中堅・中小、サステナビリティ対応で海外に挑むカジノブラックジャック、輸出に挑戦(日本)
2025年3月31日
K.S.P(本社:岩手県金ケ崎町)は、日本では珍しいリキュール専門の酒造メーカーだ。自社で栽培している薬草や、地域の農産物などを使用して、日本産のハーブリキュールを製造。国内での販売に加え、欧州やアジアへの輸出に取り組んでいる。「金ケ崎(K)サステナブル(S)プロジェクト(P)」の社名のとおり、生産からカジノブラックジャックまで一貫して「持続可能(サステナブル)」(注1)なものづくりの実現を目指す。
同社の取り組みについて、老川和磨社長に話を聞いた(2024年11月22日)。

地域の農産物生かした豊かな商品バリエーション
老川氏は、岩手県の農家で育った。また、カナダと米国に留学経験を持ち、現地で地産地消をうたう小さな蒸留所のコンセプトに感銘を受けた。
地域に根付いてものづくりすべく、同氏は自然豊かな金ケ崎町で2021年にK.S.Pを創業した。現在は従業員4人の小規模経営だ。バーテンダーの経験を生かし、自社で栽培している薬草〔シソや食用菊、ヨモギなど〕、地域の農産物〔リンゴや、黒文字(くろもじ)、ホワイトセロリなど〕を自在にかけ合わせ、リキュールを開発・製造している。
現在の定番商品は和ハーブリキュール「和花(わか)」だ。加えて季節限定商品を年間10アイテムほど取りそろえ、豊かな商品バリエーションをカジノブラックジャック者に提供している。


