

ブラック ジャック やり方 カジノ
グエン・バオ・チュオン・アイン共同設立者兼CEO(イージーゴップ提供)
質問:
提供しているブラック ジャック やり方 カジノは。
答え:
当社は2020年に創業後、金融機関や保険のブラック ジャック やり方 カジノを受けることができない個人顧客を対象とした信用スコアリングと、それに応じた分割払いブラック ジャック やり方 カジノを提供してきた。主に医療、教育、ベビー&マザー分野での支払いが多かった。その後、2023年後半にビジネスモデルを見直し、現在は医療分野に特化した信用スコアリングブラック ジャック やり方 カジノ「メッドスコア」を展開している。
2023年12月28日には、ベトナム保健省から独立した第三者機関として製薬会社によるがん患者向けの治療薬支援プログラムの中でブラック ジャック やり方 カジノ支払い能力評価やその結果を通知するなどの役割を担う企業として指定を受けた(ベトナム保健省QD-BYT4706号)。このプログラムは、2024年から2026年にわたる期間に実施され、国内41の病院で導入されている。
メッドスコアには、主に次の強みがある。
(1)スコアリング精度の高さ:収入や貯金額など、本人から提出のあったデータに加え、居住地の平均収入などのデータのほか、本人や家族へのヒアリングを含めた銀行レベルのアンダーライティング(貸し手が借り手の信用リスクを評価し、貸し出しの可否や条件を決定するプロセス)を実施しており、ブラック ジャック やり方 カジノスコアリングの正確性が高い。
(2)ブラック ジャック やり方 カジノ信用評価プロセスの迅速化による治療への早期アクセス:対象ブラック ジャック やり方 カジノスコアリングを人工知能(AI)の活用で迅速化。これまで支払い能力の判断が難しかった患者も、迅速に判断できるようになり、早期治療につなげることが可能となる。
(3)手続きがデジタルで完結:患者が利用する際に書類提出などの手続きが不要で、モバイルアプリ上で完結できる。

