バイデン米政権、第1弾の対ロ制裁を発表、米ロ外相会談はキャンセル
(米国、ロシア、ウクライナ、ドイツ)
ニューヨーク発
2022年02月24日
ジョー・バイデン米国大統領は2月22日、ロシアがウクライナ東部の親ロシア派地域の独立を一方的に承認したことを「ロシアによるウクライナ侵攻の始まりだ」として、第1弾の対ロ制裁を発表した。さらに翌23日には、第1弾の制裁の一部として、ロシアからドイツへ天然ガスを輸送するパイプライン「ノルドストリーム2」の運営企業とその幹部を制裁対象にすると発表した。
バイデン大統領は2月21日には、ロシアが独立を承認したウクライナの2地域での米国人(注1)による新しい投資、貿易、金融活動を禁じる大統領令に署名していたが(バイデン米大統領、ギャンブル)、今回のウクライナ情勢に関連してロシアを標的とした制裁はこれらが初となる。
米国財務省の発表によると、2月22日に決定した制裁は、(1)開発・対外経済活動銀行(VEB.RF)とプロムスビャジバンク(PSB)の2銀行およびそれらの子会社42社、ならびにPSB子会社所有の船舶5隻の特別指定国民(SDN)への指定、(2)ロシアのウラジーミル・プーチン大統領に近い人物とその家族5人のSDNへの指定、(3)ロシアの中央銀行、国民福祉基金および財務省が新規に発行した債券の、米国金融機関によるセカンダリーマーケットでの取引禁止、の3点で構成されている。SDNに指定された場合、在米資産の凍結や、米国人との資金・物品・サービスの取引禁止が科される(注2)。なお(3)に関連して、バイデン政権は2021年4月にロシア政府債のプライマリーマーケットでの取引を禁止しており、今回はその措置を拡大したかたちだ(カジノ 無料、選挙介入などが理由)。
2022年2月23日に決定した「ノルドストリーム2」関連の制裁では、ドイツと協調した措置として、運営企業のノルドストリーム2AGと同社最高経営責任者(CEO)で、プーチン大統領に近いとされるマシアス・バルニグ氏をSDNに指定した。バイデン大統領は「ロシアが事態を悪化させるなら、われわれは躊躇(ちゅうちょ)なくさらなる手段を取る」としている。22日に記者会見を行ったダリープ・シン安全保障担当大統領副補佐官とジェン・サキ大統領報道官は追加制裁の選択肢として、国際銀行間通信協会(SWIFT)からの排除を含む、さらなる金融制裁や輸出管理を挙げている。
なお、バイデン政権は外交による解決の道も開いているとしているが、アントニー・ブリンケン国務長官は2月22日、24日に予定していたロシアのセルゲイ・ラブロフ外相との会談をキャンセルする、と発言した。ロシアが外交を拒否する姿勢を鮮明にした今、会談を行う意味はない、と理由を述べている。
(注1)米国市民、米国永住者、米国の法律に基づく、もしくは司法権がおよぶ域内に存在する法人(外国支所も含む)、もしくは米国内に存在するあらゆる個人を指す。
(注2)SDN指定を受けた事業体・個人が、直接・間接的に50%以上を所有する事業体も同じく制裁の対象。
(磯部真一)
(米国、ロシア、ウクライナ、ドイツ)
ビジネス短信 f23c0e73211ca690