ポリグルがパキスタンで社会事業を開始、飲料水を無償提供

(パキスタン)

カラチ発

2024年02月08日

途上国を中心に100カ国以上で使用されている水質浄化剤「ポリグル」を製造販売する日本ポリグルの子会社、ポリグルソーシャルビジネス(大阪市、代表取締役会長・小田兼利氏)が、202310月にパキスタンで水浄化事業を開始した。

同社は、シンド州内陸部の農村サングハールとディグリに水浄化施設を設置。地元コミュニティのリーダーに作業を指導し、人々への飲用水提供を開始した。施設は地元に譲渡され、今後は地元リーダーが中心となって主体的に運営する予定だ。同社はポリグルを日本から調達し、コミュニティに継続的に無償提供されるため、当面の間は、飲用水は人々に無償提供される。

写真 飲み水の配給に並ぶ人々(ポリグルソーシャルブラック ジャック ストラテジー提供)

飲み水の配給に並ぶ人々(ポリグルソーシャルビジネス提供)

同社パキスタン代表のアブダル・ラフェイ・エイジャズ氏は21日、ジェトロの取材に対し「パキスタンでは、国民の8割がきれいな飲料水を入手できておらず、水に起因する病気も深刻だ。ポリグルは費用対効果と持続可能性が高く、パキスタンに適したユニークな解決策だ」と述べた。また、将来の夢については「官民パートナーシップを作り、政府支援の下、コミュニティ自らが飲用水問題に取り組むことがゴールだ」と語った。

エイジャズ氏は23歳。イスラマバードのコムサッツ大学でバイオサイエンスを専攻中に、NHK国際放送でポリグルのドキュメンタリー番組を見たことがきっかけとなり、ポリグルを卒業論文のテーマに選んだ。その後、国立衛生研究所(NIH)の支援も得て卒論「ポリグルの有効性」を完成させ、論文執筆の縁から、2022年初めに同社パキスタン代表に任命されるに至った。現在は国立科学技術大学大学院修士課程で、持続可能な開発と気候変動を研究している。

写真 ポリグルソーシャルブラック ジャック ストラテジー社パキスタン代表のアブダル・ラフェイ・エイジャズ氏(本人提供)

ポリグルソーシャルビジネス社パキスタン代表のアブダル・ラフェイ・エイジャズ氏(本人提供)

エイジャズ氏は現在、英国にあるパキスタン系慈善団体のアルハビブイスラム教育文化センターからポリグル調達費用全額の寄付を受け、同氏の祖父が経営するシグマモータース(ジャガーランドローバー車を輸入販売)から資材調達と内陸輸送の支援を受けている。また、貧困層へ教育や医療を提供するNGO団体のカウィッシュ福祉財団からは内陸遠隔地でのリーダー探しなどの活動でサポートを受ける。

写真 資材を運搬するシグマモータースの人々(エイジャズ氏提供)

資材を運搬するシグマモータースの人々(エイジャズ氏提供)

エイジャズ氏は「現在は飲料水を無償提供しているが、今後施設が増えアルハビブセンターからの資金だけで賄いきれなくなったら、必要コストを確保するために1リットル1~2ルピー(約0.5~1円、1ルピー=約0.5円)の最低限の価格で販売することも検討する」と語った。

(山口和紀)

(パキスタン)

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