水素、重要鉱物生産への税制優遇措置に関する意見募集開始
(オーストラリア)
シドニー発
2024年07月09日
オーストラリアのジム・チャルマーズ財務相は6月28日、グリーン水素、重要鉱物の生産に対する税制優遇措置について、パブリックコンサルテーションを開始したと発表した。この措置は、連邦政府が5月14日に発表した2024/2025年度(2024年7月~2025年6月)予算案(関連ブラック ジャック ディーラー)にも盛り込んでおり、グリーン水素生産に67億オーストラリア・ドル(約7,236億円、豪ドル、1豪ドル=約108円)、重要鉱物に対して71億豪ドルの中長期的な予算支出を発表していた。
連邦政府が作成した水素生産に対する税制優遇措置(HPTI)に関するコンサルテーションペーパーによると、適格事業者は、要件を満たした施設で生産したグリーン水素1キログラム当たり2豪ドルの法人税の税額控除を受けることができる(期間は2027年度から最長10年間)。適格事業者は2030年6月30日までに、その生産事業の最終投資決定を行う、あるいは生産を開始する必要がある。生産施設では、最低でも10メガワット(MW)に相当する電解槽(注1)が備わっている必要があり、水素生産過程で排出される二酸化炭素(CO2)は、CO2排出量の上限(排出原単位換算)が定められている(注2)。生産した水素の最終用途は国内向け、輸出向けのいずれも対象となる(注3)。
重要鉱物の生産税制優遇措置(CMPTI)については、オーストラリア重要鉱物リストに掲載した31の鉱物につき、要件を満たした事業者は国内でその鉱物の加工または精製で発生する直接コストの10%に相当する金額の法人税の税額控除を受けることができる(期間は2027年から最大10年間)。適格事業者は2030年6月30日までにその事業に対して最終投資決定を行うか、生産を開始している必要がある。
両制度のコンサルテーションペーパーに対するパブリックコメントは7月12日まで受け付けている(注4)。連邦政府は各税制優遇措置について、2027年度の運用開始を目指して、提出された意見を踏まえて制度設計、法案策定を行う予定としている。
(注1)電解槽に代わる代替製造方法の場合は、10メガワット(MW)の電解槽に相当する容量と定めている。詳細はコンサルテーションペーパーを参照。
(注2)グリーン水素の生産1キログラム当たり、二酸化炭素(CO2)排出原単位で0.6キログラム以下の排出と定めており、生産量とそのCO2排出量の証明は、連邦政府の原産地保証制度を通じて行われる。原産地保証制度とは、オーストラリアで製造した水素や低炭素の製品などの製造過程で排出されたCO2排出量を検証し、再生可能エネルギーで作られたことを証明する制度で、現在、連邦政府が制度設計を進めている。
(注3)適格事業者がHPTIと並行して、連邦政府の他の水素支援策や州政府や外国政府の水素支援策を受けることについて、制限はないとしている。
(注4)パブリックコメントの提出先は財務省のウェブサイト(水素、重要鉱物)を参照。
(青島春枝)
(オーストラリア)
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