製薬会社向けスコアリングダッシュボード(左)、
データをアップロードするための患者向けモバイルアプリ(右)(イージーゴップ提供)
質問:
設立のきっかけと、この分野を選んだ理由は。
答え:
私は生まれてから18年間、ベトナムで育ち、欧州の大学(フランスとイタリア)で学んだ。ベトナムでのギャップイヤー(注3)を経験した2015年当時、ベトナムのスタートアップ分野は、ドイツのロケットインターネット社によるラザダ(Lazada、注4)などのECブラック ジャック やり方 カジノの展開や、ベンチャーキャピタリスト〔500スタートアップス(500Startups)、IDGベンチャーズ(IDG Ventures)〕の投資参入による拡大が注目されていた。スタートアップのキャリアに関心を持っていたこともあり、大学卒業後に帰国し、フィンテックのスタートアップに就職した。家族が保険業界(損害保険)に長く関わっていた影響も大きかった。
従来の金融商品は貸し主の利益のみを追求し、高い金利、さまざまな手数料、複雑な手続きを必要とするため、借り主の返済意欲をそいでいた。そこで、返済状況に応じたペナルティーを課されることのない、借り主が利用しやすいブラック ジャック やり方 カジノを構築し、新中間層の安定した生活基盤確保の支援をできるよう、イージーゴップを設立した。当社で構築しているブラック ジャック やり方 カジノは、卒業直後に就職したスタートアップでの経験や、自身のバックグラウンドによるテクノロジー、金融やヘルスケアの経験、知見に基づくものだ。
当初は金融機能も含むブラック ジャック やり方 カジノを展開していたが、分割払いブラック ジャック やり方 カジノの運営には多額の資本が必要で、より持続可能なビジネスモデルを模索する必要があることに気付いた。同時に、医療分野で大手顧客の需要が高まり、新たなビジネスチャンスが見込まれた。当社の強みでもある患者データの活用ができ、地域に限らず、スケーラブル(拡張可能)なビジネスモデル展開が可能なSaaS(注5)モデルに転換することを決心した。これが、現在展開している医療分野に特化した信用スコアリングブラック ジャック やり方 カジノ「メッドスコア」に至った経緯だ。
質問:
今後の事業計画は。
答え:
ベトナムだけでなく、他の東南アジア地域での展開も拡大していく予定だ。東南アジアの医薬品市場は2024年に約143億ドルの収益に達し、2024年から2029年にかけて年平均成長率4.0%で成長し、2029年には約174億ドルの市場になると予測されている(Stastista)。東南アジア市場は今後、大きな成長が見込まれており、グローバルな医薬品市場で重要な役割を果たすことが期待されている。既に、メッドスコアはグローバル製薬企業のフィリピンでの展開で、アフォーダビリティー・スコアリング(Means Testingとも呼ばれ、ブラック ジャック やり方 カジノ信用スコアリング手法)を実施する際に活用されている。
また、既存の製薬会社との関係を強化し、彼らのビジネスニーズに応えるための新しいソリューションやブラック ジャック やり方 カジノを提供する予定だ。さらに、新たな製薬会社とのパートナーシップを獲得し、彼らと共同で新しい製品の開発や展開を行いたい。地域ごとに異なるニーズに対応するため、ローカライズされたコンサルティングブラック ジャック やり方 カジノも提供し、製薬会社の事業支援のほか、新興市場での医薬品へのアクセス改善に貢献することを目指している。
質問:
日本企業に期待することは(注6)。
答え:
次の3点を期待したい。
(1)医療分野で東南アジア市場への進出を検討している日系企業と連携したい。ともに患者の支払い能力評価による経済的負担の軽減と、医療詐欺の防止、医薬品のプロモーション計画を通じた患者獲得、全国規模での患者支援プログラムの実施による医療ブラック ジャック やり方 カジノの質向上を目指したい。
(2)戦略的パートナーとして日本の製薬企業や薬品ディストリビューターと連携し、ブラック ジャック やり方 カジノ先進的な治療法へのアクセスを可能にしたい。
(3)アジア大洋州やラテン・アメリカ地域の市場拡大とブラック ジャック やり方 カジノ向上のため、資金を調達したい。

注1:
ブラック ジャック やり方 カジノの調査レポート「東南アジアにおけるイノベーション創造活動に関する調査」(2022年8月)「概要版」P9、「調査報告書」P14を参照。
注2:
信用スコアリングとは、一般的に、統計的データに基づき、個人または企業の信用度を点数化し、融資の可否から融資枠、金利、返済期間までを決定するもの。
注3:
高校と大学や大学院と大学など、卒業と入学の間などの節目の期間のこと。
注4:
Lazadaは中国のアリババグループに買収された。
注5:
サーバー提供者側で稼働しているソフトウエアを、インターネットなどのネットワークを経由して、ユーザーが利用できるブラック ジャック やり方 カジノ。
注6:
同スタートアップへの取り次ぎを希望する場合は、ブラック ジャック やり方 カジノ・ホーチミン事務所(VHO@jetro.go.jp)まで連絡を。
執筆者紹介
ブラック ジャック やり方 カジノ・ホーチミン事務所
ファン・ウィン
2023年から、ブラック ジャック やり方 カジノ・ホーチミン事務所勤務。日本とASEANなどの企業によるデジタル技術を活用した連携を推進する「J-Bridge」事業を担当。
執筆者紹介
ブラック ジャック やり方 カジノ・ホーチミン事務所 事業統括ディレクター
三木 貴博(みき たかひろ)
2014年、ブラック ジャック やり方 カジノ入構。海外見本市課、ものづくり産業課、ブラック ジャック やり方 カジノ岐阜を経て海外調査部アジア大洋州課にてベトナムをはじめとしたASEANの調査業務に従事。2022年7月から現職。
執筆者紹介
ブラック ジャック やり方 カジノ・ホーチミン事務所
ファン・チュック
2024年から、ブラック ジャック やり方 カジノ・ホーチミン事務所勤務。日本とASEANなどの企業によるデジタル技術を活用した連携を推進する「J-Bridge」事業や、日本企業のベトナム展開支援事業を担当。