オルバーン首相がトランプ氏に祝意表明、景気と2国間関係の回復に期待
(ハンガリー、米国)
ブダペスト発
2024年11月12日
ハンガリーのオルバーン・ビクトル首相は11月6日、自身のX(旧Twitter)ページで、米国大統領選挙で勝利したドナルド・トランプ前大統領への祝意を表明し、「米国政治史上、最大のカムバックだ。大統領、大勝利おめでとう。世界にとって必要不可欠な勝利だ」と書き込んだ。その後、トランプ氏と電話会談も行い、「われわれは将来に向けて大きな計画を持っている」とフェイスブックにも投稿した。
オルバーン首相とトランプ氏は近年、親密な関係を築いている。首相は2016年の米大統領選挙中から公然とトランプ氏を支持していた。以降、両者は数回の会談を行い、トランプ氏は今回の大統領選挙キャンペーンイベントで、何度もハンガリー首相を肯定的な例として挙げていた。オルバーン首相は「トランプ氏が復帰すれば、戦争は続かないだろう」として、トランプ氏の復活をハンガリー経済の回復の条件とみてきた。こうした中、ハンガリー政府は4月、2025年度予算案の提出を通常の7月ではなく、米大統領選投票日の11月5日以降に延期していた。首相は11月8日朝のラジオ定例インタビューで、予算について「数カ月前には考えられなかったようなことが来年(2025年)には可能となる」と語り、「2025年、われわれは素晴らしい年を迎えることができる」と付け加えた。自国第一主義を掲げ、米国の民主党政権とはイデオロギー面で折り合いが悪いこともあり、トランプ次期政権に大きな期待を寄せている様子がうかがえる。
また、シーヤールトー・ペーテル外務貿易相は11月6日、自身のフェイスブックに「米国の有権者による決定を受け、ハンガリーと米国の政治協力は再び最高潮に達することになろう。なぜなら、われわれは平和、不法移民、家族の保護に関して、同じような見解を有しているからだ」と書き込んだ。「約1,000日ぶりにウクライナに平和が戻る可能性はこれまで以上に高まっている」とも付け加えた。
バルガ・ミハーイ財務相は、今回のトランプ氏勝利が平和構築、移民管理、国家主権の承認などの国際的なプロセスに重要な進展をもたらす可能性があると述べた。さらに、米民主党政権が一方的に破棄した租税条約が復活する可能性も含め、ハンガリーと米国の良好な関係が回復する可能性があるとした。
一方、ハンガリー国内の報道では、アナリストらからあまり楽観的でない意見もみられる。アナリストやエコノミストの中には、トランプ次期政権が関税引き上げなどの保護主義政策によって再び世界貿易を混乱させ、EUと米国の政治的・経済的不一致を悪化させると予想する者もいる。特に米国はドイツ産業にとって主要な市場のため、米国の貿易政策が変われば、最終的にはドイツへのサプライヤーのハンガリー産業にも悪影響を及ぼすことになると主張している。
(バラジ・ラウラ)
(ハンガリー、米国)
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