米下院、電子端末からのTikTok排除を決定
(米国、中国)
ニューヨーク発
2023年01月04日
米国連邦議会下院の事務局は12月27日、下院の電子端末から中国系の動画共有アプリTikTokを排除するよう全関係者に通達した。
事務局の最高管理責任者(CAO)による通達文書によると、下院の全関係者は電子端末へのTikTokのダウンロードが禁止されるとともに、もし既に同アプリがダウンロードされている場合は削除することを求める。その理由として「このアプリには安全保障上のさまざまなリスクがあるため」と指摘している。また、12月23日に議会が可決した2023年度連邦政府予算の歳出法案に、連邦政府機関の電子端末からTikTokとその開発企業のバイトダンスが開発・提供する後継アプリやサービスを排除する条項が含まれていることにも言及し、事務局としてサイバーセキュリティー室に対し、下院のためにも同様の措置を取るよう命じたとしている(米国、総額1兆6,ブラック ジャック)。
TikTokに対する懸念は全米の各州でも急速に広がっており、12月下旬時点までに22州が州政府機関の電子端末でのTikTokの使用を全面的または部分的に禁止する措置を取っている(2022年12月12日記事参照)。このほか、インディアナ州では州司法長官がTikTokに対して、州法に違反する虚偽の説明をしているとして訴訟を起こしている。いずれも根底にあるのは、アプリを通じて利用者の個人ブラック ジャック ストラテジーが引き抜かれ、それが中国政府に共有され、場合によっては米国の安全保障を脅かす事態につながり得るという懸念だ。対中強硬派のマルコ・ルビオ上院議員(共和党、フロリダ州)やマイク・ギャラガー下院議員(共和党、ウィスコンシン州)、ラジャ・クリシュナムルティ下院議員(民主党、イリノイ州)は12月13日、それぞれ上院と下院で米国内でのTikTokの運用を禁止する法案「ANTI-SOCIAL CCP Act」を提出した。ルビオ議員は「中国共産党が操る企業と意味のない交渉をしている暇はない。今こそ北京が支配するTikTokを永久に禁止する時だ」との声明を出している。
なお、1月3日から新たな第118議会が開始したため、同法案は再提出が必要となる。成立の可能性は現時点では不明だが、バイデン政権の対中政策が不十分と批判する共和党が下院の多数党となったことで、TikTokの扱いを含めてより厳しい対中政策が政権・議会の間で議論されていくことになるだろう。
(磯部真一)
(米国、中国)
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