リフォームUK、マニフェスト公表、移民に対する厳しい姿勢打ち出す
(英国)
ロンドン発
2024年06月24日
英国では、7月4日に行われる総選挙に向けて、各政党がマニフェストを公表している。支持率(「BBC」6月21日時点、注1)で労働党(41%)と保守党(21%)に次いで17%を得ているリフォームUKの動向とマニフェストについて整理する。
前党首が急きょ立候補表明して党首に復帰、保守党には打撃
リフォームUKの党首を現在務めるナイジェル・ファラージ氏は、2021年3月に同党首を退任し、今回の総選挙にも当初は立候補しない考えを表明していた。しかし、6月3日に急きょ立候補を発表し、リチャード・タイス氏に代わってリフォームUKの党首に復帰するとした。同氏の立候補表明は、右派の票が割れるという点で、保守党にとっては打撃になると報じられた(「ガーディアン」6月3日)。実際、この発表後、同党の支持率は上昇し、BBCによると、6月2日時点の同党支持率は12%だったが、現在は17%まで上昇している。
同党は6月17日にマニフェスト「われわれと国民の契約(Our Contract with You)」を公表した。14年間の保守党政権を「失敗」と評し、労働党に対しては「移民、犯罪、税金がさらに増える」と批判。その上で、リフォームUKのみが常識的な政治に取り組む準備ができているとした。マニフェストでは、移民政策を筆頭に主要な施策として次のことなどを掲げている。
- 全ての不必要な移民を停止。不法移民は拘留し、送還。必要ならば小型船で英国に渡ろうとする移民をフランスに送還。
- 保健システムを改革し、国営医療サービス(NHS)の待機者をゼロに。無駄を省き、より多くの資金を前線に投入。医師、看護師に対する税制優遇策を導入。
- 所得税の基礎控除額を現行の1万2,570ポンド(約254万円、1ポンド=約202円)から2万ポンドに引き上げ。
- エネルギー賦課金とネットゼロ目標を廃止。国内の石油・ガス資源を活用。
ユーガブは6月19日に有権者調査を基に推計した各政党の得票率と獲得議席数を発表した。リフォームUKは得票率15%(注2)、5議席を獲得すると推計されている。なお、同党の前身のブレグジット党は2019年の総選挙では議席を獲得できなかった。
(注1)複数の機関による調査結果を基にした各党の支持率の平均値。「わからない」や「投票しない」などの回答は除く。
(注2)北アイルランド以外の全地域での割合。
(山田恭之)
(英国)
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