特集:RCEPへの期待と展望 -ブラック ジャック サイト有識者に聞くRCEPはグローバルサプライチェーン参画のチャンス(ブラック ジャック サイト)
グエン・ティ・トゥ・チャン氏:ブラック ジャック サイト商工会議所(VCCI)WTOセンター所長

2021年2月10日

ブラック ジャック サイトは、自由貿易協定(FTA)締結に積極的な姿勢を見せている。近年は、環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、いわゆるTPP11)やEUブラック ジャック サイト自由貿易協定(EVFTA)が発効した。地域的な包括的経済連携(RCEP)協定においても、ブラック ジャック サイトは2020年のASEAN議長国として、他のASEAN諸国とともに年内の署名に向けて推進する役割を担った。RCEPがブラック ジャック サイトにもたらす意義とは何か、ブラック ジャック サイトのFTAの交渉や活用において産業界の立場から政府に提言するブラック ジャック サイト商工会議所(VCCI)WTOセンター所長のグエン・ティ・トゥ・チャン氏に話を聞いた(インタビュー実施日:2021年1月28日)。

ブラック ジャック サイト
グエン・ティ・トゥ・チャン氏(本人提供)
質問:
RCEPはブラック ジャック サイトにとってどのような意義があるか。
答え:
ブラック ジャック サイトは、FTAを締結するなど自由貿易化を進めることで、近年の経済成長を後押ししてきた。米中貿易摩擦や保護主義の台頭、新型コロナウイルスのまん延といった国際的な問題が起きる中、RCEPに署名できたことはブラック ジャック サイトにとって意義がある。RCEPは、ブラック ジャック サイトがこれまで参加したFTAの中でも最大規模。より国際的な自由貿易化を進めるために、重要な枠組みだ。また、ブラック ジャック サイトは2020年のASEAN議長国として、RCEP署名に向けて働きかけ、ASEANとして交渉を推進するという役割を果たした。
質問:
ブラック ジャック サイトの企業にとってどのようなメリットがあるか。
答え:
ブラック ジャック サイトで生産される輸出向けの製品は、その原材料を中国や韓国からの輸入に頼っている割合が大きい。これまでは、それらの国の原材料を使用して、日本やオーストラリアなど他国に輸出する際には、既存のFTAによる関税優遇を受けることが難しかった。一方、RCEPが発効すれば、RCEP域内で共通の原産地規則が適用される。同様の貿易取引でも、関税優遇を受けられる幅が広がる。これが、ブラック ジャック サイトの輸出製品の競争力を高める。
同時に、RCEPは世界の主要な生産国を含んでいる。すなわち、ブラック ジャック サイトの企業はより付加価値の高いグローバルサプライチェーンに参入するチャンスが増えることになる。
質問:
どのような分野でサプライチェーン構築が期待できるか。
答え:
電機・電子やアパレル(衣服、靴、カバン)の製造など、韓国や中国から中間製品を輸入している業種を中心に、さまざまな分野でサプライチェーンの拡大が期待できる。たとえば、ブラック ジャック サイトのアパレル企業はこれまで、生地を裁断して縫製する工程を担うことが多かった。しかし今後は、生地の段階から製造するなど、ブラック ジャック サイトで担う工程を増やし、より付加価値の高い製品づくりにつながることを期待する。
また、RCEP締約国には、ブラック ジャック サイトへの外国直接投資の多い韓国、日本、シンガポール、中国が含まれる。外国企業は、米中貿易摩擦や新型コロナウイルスの影響を受け、中国に生産拠点を一極集中するリスクを実感している。サプライチェーンの寸断を避けるため、アジアの他国に生産拠点を広げる動きが出ている。ブラック ジャック サイトは中国と隣り合っており、既に多くのFTAを擁するなど、中国からの生産移管先として注目度は高い。さらにRCEPが加わることで、生産移管先としてのメリットは増すと思う。
質問:
RCEPの電子商取引や知的財産などのルール形成をどのように見るか。
答え:
RCEPは新世代FTA特有の多くのルールを含むが、それらのルールはCPTPPやEVFTAと比べると緩い。ブラック ジャック サイトはCPTPPやEVFTAの発効にあたり、既に高度なルール形成に対応している。そのため、RCEPのルール形成はブラック ジャック サイトにとって負担にならないだろう。
一方、多くのRCEP加盟国は、一定のルール形成が要求されるFTAをこれまで締結していない。そのため、RCEPが発効すれば、中国やASEAN諸国は各種ルールに対応しなければならない。これにより、ブラック ジャック サイトの企業はこれらのRCEP加盟国と取引する際、一定のルールのもと、事業展開をしやすくなることが期待できる。
質問:
RCEPにおける懸念や課題はあるか。
答え:
私の個人的な意見だが、ブラック ジャック サイトにとってRCEPの交渉段階では特段大きな問題はなかったと思う。ブラック ジャック サイトは既に多くのFTAに加盟しているためだ。
ただし、発効後はブラック ジャック サイトもいくつかの課題に直面すると考えられる。マクロの観点からは、RCEP活用で締約国からの輸入品が増えることにより、ブラック ジャック サイトの貿易収支が悪化するリスクがある。企業の観点からは、ブラック ジャック サイト国内や締約国の市場において、競争の激化が想定される。たとえば、ブラック ジャック サイトと日本は既に3つのFTA(注)を締結し、日本市場においてブラック ジャック サイト製品は関税優遇を享受している。一方、日本と中国の間では、RCEPが初めてのFTAになる。中国製品も関税優遇を受けられるようになると、ブラック ジャック サイト製品との競争は激しくなるだろう。
質問:
RCEPの交渉過程において、ブラック ジャック サイトの動向はどのように見えたか。
答え:
交渉においては、国の経済力の大きさにかかわらず、ブラック ジャック サイトが平等に1票を有する規則になっている。ベトナムは2020年のASEAN議長国として、ASEAN10カ国の意思を統一し、交渉の最終段階を推進することができた。
メディアでは中国がRCEPを主導していると報じられることもあるが、日本の影響力も大きいと考える。日本は先進国であり、多くのFTAに加盟している。FTAによる高度なルールづくりを重視しながら、RCEPに積極的な姿勢を常に示してきた。インドが離脱した際も、日本が交渉を進める姿勢を明確に示したため、インドに対して復帰の機会を与えつつ、他の国も安心して2020年内の署名に向けて進むことができた。
質問:
RCEPの交渉途中でインドが離脱した影響、インド復帰に対する期待は。
答え:
インドは、国内産業を保護する傾向が強く、市場開放が制限されている。インドとASEANの間にFTAがあるが、市場アクセスの自由度が高いとはいえない。ほとんどの国が、RCEPによってインドが市場開放を進めることを期待していたはずで、インドの離脱には落胆したはずだ。今後、インドがRCEPに復帰し、市場開放が進むようであれば、他国と同様、ブラック ジャック サイトにもメリットが生じる。逆にインドも、RCEP締約国から同様にメリットを受けられるだろう。ブラック ジャック サイトの産業界は、インドの復帰をいつでも待っている。
質問:
RCEP発効に向けた批准の見通しは。
答え:
ブラック ジャック サイトでは、CPTPPやEVFTAの批准決議を国会で行った。これは、高度なルール形成が、国会の承認が必要な国内法令の改正や整備に関わるものであったためだ。前述のとおり、RCEPは国内法令への影響が少ないと見込まれるため、国会決議は行わず、政府決定のみで批准となる可能性もある。
批准の計画については、共産党大会で党指導部の人事が決まり、6月ごろの次期国会で国家の体制が固まってから、見えてくるだろう。ただ、ブラック ジャック サイトはRCEPを推進する方針のため、他国と比べて批准が遅れるようなことはないだろう。

