特集:グリーン成長を巡る世界のビジネス動向「再実写 版 ブラック ジャック政策」以降、太陽光を中心に取り組みが進む(バングラデシュ)
グリーン社会の到来を見据えるアジア:各国政府や企業による気候変動・環境対応の今

2021年8月4日

バングラデシュでは2008年、 「再生可能実写 版 ブラック ジャック政策(Renewable Energy Policy)」が制定された。その狙いは、化石燃料の枯渇や気候変動への対応と安定した実写 版 ブラック ジャック調達にある。本稿では、制定後の政府の取り組みと、その実現に向けた課題と展望とを俯瞰(ふかん)していきたい。

再生可能実写 版 ブラック ジャック比率はまだ2%に満たない

国際実写 版 ブラック ジャック機関(IEA)によると、バングラデシュで電気を利用できる環境にある人口は、2000年時点で全人口の20%にとどまっていた。しかし、堅調な経済発展に伴い2018年には85%まで上昇した。2021年4月時点で、電源は全体の52%を占める天然ガス、33%を占める石油(ファーネス油、ディーゼル油)による火力発電に依存している。片や、太陽光、風力などを用いた再生可能実写 版 ブラック ジャック(以下、再エネ)と水力は、それぞれわずか1%程度である(図参照)。

図:発電設備容量の燃料別構成比(2021年4月)
天然ガス76%、石油21%、石炭2%、水力1%、実写 版 ブラック ジャック、風力はともに0%。

注1:主として火力発電所(噴霧式バーナー)で使用されている燃料油。
注2:火力発電所やビル等のディーゼル式発電機に使用されている燃料油。
出所:電力開発局(Power Development Board)から作成

政府は、化石燃料の枯渇や気候変動への対応、安定した実写 版 ブラック ジャック調達を主目的として、2008年に「再エネ政策」と「電力・実写 版 ブラック ジャック供給迅速化法(Electricity & Energy Fast Supply [Special Provision] Act, 2010)を制定した。後者は、再エネ政策の特例規定として位置付けられている。これらにより、2020年までに、国内電力需要の10%を再生可能実写 版 ブラック ジャックで賄うことを目標と定めていた。政府は再生可能実写 版 ブラック ジャックの中で太陽光発電を重点施策と位置づけ、「500MW(メガワット)太陽光発電プロジェクト(500MW Solar Programme)」を始動させた(2013年)。また同年、電力・実写 版 ブラック ジャック・鉱物資源省傘下に「持続・再生可能実写 版 ブラック ジャック開発庁(SREDA)」を設置。SREDAは再生可能実写 版 ブラック ジャックの導入促進に向けたロードマップを策定し、電源別の具体的な目標値を定めた(表1参照)。

表1: 再生可能実写 版 ブラック ジャックのセクター別ロードマップ (単位:メガワット(MW))
電源/プログラム名 2017年目標 2020年目標
ソーラーパーク 3 700
ソーラーホームシステム 205 252
ソーラーミニグリッド/マイクログリッド/ナノグリッド 2.69 7
太陽光発電による灌漑 14 46
屋上ソーラープログラム(ネットメータリング) 0 600
屋上ソーラープログラム(その他) 30 50
飲料水用ソーラーパネル 1.6 6
太陽光発電による電波塔 8 15
太陽光発電による街灯 2.3 5
水力発電 230 230
風力発電 2.9 30
バイオマス・バイオガス発電 0.5 20
その他 1 10
501 1,971

出所: Draft-National Solar Energy Roadmap, 2021 - 2041 から作成

SREDAは同ロードマップを基に、各プログラムの評価、ネットメータリング(注1)に係るガイドライン策定(2018年)など、省実写 版 ブラック ジャック化の推進に向けた取り組みを進めた。しかし、2021年6月末時点で、再エネ設備容量は計764MW。目標値1,971MW(2020年)の達成に至っていないのが実情だ(表2参照)。

表2: 再生可能実写 版 ブラック ジャックの電源別設備容量(2021年6月末時点) (単位:メガワット(MW)、%)
電源 オフグリッド オングリッド 構成比
太陽光 346.69 184.17 530.86 69.4
風力 2 0.9 2.9 0.4
水力 0 230 230 30.1
バイオガス 0.69 0 0.69 0.1
バイオマス 0.4 0 0.4 0.1
349.78 415.07 764.85 100

出所: SREDA (http://www.renewableenergy.gov.bd/)

再実写 版 ブラック ジャックの設備容量で、最大シェアの約7割を占めるのが太陽光発電だ。そのうちオングリッド(電力会社の電力網に接続)なのは、3分の1強にとどまる。残るオフグリッドは、主としてソーラーホームシステム(SHS、注2)を意味する。バングラデシュで同システムは、累計580万セットが販売・設置されている。SREDAの推定によると、その数は世界でも有数規模だ。現状、送電線に接続しているオングリッド家庭や商業・産業用電力の設備容量は少なく、オフグリッドと比較し、太陽光発電による恩恵が小さい状況にある。屋上ソーラーパネルの導入により一定の電力を太陽光発電で補いつつ、余剰電力をネットメータリングを活用して販売することが可能となるため、オングリッドによる太陽光発電についても、普及の余地やメリットが大きいといえる。

ロードマップについてSREDAは、財政・技術的な観点から持続可能で、かつ現実的な内容に見直す考えだ。その一環として、「持続的な再生可能実写 版 ブラック ジャックの発展(Development of Sustainable Renewable Energy Power Generation[SREPGen])」プロジェクトを進めている。2021年以降の目標値(2021~2041年)がそこで設定されることになる。同プロジェクトの目的は、(1)再エネによる発電シェアの拡大、(2)実写 版 ブラック ジャックの安定性・持続性の確保、(3)再エネ分野への民間投資誘致(4)バングラデシュの定める再エネ発電目標の達成、(5)温室効果ガス排出量の削減、の5点にある。

