経済・エネルギー省、欧州のクラウド・データインフラ構想「ガイア-エックス」の進捗を発表

(ドイツ)

デュッセルドルフ発

2020年06月08日

ペーター・アルトマイヤー経済・エネルギー相は6月4日、フランスのブリュノ・ルメール経済・財務相と共同で記者会見を行い、欧州のクラウド・データインフラストラクチャー構想「ガイア-エックス(Project GAIA-X)」の進捗を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。これは「欧州データインフラストラクチャーに向けた仏独ピッチ」と題されたイベントにて発表したもので、新型コロナウイルスの影響によりオンライン配信のかたちで行われた同イベントでは、両大臣による会見のほか、ガイア-エックスプロジェクトに参画する仏独の企業や専門家によるピッチセッションが開催された。

同プロジェクトは、欧州のための安全で信頼できるデータインフラストラクチャーを整備することを目的とし、2019年秋に開催されたデジタルサミットでアルトマイヤー経済・エネルギー相によって提唱された。(1)欧州のデータ保護、(2)開放性と透明性、(3)信憑(しんぴょう)性と信頼、(4)デジタル主権と自己決定、(5)自由な市場アクセスと欧州の価値創造、(6)モジュール性と相互運用性、(7)ユーザーにとっての使いやすさという7つの基本原則の下、構想の実現に向け、約300の欧州内外の企業や科学機関が関与しているという。

今回新たに発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますされた5つの報告書では、同プロジェクトが目指す方向性や結果、プロセスといった概観のほか、技術的構造の初期コンセプト、欧州のルールやスタンダードへの適応、現在報告される40以上のユースケースを基とした「インダストリー4.0/中小企業」、「ヘルスケア」「ファイナンス」「公共部門」「スマートリビング」「エネルギー」「モビリティ」「農業」の8つの分野における共通要件と特殊要件の特定およびモデル化に向けた取り組み等が示された。

アルトマイヤー経済・エネルギー相は、会見の中で、「新型コロナウイルスによる危機は、ヘルスケア産業や学校、企業や家庭におけるデジタル化の重要性を如実に示している」と指摘、世界における競争力向上と将来の雇用確保のためデジタル分野でのイノベーションを全力で押し進めていくと強調した。

(森悠介)

(ドイツ)

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