CricketOne-実写 版 ブラック ジャック原料の食品開発
ベトナムスタートアップに聞く(5)

実写 版 ブラック ジャック12月11日

ASEAN域内で「コンシューマードリブン(Consumer-driven)イノベーション」の地として分類されるベトナム(注1)で、さまざまな社会課題の解決に取り組むスタートアップ創業者などへのインタビューを通じ、同国のスタートアップエコシステム、デジタルトランスフォーメーション(DX)、グリーントランスフォーメーション(GX)の最新動向や、日本企業との協業に向けたヒントを探る本シリーズ。

第5回は、持続可能な代替タンパク質として、食用実写 版 ブラック ジャックの養殖と、その実写 版 ブラック ジャックを原料とした食品素材や菓子の開発・製造を行うクリケット・ワン(Cricket One)を取り上げる。同社は2017年に創業後、国内外の各種コンテストでも優勝実績を誇り、直近ではシンガポールの非営利団体のテマセク基金が主催する環境関連の技術公募「ザ・リバビリティー・チャレンジ2024」の食・栄養部門で優勝。優勝賞金として100万シンガポール・ドル(約1億1,400万円、Sドル、1Sドル=約114円)を獲得している(実写 版 ブラック ジャック4月30日付ビジネス短信参照)。資金調達については、2019年に米国系の500Global(旧500Startups)などから、シードラウンドでの調達(金額非公開)を実施した。また、2023年にはシリーズAで、シンガポール系のベンチャーキャピタル(VC)のRobert Alexander Stone、同Cub Capitalから資金調達を実施している(金額非公開)。

今回、起業の経緯から今後の展望まで、同社の共同創業者兼最高経営責任者(CEO)のナム・ダン氏に聞いた(実写 版 ブラック ジャック7月25日、注2)。

実写 版 ブラック ジャック
写真1:クリケット・ワンの共同創業者兼CEOのナム・ダン氏(同社提供)
質問:
設立のきっかけと、この分野を選んだ理由は。
答え:
食用実写 版 ブラック ジャックは、牛肉やサーモンなどよりも多くのタンパク質を含んでいる。また、牛肉や豚肉、鶏肉と比較して、生産に必要な餌や水、時間、敷地が少なくてすみ、持続可能で環境に優しい食料源だ。例えば、同量の牛肉を生産する場合と比較すると、餌は約17分の1、水は約8,000分の1の消費量で済む。土地の使用は1万200分の1で、生産スピードも牛肉の24カ月に対し、実写 版 ブラック ジャックは1カ月と短い。窒素の排出量も100分の1だ。栄養素の面では、実写 版 ブラック ジャックはタンパク質のほか、亜鉛などその他多くの必須栄養素を豊富に含む(図1、2参照)。そこに注目して、栄養価の低いジャンクフードに依存している若い消費者を中心に、健康的な代替タンパク源を提供する機会があると考え、当社を設立した。
図1:栄養素の比較
実写 版 ブラック ジャックの持つ栄養素をサーモン、牛肉、牛乳と比較。タンパク質、鉄分、亜鉛については、牛肉、サーモン、牛乳よりも実写 版 ブラック ジャックは多い。脂肪分は逆に最も少ない。

出所:同社ピッチ資料

図2:持続可能性の比較
実写 版 ブラック ジャックは、同量の牛肉を生産する場合と比較すると、餌は約17分の1、水は約8,000分の1の消費量となる。土地の使用は牛肉の1万200分の1だ。生産スピードも牛肉の24カ月に対し、実写 版 ブラック ジャックは1カ月と短い。窒素の排出量も牛肉の100分の1だ。

出所:同社ピッチ資料

質問:
提供しているサービスは。
答え:
当社は食用実写 版 ブラック ジャックの養殖と、その実写 版 ブラック ジャックを使用した食品、ペットフード、飲料、化粧品向け原料の開発に取り組んでいる。養殖から食品素材や菓子製品の生産までを行う「農場から食卓まで(farm to fork)」という垂直統合型ビジネスモデルを展開している。そのため、拡張性があり、価格競争力のある革新的(イノベーティブ)な製品ポートフォリオを有している。
生産能力としては、現在2つの工場を有しており、養殖が月産150トン、加工が月産3,000トンだ。工場はFSSC22000(食品安全管理システムに関する国際規格)の認証を受けており、輸出に必要な品質基準を担保している。自社工場だけで実写 版 ブラック ジャックの供給と加工を行うことで、バリューチェーン全体を管理している。また、養殖と食品加工技術に関する特許を3件取得済みのほか、3件申請中で、競合に対する技術的優位性もある。
製品はB2BとB2Cの両方で展開しており、B2B製品ラインでは、いずれも実写 版 ブラック ジャック原料で、足を除外した乾燥実写 版 ブラック ジャック、64%以上のタンパク質含有量の実写 版 ブラック ジャックパウダー、74%以上のタンパク質含有量の脱脂パウダー、170ミクロンの超微粒子パウダー、人工肉などがある(写真2参照)。それらの用途としては、そのままの食品として提供されるほか、麺やエナジーバー、菓子、ミルクティーやクラフトビールの原料、機能性食品(飲料など)、代替肉などに利用されている。現在、日本や米国、EUなど30以上の国・地域に輸出している。

