欧州委、ブレグジット移行期間終了に備えた準備指針を公表
(EU、英国)
欧州ロシアCIS課
2020年07月13日
欧州委員会は7月9日、英国のEU離脱(ブレグジット)の移行期間終了後に起こり得る避けられない変化に対する各国当局や産業界、市民の準備を手助けするコミュニケーション「変化に備える」を採択、公表した。EU・英国間の国境を越える交易には、将来のパートナーシップに関する協定を合意できるかどうかにかかわらず、移行期間後の2021年1月1日以降に変化が起きる。欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は「英国民はEUとその恩恵から離脱することを民主的な選挙で決定した。そのことは緊密なパートナーシップ協定に向けてどれほど努力しても、関係変化が避けられないことを意味している」とし、「私の最優先課題は、EUの市民と企業が2021年1月1日に向けて、できる限り準備できるようにすることだ」と強調した。
今回のコミュニケーションは、進行中のEU・英国間の協定の交渉結果にかかわらず、変化が起きる主な分野のセクターごとの概要と、これらの変化に備えるために各国当局や産業界、市民が取るべき方法を示している。それは決して交渉の結果を予断しようとするものではないため、合意に達しなかった場合に考えられる影響については検討しておらず、緊急対策の必要性についても考慮していないとしている。
その目的は、ブレグジットという英国の決断によって引き起こされた不可避の混乱に対して、全ての行政機関と利害関係者が十分に準備できるようにすることであり、これらの措置は国レベルで取られた行動を補完するものだとしている。
欧州委員会は並行して、離脱協定交渉時に公表された全利害関係者向けの102の準備通知を見直し、必要に応じて更新する。その多くは、2020年末の移行期間の終わりにも引き続き関連するものだ。50以上の更新通知のリストがコミュニケーションの付属書に記載され、全て欧州委の専用ウェブページで入手できる。
欧州委は今後数カ月にわたり、各国当局や産業界、その他の利害関係者と緊密に連携して作業を行い、協定を合意できるかどうかにかかわらず、年末に起こり得る広範囲の変化に備える支援を行うとしている。
(田中晋)
(EU、英国)
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