特集:オンライン カジノ ブラック ジャック現場労働者の不足が深刻化、国民の幹部登用への圧力高まる(シンガポール)
2021年11月15日
シンガポールのオンライン カジノ ブラック ジャックは、新型コロナウイルス感染拡大に伴う渡航規制により、2020年から2年連続で減少した。このため、製造業や建設業といったオンライン カジノ ブラック ジャックへの依存度が高い業界では人材不足が深刻化している。また、景気悪化に伴う雇用不安が広まる中で、企業に対して幹部職や専門職にもシンガポール国民を登用するよう圧力が高まっている。そういった新型コロナ禍に伴う雇用環境の変化に、日系企業がどう対応しているのか、各社へのインタビューを基に報告する。
渡航規制などでオンライン カジノ ブラック ジャックが急減、求人数が過去最高に
シンガポールの労働者の3分の1以上を占めるオンライン カジノ ブラック ジャックは2020年以降、長引く新型コロナ流行による渡航規制などで減少を続けている。人材省(MOM)によると、オンライン カジノ ブラック ジャックは2019年末時点で142万7,400人だったが、2021年6月末には119万7,100人となり、23万300人減少した。2020年以降、幹部・専門職向けの就労査証「エンプロイメントパス(EP)」、中技能向け「Sパス」、低熟練向けの「ワークパーミット(WP)」といった全種別で就労査証保持者が減少している(表参照)。
項目 | 2016年 | 2017年 | 2018年 | 2019年 | 2020年 |
2021年 6月 |
---|---|---|---|---|---|---|
エンプロイメントパス(EP) | 192,300 | 187,700 | 185,800 | 193,700 | 177,100 | 166,900 |
Sパス | 179,700 | 184,400 | 195,500 | 200,000 | 174,000 | 164,200 |
ワークパーミット (WP、建設・造船労働者) |
407,500 | 360,700 | 355,700 | 370,100 | 311,000 | 304,200 |
ワークパーミット 〔WP、メイド(家庭内労働者)〕 |
239,700 | 246,800 | 253,800 | 261,800 | 247,400 | 245,600 |
ワークパーミット (WP、建設・メイドを除く) |
345,500 | 357,700 | 363,100 | 367,100 | 289,800 | 284,500 |
その他の就労パス | 28,300 | 30,700 | 32,100 | 34,700 | 32,200 | 31,700 |
合計 | 1,393,000 | 1,368,000 | 1,386,000 | 1,427,400 | 1,231,500 | 1,197,100 |
出所:シンガポール人材省
オンライン カジノ ブラック ジャックの減少に伴い、一部の分野では人材不足が一段と深刻化している。MOMの雇用統計(2021年9月15日発表)によると、求人数は2021年3月時点の6万8,400人から、同年6月末時点に9万2,100人(季節調整済)へ増加し、過去最高の求人数に達した。この中で、オンライン カジノ ブラック ジャックへの依存度の高い製造業と建設業が求人増加分の半数弱を占めている。同国に製造拠点を置く日系企業A社の場合、雇用する約500人のうち約200人が製造活動に従事しており、この半数が隣国マレーシア南部ジョホール州からの越境通勤者を含めた外国人だ。A社幹部は「製品の需要は好調で忙しい。もともと(新型コロナウイルス流行前から)人材は不足していたが、今は必要な労働者が確保できず、(人材の)争奪戦になっている」と指摘する。
不足する建設作業員、感染対策の規制により生産性も低下
また、建設業の現場では、2020年4月から5月にかけて主に建設現場で働く低熟練オンライン カジノ ブラック ジャック向けの複数の宿舎で新型コロナ感染が広がった。それを受けて、宿舎に住む労働者の移動制限など厳しい感染対策が導入された。その後も、建設作業員に対しては宿舎や建設現場で2021年11月1日現在に至るまで厳しい感染対策の適用が続いている。
建設現場や石油化学プラントで働く低熟練のオンライン カジノ ブラック ジャックは、2019年末時点で37万100人だったのが、2021年6月末に30万4,200人となり、6万5,900人減少した。さらには、日系建設会社B社によると、「感染対策により、労働者が複数の建設現場を掛け持ちすることが禁止されている」という状況にあり、既存の労働者を効率的に現場に配置するのも簡単ではない。また、政府は2021年4月24日からインドからの就労パス保持者を含めた渡航者の入国を停止し、5月2日からバングラデシュ、ネパール、パキスタン、スリランカからの入国も停止した。同措置は10月26日まで継続した。多くの建設関連の労働者は前述の国々から訪れていることから、新規の労働者の確保は厳しい状況が続いている。建設会社B社の幹部は「最近のデルタ型変異株の感染拡大によって、宿舎で1人でも感染が確認されると閉鎖され、作業員が働けなくなる。9月に入ってから、(現場は)建設活動の停止と再開の繰り返しだ」と語る。この幹部は「現場では労働者が2割減少し、さらに感染対策の規制が加わって、現場の労働生産性はどんなに頑張っても65%程度だ」と述べた。
