大同工業が合弁会社設立、2021年5月の一貫生産開始を目指す
(パキスタン)
カラチ発
2019年06月20日
二輪車用チェーン製造を手掛ける大同工業(本社:石川県加賀市)は6月18日、パキスタンの地場自動車部品メーカーのアトラス・オート〔Atlas Autos(Private)Ltd.〕と合弁契約を締結した(6月19日付同社プレスリリース)。両社は合弁会社「アトラスDID」を新たに設立し、パキスタンで二輪車用チェーンの工場を設ける。アトラスDIDは、現地の二輪車メーカーやアフターマーケットに対して、品質・コスト・納期などがより優れた製品・サービスを提供する。大同工業は2017年11月にアトラス・オートと技術援助契約(アトラス・オートでの委託生産)を締結したが、わずか約2年で生産拠点設立の経営判断に至った。
パキスタン進出をスピード決定
契約締結のためパキスタンを訪れた大同工業の新家啓史・副社長は、パキスタンへの投資決定の理由について、「残された有望な二輪車市場はどこかを冷静に見渡した時、やはりパキスタンは重要かつ有望な市場だった」と、今回のスピード決定の経緯を説明した。
新家副社長によると、「約2年前にパキスタンを訪れた際、ジェトロ・カラチ事務所はブラック ジャック ストラテジー事務所の中で3番目に古い(1954年設立)という話を聞いた。当時から日本とパキスタンの関係が非常に緊密だったと知った時の強烈な印象は、今でも鮮明に記憶に残っている」と言う。歴史ある両国の友好関係も、進出決定のポジティブな要素の1つになったようだ。
合弁パートナーであるアトラス・グループのサケブ・シラジ取締役は「パキスタンの経済情勢が厳しい時期に直面しているのは事実だが、そうした逆風下においても、ビジネスチャンスを見いだす姿勢こそ、真のビジネスパーソンの精神だ。(アトラスのパートナーである)本田技研工業を創設した本田宗一郎氏の起業家精神にも通じる」と今回の合弁契約を振り返り、「大同工業の当地進出と当グループとの合弁契約締結を心より歓迎する」とした。
(久木治)
(パキスタン)
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