雇用創出オムニバス法で外資規制緩和の方針
(インドネシア)
ジャカルタ発
2020年02月28日
インドネシア政府が2月12日に国会提出した雇用創出オムニバス法案では、外資規制に関する法改正が予定されている。ジェトロが経済調整府の資料と同法案の原文を確認したところ、中小企業に関する定義の変更、投資優遇リストの導入、外国のスタートアップに対する就労許可の優遇などが含まれていることが判明した。
雇用創出オムニバス法案に含まれる11分野の法改正のうち、企業の事業活動に大きく関係するのは、事業許認可、投資要件、労働、中小零細企業、事業便宜、土地収用、経済地区の7つの分野だ。特に、中小零細企業法の改定が外資規制に与える影響は大きい。現行の2008年法律第20号では、外国企業を一律に大企業分類と位置付ける一方、中小企業の定義を、全ての業種で「純資産100億ルピア(約7,900万円、1ルピア=約0.0079円)以下、もしくは年商500億ルピア以下」と定めているためだ。同法は、中小規模の外国企業がインドネシアに進出できない制度上の要因となっていた。
今回の法案では、中小零細企業の定義を定める条文を撤廃し、代わりに、純資産、年商、投資額、雇用者数によって、事業分野ごとの定義を下位法令(政令)で定めるとしている。これにより、業種によっては、中小企業の要件金額が緩められる可能性があり、外国企業が進出しやすくなると期待される。
また、投資活動の基本法である法律2007年第25号も、一部改正される見通しだ。現在インドネシアは、500超の事業分野について内資との合弁義務(ネガティブリスト)を定めているが、オムニバス法案では、ネガティブリストに関する記載を条文から削除している。代わりに、詳細を大統領規程において定めるとした。経済調整府などの説明によると、従来のネガティブリストを衣替えし、政府が投資優先する分野を打ち出したプライオリティリストを導入する見通しだ。同調整府によると、優先分野に含まれるものは、ハイテク産業、大規模投資、デジタル産業、労働集約型産業となっている。ネガティブリストを廃止するのかどうかは、今後の推移をみる必要があるが、より多くの分野の投資を呼び込む方針に転換していくと期待されている。
さらに、外国のスタートアップについては、労働法の改正案の中に、外国人雇用計画書(RPTKA)なしでもインドネシアにおいて、外国人が働くことができるといった規制緩和につながる条文が盛り込まれている。
(山城武伸)
(インドネシア)
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