英自由民主党、マニフェスト公表、ネットゼロ目標の前倒し表明

(英国)

ロンドン発

2024年06月24日

英国では、7月4日に行われる総選挙に向けて、各政党がマニフェストを公表している。支持率(「「BBC」6月21日時点、注1」で労働党(41%)と保守党(21%)、リフォームUK(17%)に次いで11%を得ている自由民主党の動向とマニフェストについて整理する。

自由民主党は6月10日にマニフェスト「フェアディールのために」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公表した。経済や国営医療サービス(NHS)、気候変動、住宅市場が危機に陥っており、EUとの関係も損なわれたとして保守党を批判。英国を人々が能力を最大限発揮できるような国とするため、主に次のことに取り組むとした。

  • 再生可能エネルギーや住宅のエネルギー効率向上に投資。
  • 保健サービスへの早期アクセス、ソーシャルケアの修復に向けて投資。
  • 気候変動への対応を新たな産業戦略の中心に。ネットゼロ移行に向け、企業や消費者に訓練とインセンティブ、アドバイスを提供。
  • EUとの関係を修復し、早急に貿易に係る障壁を撤廃するような包括的な協定に合意。
  • 下院議会、地方議会の選挙制度を比例代表制に変更。

気候変動に関しては、2030年までに電源の9割を再エネとするとしたほか、現在は2050年に設定されている温室効果ガス(GHG)排出のネットゼロ目標を2045年に前倒しするとした。再エネについては、太陽光や風力に関する不要な規制を撤廃、潮力や波力にも投資するとした。そのほか、エネルギー貯蔵の手段としてグリーン水素や蓄電池などへの投資も表明している。また、2030年以降新たに販売される乗用車と小型バンについて、ゼロエミッション車とすることも発表した。

EUとの関係修復については、4段階で実施し、最終的には単一市場への復帰を目指すとした。

推計では議席は大幅増の見込み

ユーガブは6月19日に有権者への調査を基に推計した各政党の得票率と獲得議席数を発表した。自由民主党は得票率12%(注2)で、前回総選挙から56議席増の67議席を獲得すると推計されている。

(注1)複数の機関による調査結果を基にした各党の支持率の平均値。「わからない」や「投票しない」などの回答は除く。

(注2)北アイルランド以外の全地域での割合。

(山田恭之)

(英国)

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