EU議長国ハンガリー、誠実な協力姿勢示す
(ハンガリー、EU)
ブダペスト発
2024年07月05日
ハンガリーは7月1日、2024年下半期(7月1日~12月31日)のEU議長国に就任した。オルバーン・ビクトル首相は同日に行われたテレビ放送のインタビューで「ハンガリーのEU議長国就任で最大の機会は、欧州を平和に近づけることだ」と述べた。6月18日に開設された議長国特設ウェブサイトでは、議長国として真に力強い欧州の平和、安全、繁栄のために、加盟国と諸機関の誠意ある協力の精神に基づき、誠実な仲介者として活動するという基本姿勢を示した。これらの原則は同日、ボーカ・ヤーノシュEU問題担当相がハンガリー議長国のプログラムと優先事項を発表した際にも提示した。
EU議長国は半年間の任期で各加盟国が輪番制で担当し、EU理事会(閣僚理事会)の各種会合などの日程調整と議事進行のほか、他のEU諸機関との調整役などの機能を担う。ハンガリーがEUの輪番議長国を務めるのは2011年以来となる。
ハンガリーがEU議長国として優先的に取り組む7つの主要課題は次のとおり。
- 新たな欧州競争力ディール
- 欧州防衛政策の強化
- 一貫性のある実利主義のEU拡大政策
- 不法移民の阻止
- 結束政策の将来を形成
- 農家中心のEU農業政策
- 人口問題への対応
ボーカEU問題担当相は「欧州は、近隣諸国での戦争、グローバル競争、脆弱(ぜいじゃく)な安全保障情勢、不法移民、自然災害、気候変動の影響、人口動態といった共通の課題に直面しており、ハンガリーは非常時にEU議長国を受け持つことになった。また、刷新される欧州議会や欧州委員会と協力して、円滑な制度移行を確保しなければならない」と述べた。EU諸機関や加盟国との公平な協力を約束する一方で、6月26日にソーシャルメディアに投稿した動画では、ハンガリーが特定の問題に関して断固とした姿勢で臨んでいることも示した。
ハンガリーのEU議長国就任に対しては、同国が親ロシア・親中国の姿勢をみせる中、他国が懸念を示している。ドイツのアンナ・リューマン欧州・気候担当国務相は5月28日、ブリュッセルで記者団に対し、「ハンガリーがEU議長国として成功を収められるか疑問だ」と述べ、ハンガリーの法治主義違反の疑いとウクライナ支援の姿勢の揺らぎを指摘した(政治専門紙「ポリティコ」5月30日)。
(バラジ・ラウラ)
(ハンガリー、EU)
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