製造業や建設業の現場だけでなく、多くの作業員を必要とする物流の倉庫の現場でも、人材が不足している。物流会社C社では、倉庫がマレーシア国境近くの西部にあり、一定数の労働者をマレーシア・ジョホール州からの越境通勤者に依存していた。しかし、渡航規制により、これらの労働者の確保が難しくなっているという。同社の倉庫では、自社が直接雇用する作業員だけではなく、下請け業者やパートナー企業からの作業員も働く。C社の幹部は「業界全体の労働人材のパイが縮小しており、人材の取り合いになっている」と語り、人材不足により人件費も上昇していると指摘した。
就労査証審査が厳格化、高まる企業への国民登用の圧力
さらに、外国人の幹部・専門職向けの就労査証の発給基準は新型コロナ禍の中で厳格化しており、企業に対してシンガポール国民を幹部登用するよう圧力が高まっている。MOMは2010年以降、EPとSPの発給基準となる最低基本月給を段階的に引き上げるなど、外国人の就労査証の発給基準を年々引き締めてきた(2020年11月2日付地域・分析レポート参照)。しかし、最近では最低基本月給の引き上げだけではなく、国民の幹部登用の有無に関する企業への審査も厳しくなっている。物流会社C社は東南アジアの地域統括会社をシンガポールに置いている。C社幹部は「統括会社の組織上、日本人が多い人事構成となっている。EPの新規申請で履歴書(CV)や雇用契約書など、これまで求められてこなかった書類の提出を求められている」と述べた。この幹部は「日本本社とのやり取りもあるため、日本語ができる人材は重宝する。しかし、シンガポールで日本語ができる人材を採用するのは難しい」と語る。
政労使代表からなる「公平で革新的な雇用慣行のための政労使連合(TAFEP)」は2015年8月以降、シンガポール国民の幹部登用が少ない企業の審査を始めているが、この審査も最近になって一段と厳しくなっているとの声もある。同国に製造拠点と地域統括拠点を置く日系企業D社では2021年半ば、同社の採用方針や採用手続きなどについて、TAFEPによる細かな監査を受けた。MOMは2014年8月から、EP申請前に求人バンク〔現、マイ・キャリア・フューチャー(MCF)〕への求人広告の掲載を義務付け、2020年10月からはSパスの申請の際にもMCFへの求人広告掲載を義務付けている。TAFEPはD社に対して、求人広告に日本語などの言語要件を求めないよう指導。また、全応募者の履歴書をダウンロードするほか、応募者を採用しなかった理由の記録とその記録の3年間保存などを求めたという。求人広告の掲載期間は2020年10月から、14日間から28日間に延長された。これにより、EPやSパスの新規申請手続きが長期化しているほか、雇用主側の事務上の負担も一段と増している。
デジタル化による人材の見える化で、効率的な地元人材登用の一歩に
一方、地元人材の活用に向けて、新たな取り組みを始める日系企業もある。双日アジアは2020年1月、ジェトロによるASEANでのデジタルトランスフォーメーション(DX)で、全ての人材の可視化に取り組む考えだ。同社の人事総務部門の田村裕治ゼネラルマネージャーは同システム導入の背景について、「地元の人材を活用しようにも、地域統括会社も本社も(管轄地域に)どんな人材がどこにいるのかをそもそも把握しきれていなかった」と説明した。同システム導入を地元人材の活用に向けた基盤とし、アナリティクスを導入した人事評価の実施も視野に入れている。
新型コロナ禍の中、シンガポールでは、人材不足や国民の幹部登用というこれまでの課題がさらに顕在化している。 シンガポール経済は、実質GDP成長率が2020年に前年比マイナス5.4%となり、1965年の独立以来最悪のマイナス成長だった。国民の間では雇用不安が高まり、オンライン カジノ ブラック ジャックに対する反発が再び高まっている中、リー・シェンロン首相は8月29日、独立記念集会の演説(ナショナルデー・ラリー)で、EPとSパスの発給基準をこれからも引き上げる方針を示した(2021年8月31日付ビジネス短信参照)。リー首相は同演説の中で、TAFEPのガイドラインを法制化することも明らかにしており、企業に対して国民の幹部登用に関する圧力が今後も高まっていく見通しだ。
- 執筆者紹介
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ジェトロ・シンガポール事務所 調査担当
本田 智津絵(ほんだ ちづえ) - 総合流通グループ、通信社を経て、2007年にジェトロ・シンガポール事務所入構。共同著書に『マレーシア語辞典』(2007年)、『シンガポールを知るための65章』(2013年)、『シンガポール謎解き散歩』(2014年)がある。