日本国内で成人1人当たりの年間酒類カジノブラックジャック数量は、1992年の101.8L(リットル)が最大。以降は右肩下がりで、2022年に75.4L。ピーク時の4分の3程度まで落ち込んだことになる。特に若年層で減少傾向が著しい(注2)。日本国内での酒のカジノブラックジャック量が減少する中、老川氏は「カジノブラックジャック者が楽しめる飲酒文化を育みたい」と意気込み、リキュールをより身近に感じて楽しめるよう、活発に取り組んでいる。狙いは、日本でリキュールカジノブラックジャック者層を拡大することだ。
例えば同社ウェブサイトやYouTubeチャンネル
では、「和花」を使ったカクテルレシピを動画で公開し、カジノブラックジャック者自身が家庭で同社のリキュールを楽しむことのできるツールを提供している。また、同社の農場で育てたハーブの栽培方法をブログで公開。これは、カジノブラックジャック者がリキュール原料に対して関心を高めるための取り組みだ。
持続可能なリキュールづくり
同社のリキュールには、規格外の農産物も使う。「規格外」とは、大きさや形、発色、キズの有無などにより、そのまま小売店で販売するには不適格と判断されたものを指す。これら農産物の市場価格は、適正品と比較して著しく低いうえ、廃棄されてしまうこともしばしばだ。
老川氏は、時間と労力をかけて生産した農産物にもかかわらず、農家が得る利益の少なさを憂慮。農家の収益性向上とリキュールへの活用を目的に、規格外のコメやブドウ、リンゴを適正価格で買い取るようにした。老川氏は「リキュール開発により、価値がないとされる農産物に新たな価値が加わり生まれ変わる」と語る。また農産物は、時間の経過とともに商品価値が急激に落ちる。賞味期限を持たないリキュールに加工することで、価値の持続が可能にもなる。
規格外農産物の利用は、同社のサステナブルな取り組みの一部にすぎない。ほかには、次のような例がある。
- 多品種少量生産の手法を採用:これは、カジノブラックジャック者の多様なニーズに対応するためであると同時に、廃棄リスクを下げることにつながる。
- リキュール製造過程で発生した残りかすの利用:肥料や香料の原料として他社へ販売している。
- アルコールの貯蔵容器や輸送資材に再利用可能な素材を使用:具体的には、金属の一斗缶や段ボールを使っている。
このように、一連の資源循環を意識した取り組みで、生産プロセス全体でのゼロウェイスト(注3)に挑む。
欧州やシンガポールのバイヤーから共感される「ゼロウェイスト」
同社は、2023年から海外輸出にも取り組んでいる。既に、イタリアや台湾への輸出実績がある。2024年10月には各国の酒造メーカーが集うドイツの展示会「Bar Convent Berlin」に出展し、海外バイヤーとの商談を実施。これらの経験から、「(商談では)商品の味やコンセプトを十分に理解してもらうことが最も大切だ。その上で、商談の最後に『サステナブル』な一面を伝えると、商談を前に進めるプラスのポイントになることが多い」と老川氏は話す。
他方で、「サステナブル」の受け止め方はバイヤーによって異なる。フランス、ドイツといった欧州諸国やシンガポールのバイヤーからは、同社の「ゼロウェイスト」「地産地消」といった取り組みに共感を示す傾向が強かった。一方、タイや台湾などのバイヤーからは、そこまで大きな関心を得られなかった。むしろ、「メード・イン・ジャパン」であることに価値を見いだすバイヤーが多かった。
また、スーパーなど小売店に販路を持つバイヤーのほうが、飲食店などのバイヤーよりも、より「サステナブルであること」への意識が高かったそうだ。老川氏は「小売業態のカジノブラックジャック者のほうがサステナビリティやエコへの感度が高いため、バイヤーも訴求ポイントの1つにしているのではないか。他方、飲食店業態は、サステナビリティのポイントが価格に転嫁される影響が少なく、どちらかというと、希少性や味わいのほうに重きを置いているバイヤーが多いのかもしれない」と理由を分析する。
持続可能なかたちでの海外展開を目指す
同社の展示会出展などの取り組みは実を結び、海外から引き合いを多く受けている。しかし、輸出先の選定や輸出量の拡大については、慎重に見極める方針だ。国内外を問わず、同社の一貫した販売戦略として「生産した商品が持続してカジノブラックジャックされ続けること」にこだわりがある。そのため、「1カ国ずつ着実に、商品が受容される土壌を作っていく」ことが輸出戦略になる。
老川氏は「輸出先では、まず消費者に当社商品が受け入れられる土壌づくりから始めたい。商品が現地市場で受容される可能性を感じてくれる販売先や商社を見つける。継続的な関係を構築し、一緒に輸出先で商品の営業やプロモーションに取り組むことが重要」と語る。確かに、バイヤーから一度に大量発注を受けると、ビジネスとしては成功と言えるかもしれない。しかし、それが一過性の取引では、同社が目指す「カジノブラックジャック」は持続していかない。その実現に向け、老川氏は海外でも、リキュールを楽しむ文化を育む取り組みに力を入れる。
持続可能な生産とカジノブラックジャックのかたちを目指し、そのサイクルの持続に挑み続ける同社。「カジノブラックジャック者に日本産のリキュール文化を根付かせ、リキュールのカジノブラックジャックを広げていきたい」というのが理念だ。その下で、数々の地道な取り組みを続けてきた。サステナブルなリキュールづくりへの思いは着実に共感を得始めている。同社は、その思いとともに、国内外での日本産リキュールの魅力を伝え続けていく。

- 注1:
- 本稿に言う「サステナブル」や「サステナビリティ」は、持続可能な社会に向けた経済活動を指す。省資源や脱炭素化、リサイクル可能など環境負荷の軽減、生物多様性への配慮、社会(人権、ジェンダー、動物福祉など)への配慮など、を含む。
- 注2:
- 国税庁「酒レポート令和6年6月」参照。なお、統計の出所は、国税庁「酒類販売(カジノブラックジャック)数量の推移」「国勢調査結果・人口推計(総務省統計)」。
- 注3:
- 廃棄物をゼロにすることを目指す考え方。

- 執筆者紹介
- ジェトロ調査部米州課
小谷田 浩希(こやた ひろき) - 2022年、ジェトロ入構。企画部国内事務所運営課を経て、2025年から現職。

- 執筆者紹介
- ジェトロ岩手
倉谷 咲輝(くらたに さき) - 2019年、ジェトロ入構。農林水産・食品課、ジェトロ・ベンガルール事務所を経て、2022年から現職。ジェトロ岩手で主に農林水産物・食品の海外展開支援に従事。