第3四半期のGDP成長率は前年同期比0.9%にプラス転化
(トルコ)
イスタンブール発
2019年12月16日
トルコ統計機構(TUIK)の発表(12月2日)によると、2019年第3四半期(7~9月)の実質GDP成長率は、市場予測(1.0%前後)とほぼ同じ前年同期比0.9%となり、3期連続のマイナスからプラスに転じた。
消費の冷え込みに改善の兆し
第3四半期の成長率は、外国為替とインフレ率が落ち着き始めたことで、民間および政府の消費支出が牽引した。ただし、季節・日数調整後の成長率(前期比、年率換算)では、前期の1.0%から0.4%へと鈍化しており、景気回復に向けた勢いは弱く、期待されたV字回復には至っていない。
第3四半期GDPを支出項目別にみると、GDPの最大項目である家計最終消費支出は前年同期比で1.5%増と、前期の1.0%減からようやく増勢に転じた(表1参照)。特にサービスの伸びが大きい。また、政府最終消費支出が7.0%増と伸びている。
他方、民間投資を含む総固定資本形成は、前期の前年同期比22.4%減から改善はみせているものの、第3四半期は12.6%減の落ち込みとなり、5四半期連続のマイナス成長だった。総固定資本形成の内訳をみると、かつて経済の牽引力となっていた建設が18.0%減と低迷が続いている。機械・設備も7.5%減だった。
輸出は前年同期比5.1%増と減速しつつも堅調で、通貨安の影響で落ち込みが続いていた輸入も7.6%増とプラスに転じた。外需(ネット輸出)は黒字を維持しているが、今後、景気の回復により輸入が拡大し、赤字に転じる可能性もある。
生産部門別にみると、上記のように建設の落ち込み(前年同期比7.8%減)が続いている(表2参照)。他方、建設以外はプラス成長となり、特に農林水産業は3.8%増と好調だった。また、製造業も前期の3.3%減から1.4%増と改善している。
政府の2020年GDP成長率の目標は5.0%で、経常赤字のGDP比は1.2%だ。市場の成長率予測は、民間消費と投資の回復に対する見解が一致せず、1.0~5.0%(中央値は約3.0%)とぶれがみられる。
(中島敏博)
(トルコ)
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