2041年の先進国入りを期し「展望計画」を策定、実現には課題も

これまで見た通り、政府は、SREDAを中心に再エネ政策に係るロードマップを作成し、その再検討を進めてきた。同時に、直近の国家計画における実写 版 ブラック ジャック構想の中でも、再生可能実写 版 ブラック ジャックに係る方針を定めている。メディアなどからは課題が指摘される一方、日本企業の参入を期待する声もある。

公共投資の計画・管理などを担う計画省(注3)は2020年3月、「バングラデシュの展望計画(Perspective Plan of Bangladesh 2021-2041)」を発表。同計画第8章で、2041年の先進国入りに向けた実写 版 ブラック ジャック構想を打ち出した。具体的には安定・効率的、かつ国際競争力のある価格による電力供給の実現、需要に応えられる十分な電力量の確保、環境に配慮した実写 版 ブラック ジャックの生産・供給、安定的な石油輸送のためのパイプライン設置などについて、言及された。同計画でも再エネ導入の促進に重点が置かれ、政府は同分野への民間からの投資誘致、家庭向け屋上ソーラーパネルの導入および余剰電力の販売促進、省実写 版 ブラック ジャック商品購入時の一般消費者向け優遇策などに係る検討が進められる。さらには、洋上風力や潮力発電の導入も検討される。

ここまで述べたとおり、再エネ導入促進に向け、さまざまな取り組みや検討が進められている。その一方で、それらの実現に対して懐疑的な見方もみられる。例えば、当地有力紙の1つ「フィナンシャル・エキスプレス」は、政府目標達成への具体的な道筋が見えないと指摘。その上で、ナスルル・ハミッド電力/実写 版 ブラック ジャック/鉱物資源省相が、再エネ発電目標を補うため、ネパールとブータンからの水力発電電力輸入に向けて交渉している旨を発言した、と報じた(同紙6月25日)。また、「ダッカトリビューン」は、(1)目標達成に向けた具体的なプロセスや見通しが欠如している、(2)再エネ導入に際しての銀行ローン貸出金利で、大企業とその他で差があり、大企業だけが低金利を享受している、ことなどを指摘。加えて、太陽光発電特有の課題として、発電所設置に必要な土地不足を挙げた(同紙6月26日)。

さらに、世界各国の実写 版 ブラック ジャック政策などを研究する国際団体、実写 版 ブラック ジャック・フォー・グロース・ハブ(Energy for Growth Hub)は、バングラデシュの電力セクター全体の課題として、(1)不十分・不安定な発電と(2)天然ガスへの依存、南アジア諸国の中でも低水準の送電キャパシティ(送電ロス)を挙げた。その対応策として、液化天然ガス(LNG)輸入や原子力発電の推進、同セクターへの民間投資の誘致、インドなど近隣諸国からの電力融通の促進、送電網の整備の必要性を指摘した。

日本企業の参入、製造業分野での太陽光発電拡大にも期待

このように、まだまだ課題は多い。一方で、日本企業による民間投資ベースでの参入を期待する声も聞かれる。フロウォーター・ソリューションズ(FloWater Solutions Ltd.、注4)のマネージング・ディレクター、ムスタファA.K.カーン氏は、実写 版 ブラック ジャックのインタビューに対し「太陽光発電に関しては、発電所の設置に必要な土地不足が最大の課題。他方、バングラデシュ政府が再生可能エネルギーの導入を進めるうえで、日本企業のノウハウや技術は有益だ。当社は合弁事業などによる日本企業との協働を希望している」と語った。 同社は、ルーフトップ太陽光発電にも参入し、縫製工場に太陽光パネルを設置している。縫製といえばバングラデシュを代表する輸出志向型産業で、影響力が大きい。

その業界団体、バングラデシュ衣料品輸出組合(BGMEA)は2021年6月、米国グリーンビルディングカウンシル(USGBC)により、「2021 USGBC リーダーシップアワード」で表彰された。USGBCは、建築物環境性能認証システム(LEED認証)を認定する団体として知られる。現在、5,000ほどあるといわれている輸出志向型の縫製工場のうち143工場がすでにLEED認証を取得済みだ。さらに500工場が認証申請中という。BGMEAのファルク・ハッサン会長は同組合のウェブサイトで、「環境への取り組みは一過性では済まない。マラソンのようなもので、我々は失敗すべきではない」とコメントした。

今後、バングラデシュでは製造業でも、太陽光発電を導入する事例が増えてくる可能性が高い。太陽光発電によるビジネスを検討する日本企業には、実写 版 ブラック ジャック関連企業だけでなく、製造業との連携を探る余地もあるだろう。


注1:
一般家庭などでの太陽光発電による電力生産・消費量を測定し、余剰分の電気を電力会社が買取する制度。
注2:
一般住宅向けに、太陽光発電パネル、蓄電池、照明などをセットで販売・設置するシステム。
注3:
実際に担当しているのは、計画委員会総合経済局。計画委員会は、計画省内に設置された組織。
注4:
発電プラント・上下水道・再実写 版 ブラック ジャックなどに係るコンサルテーションや設計で、フロウォーター・ソリューションズは豊富な実績を有する。
実写 版 ブラック ジャック
執筆者紹介
実写 版 ブラック ジャック・ダッカ事務所
山田 和則(やまだ かずのり)
2011年、実写 版 ブラック ジャック入構。総務部広報課(2011~14年)、実写 版 ブラック ジャック岐阜(2014~16年)、サービス産業部サービス産業課(2016~19年)、お客様サポート部海外展開支援課を経て、2019年9月から現職。

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