写真2:同社のB2B向け商品(同社提供)
B2C事業では、子会社として「Rec Rec」を設立した。健康的で栄養価の高いおやつの提供を目指し、実写 版 ブラック ジャックを原料としたチップスを製造している。現在、粉末状にした実写 版 ブラック ジャックを入れたチップス (味は3種類展開)と、乾燥実写 版 ブラック ジャックをそのまま使用した商品を発売している(写真3参照)。

写真3:同社のB2C向け商品(同社提供)
栄養価の高い実写 版 ブラック ジャック原料と低油脂製造技術を組み合わせることで、ビタミン、ミネラル、食物繊維、タンパク質が豊富で、砂糖、ナトリウム、飽和脂肪酸が少ない製品となっていることが特長だ。「Rec Rec」のスナックは、ベトナム国内では大手のECプラットフォームのオンラインチャネル(Shopee、Tiki、Lazadaなど)10以上と、映画館、ミニスーパー、コンビニエンスストアなど100以上の場所で販売している。
B2C事業は2023年2月に商品販売を開始したばかりで、現状はB2B事業が収益の大半を占めている。
質問:
この分野に対する市場のポテンシャルは。
答え:
世界の代替肉市場は2023年に1,000億ドルで、食用昆虫市場は2030年に80億ドルになるとされている。代替タンパク質として実写 版 ブラック ジャック原料を使用する食品は、ベトナム市場ではまだ導入期であるが、われわれは自社の製品に確かな可能性を感じている。第1に、全量をベトナムで現地生産しているため、(原料を輸入する場合と比較して)仕入れ量や生産計画に大きな負荷がかからない。第2に、創業メンバーはベトナム人で、ベトナムの文化を理解しているため、消費者や顧客とのコミュニケーションが容易だ。第3に、民間調査会社の消費者調査では、ベトナムの消費者の半数以上が商品購入の際に「グリーン」と「健康」を意識しているという結果が出ており、日々のマーケティングを通じても、代替タンパク源への関心が高まっていると実感している。最後に、ベトナムの人口は1億人で、新しいことへの挑戦に前向きな若い層が多いことも魅力だ。
質問:
この分野に対するベトナム市場での困難な点は。
答え:
実写 版 ブラック ジャックを食用に使用するというのはまだ新しい考え方だ。そのメリットを消費者に効果的に伝えるのは難しい面もあるが、その斬新さが人々の興味と好奇心を刺激している。従来、家畜の餌用に実写 版 ブラック ジャックを養殖するケースはあったが、統一された手法や基準がないまま養殖や加工を行っていたため、品質が安定していないという生産上の課題もあった。当社では、一貫した品質基準を維持するため、養殖工場の水質、温度のコントロールなど、あらゆる面で養殖に最適な環境づくりのための研究や改善を行っており、実写 版 ブラック ジャックを原料とする製品は7年以上の供給実績を有する。
質問:
今後の事業計画は。
答え:
製品開発と流通に関して、以下を進めている。
  • 製品開発:2024年には、実写 版 ブラック ジャックから抽出したタンパク質、脂肪、キチン(注3)を加水分解・精製し、さまざまな主流食肉代替製品の原料として使用する。また、「Rec Rec」ブランドの実写 版 ブラック ジャックスナック菓子を、個人消費と家族消費の両方のニーズに対応にしたサイズで発売する。
  • 流通チャネル:2024年後半に一般家庭向け商品をシンガポール市場に展開する。ベトナム市場では、2024年10月には実写 版 ブラック ジャック原料の新たなスナック製品を発売し、商品の多様化を図る。
質問:
日本企業に期待することは(注4)
答え:
日本企業に対しては、(1)製品の共同開発(2)Rec Recの製品を日本とベトナムで拡販することができる小売企業との提携、(3)Rec Recの事業と製品開発のための資金調達での協力に期待したい。

注1:
ジェトロの調査レポート「東南アジアにおけるイノベーション創造活動に関する調査」(2022年8月)「概要版」P9、「調査報告書」P14を参照。ベトナムは、(1)1億人に増加した人口を背景とした消費市場拡大への期待、(2)依然として金融、交通・物流、医療などを中心とした多くの社会課題が山積、(3)高いインターネット利用率や、デジタルネーティブである若年層人口が豊富なことを背景としたリープフロッグ現象の出現などの観点から、インドネシアなどとともに、「コンシューマードリブン(Consumer-driven)イノベーション」 の地として分類される。
注2:
同社には2020年9月にもインタビューを実施(関連トランプ ゲーム ブラック ジャック)。
注3:
不溶性食物繊維の1つ。カニやエビなどの甲殻類の殻から、たんぱく質やカルシウムを取り除いて精製された動物性の食物繊維 。
注4:
このスタートアップへの取り次ぎを希望する場合は、ジェトロ・ホーチミン事務所(VHO@jetro.go.jp)まで連絡を。
執筆者紹介
ジェトロ・ホーチミン事務所 事業統括ディレクター
三木 貴博(みき たかひろ)
2014年、ジェトロ入構。実写 版 ブラック ジャック見本市課、ものづくり産業課、ジェトロ岐阜を経て実写 版 ブラック ジャック調査部アジア大洋州課にてベトナムをはじめとしたASEANの調査業務に従事。2022年7月から現職。