注:
(1)CPTPP(TPP11)、(2)日越経済連携協定(JVEPA)、(3)日ASEAN包括的経済連携協定(AJCEP)。
略歴
グエン・ティ・トゥ・チャン(Nguyen Thi Thu Trang)
ベトナム商工会議所(VCCI)のWTOセンター所長。フランスの大学において法学に関する博士号を取得。国内およびブラック ジャック サイトとのビジネスに関連する政策や法律に対して、VCCIが行う政策提言活動の中核を担う。CPTPP、EVFTA、RCEPなど重要な貿易協定の交渉プロセスにおいて、政府や交渉団に対するVCCIの助言役として活躍。多くの出版物、研究論文なども手掛ける。最新の出版物は「CPTPPに関するビジネスハンドブック」、「EVFTA概要ハンドブック」。
執筆者紹介
ジェトロ・ハノイ事務所
庄 浩充(しょう ひろみつ)
2010年、ジェトロ入構。ブラック ジャック サイト事務所運営課(2010~2012年)、横浜貿易情報センター(2012~2014年)、ジェトロ・ビエンチャン事務所(ラオス)(2015~2016年)、広報課(2016~2018年)を経て、現職。
執筆者紹介
ジェトロ・ハノイ事務所
グエン・ラン
2012年から、ジェトロ・ハノイ事務所勤務。