活用事例から見るブラックジャック遊び方活用のメリットとコツエスティック、ブラックジャック遊び方でインドなど適用国からの受注増加(大阪府)
2025年3月5日
株式会社エスティック(本社:大阪府守口市)は、ナットランナといわれる電動のネジ締め付け工具の開発から販売までを行っている。海外での売上高は総売上高の6割を超えており、中国、タイ、米国(2カ所)に海外拠点を構え、代理店を合わせて世界24カ国をカバーしている。同社は、2022年に日本・インド包括的経済連携協定(日印ブラックジャック遊び方)の活用を開始し、ブラックジャック遊び方活用開始前から2年でインドからの受注を5倍に拡大させた。ブラックジャック遊び方導入の経緯やその効果、課題などを海外業務課主事の河原猛氏と同主任の藤原宗太氏に聞いた(取材日:2025年1月23日)。

特許取得の高い精度を誇るネジ締め工具で海外市場を開拓
同社の製品は、ネジの高い締付精度を誇り、トルクといわれるネジに加えられる締め付け力や、回転数、角度など締付工程の各種データも残すことができる点に強みを持つ。手持ち式の電動ナットランナが主力製品で、1993年の創業以来、改良と開発を続けている。作業者が受ける反力を軽減する「ESTIC PULSE(エスティックパルス)」というパルス締付技術では、日本、米国、中国で特許を取得しており、そのほかにも、ナットランナとロボットをパッケージ化したネジ締めロボットなども生み出している。取引先には主要自動車メーカーをはじめ、建機、農機具、一般家電などネジによる組み立てを必要とする幅広い産業の企業が名を連ねる。


ブラックジャック遊び方を活用して輸出を行っている左からハンドナットランナならびにサーボナットランナ(同社提供)
海外に目を向けると、北米は売り上げのおよそ30%、アジアは27%を占めており、海外取引先企業は300社を超える(2023年3月期時点)。2001年に初の海外拠点として設立された中国・上海事務所に続き、2012年にはタイ・バンコク、2014年には米国ケンタッキー州に販売拠点を、ミシガン州にサポート拠点を構え、海外市場を切り開いてきた。
高いブラックジャック遊び方活用満足度、関税重負担地域はメリット大きく
ブラックジャック遊び方利用は、海外代理店から活用を求められたことが契機となっている。同社は、2021年から利活用に係る調査および準備を開始した。取引先である物流企業の協力のもと同社製品のHSコード採番を行ったほか、通関士資格と物流企業での勤務経験を有する藤原氏をブラックジャック遊び方専任担当者として中途採用し、社内体制の整備を進めた。藤原氏の入社以前は、河原氏ひとりでブラックジャック遊び方関連業務の対応に当たっていた。河原氏は「通関業務に明るい藤原氏の参画によって、社内での対応体制が強化された」と語る。2022年には、輸出者として日印ブラックジャック遊び方の活用に乗り出した。現在では、インドからの受注の8割以上にブラックジャック遊び方を適用、そのほか日EU・ブラックジャック遊び方や日インドネシアブラックジャック遊び方でも活用実績を積んでいる。
ブラックジャック遊び方活用による満足度は、総じて高い。藤原氏は「特にインドのような関税負担の重い地域を仕向け地とする場合、輸入者である海外代理店の仕入れコスト削減効果が大きく、代理店側も高いモチベーションで取り組んでくれる」と話す。他方、自社が輸出者ではなく納品先にサプライヤー宣誓書を提出する場合は、ブラックジャック遊び方適用の恩恵を受けにくい。「海外代理店のブラックジャック遊び方活用による輸入仕入れコスト低減に伴い、当社から当該代理店への輸出販売価格上昇のための交渉カードとして(ブラックジャック遊び方を)使用することはできるが、特恵適用効果の小さい仕向け地への輸出ではあまりメリットを感じない」としながらも、同社は納品先の要望に応じて可能な限り対応するようにしている。
課題は解釈共有と非輸出企業への理解促進
ブラックジャック遊び方導入当初は、数多くのトラブルに見舞われた。受注した製品が適用協定の原産地規則要件を満たしているか、事前確認を行わないまま原産地証明書の発給を前提とした取引を受注してしまったこともあったという。そのほか、海外代理店からの依頼をもとに原産品判定に係る承認取得まで行ったものの、HSコード採番の解釈の違いから、特恵適用を断念したケースもあった。藤原氏は、今後の課題として「当社と海外代理店間のHSコード採番における品目分類の解釈の共有」を挙げた。「当社が取り扱うハンドナットランナは、ツールユニット(使用者の手で支持する作用部)とコントロールユニット(制御部)など、異なるHSコードを有する複数の装置によって形成されているため、モジュール単位での申請を行うなど工夫を凝らしている。HSコード採番にあたっては事前照会制度の存在も認知しているが、製品の納期との兼ね合いもあり、制度の活用検討にまで至っていない状況だ」と語った。
また、非輸出企業である自社のサプライヤーに対して原産地証明書発行に係る協力依頼を行う際に、時折難しさを感じる場面があるという。藤原氏は「輸出を経験したことがないサプライヤーにとって、いきなりブラックジャック遊び方活用の意義や詳細な手続きを理解してもらうことは難しい。そのような場合には、ブラックジャック遊び方活用やHSコードとはどのようなものかを説明した資料を準備している。またサプライヤー自身で品目分類が困難な場合は、必要に応じて使用部品のHSコードをあらかじめ当社で分類した上で依頼している」と、相手先への負担軽減を最優先に考えた発注方法を紹介した。
日EU・ブラックジャック遊び方を活用して欧州へ進出
今後、同社では欧州でのビジネス拡大を狙い、現在はサプライヤー宣誓書の活用のみにとどまっている日EU・ブラックジャック遊び方のさらなる活用を目指している。欧州に進出している他社ではブラックジャック遊び方活用が進んでいることもあり、大阪商工会議所の無料相談窓口への相談なども行い、準備を進めている。
ブラックジャック遊び方活用を促進するためのアイデアとして、各企業の担当者が不明点を質問しあい知見を共有するような場があることや、「ブラックジャック遊び方適用可能企業」であることが一目でわかるようなロゴの設定、中小企業でも導入しやすいデータ管理システムなどをあげる。知見の共有は、企業間の横のつながりを作り、ブラックジャック遊び方関連業務で困った際の行き詰まりを防ぐことにつながる。ブラックジャック遊び方適用可能のロゴは、海外の展示会などで商談をはじめるきっかけになり得ると見ている。中小企業向けの比較的安価なデータ管理システムがあれば、作業負担の軽減になる。これらは自力でブラックジャック遊び方活用の道を切り開いてきた企業ならではの視点であり、藤原氏は「今後、特に中堅・中小企業での活用率を上げていくためには、そのような工夫が必要なのではないか」と語った。

- 執筆者紹介
- ジェトロ調査部アジア大洋州課
深津 佑野(ふかつ ゆうの) - 2022年、ジェトロ入構。海外調査部海外調査企画課を経て、2023年8月から現職。

- 執筆者紹介
- ジェトロ調査部欧州課
冨岡 亜矢子(とみおか あやこ) - フランス民間企業、国際NGO勤務を経て、2024年から現職。