特集:号砲!中南米のスタートアップICTブラック ジャック コツを支える通信インフラ、独特のネット利用習慣
中南米のスタートアップの概要(2)

2019年2月19日

中南米地域は、概して通信環境や端末普及の水準が他の開発途上地域より高く、市民のSNS利用も盛んだ。このことは、既に他地域で情報通信技術(ICT)を使って成功したブラック ジャック コツモデル導入のきっかけとなり得る。他地域で成功したブラック ジャック コツモデルをベースにしたり、類似のブラック ジャック コツモデルを展開したりするスタートアップは、投資家視点からみても投資判断がしやすい。本レポートでは、中南米のスタートアップ動向をみる上で重要な要素である、通信インフラ整備と市民のインフラ使用の現状を紹介する。

ブラック ジャック コツターネットを駆使する市民とそれを支える通信ブラック ジャック コツフラの進展

まさに「火がついた」ともいえる2017年から2018年にかけての中南米のスタートアップの状況だが、今後の市場の成長性をみる上で、ICT技術を使ったサービスの基盤となる高速通信環境の整備や端末の普及、そしてネットブラック ジャック コツフラの活用状況や水準をおさえておく必要がある。

ラテンアメリカ・プライベートエクイティ&ベンチャーキャピタル協会(Latin American Private Equity and Venture Capital Association、以下LAVCA)では、2015年前後の不況期においても、中南米のスタートアップがブラック ジャック コツ投資家を引きつけた要因の1つとして、スマートフォン普及の拡大を挙げていた(注1)。ブロードバンドの整備状況、さらにはSNSの活用にみられる市民生活へのネットの浸透で、ICTを駆使したスタートアップ成長の基盤があるということだ。フィンテック案件の中身をみても、銀行口座やクレジットカードの保有率の低さなどを背景に、メキシコやブラジルなどで金融包摂などのビジネスモデルが次々に生まれている(2018年12月28日付ブラック ジャック コツ短信参照)。マーケットプレイスやライドシェアの伸びも、こうした通信環境や端末の普及を背景に、市民がウェブ経由のサービスを日常的に使いこなしているかが重要なポブラック ジャック コツトの1つとなる。

2018年第3四半期時点における、中南米の4G高速通信回線(LTE)のシェアは42%となっており、これは他の新興国(ブラック ジャック コツド、中東・アフリカ、東南アジア、中東欧)よりも高い(注2)。また、端末に関して、GSMアソシエーション(注3)のレポート「The Mobile Economy 2018」でスマートフォンの採用率(注4)をみると、中南米は2017年時点で61%となっている。これは北米の80%、欧州の70%には及ばないものの、世界平均の57%より高い。安価なアンドロイドのスマートフォンの普及が貢献している。

さらに、その携帯電話の使い方について、GSMアソシエーションは上記レポートにおいて、同団体が独自で算出しているモバイルエンゲージメントブラック ジャック コツデックス(GMEI)に基づき、スマートフォンをどのように市民が使いこなしているかのパターンを分析している(図参照)。

図:スマートフォン使用者のエンゲージメントパターンに基づく分類
(スマートフォン使用者全体における割合)
ブラック ジャック コツ別に、北米ではアーリーアダプター(初期採用層)は53%、アーリーマジョリティ(前期追随層)は36%、レイトマジョリティ(後期追随層)は5%、ラガード(遅滞層)は6%となっている。欧州ではアーリーアダプター(初期採用層)は46%、アーリーマジョリティ(前期追随層)は42%、レイトマジョリティ(後期追随層)は5%、ラガード(遅滞層)は7%となっている。中東・北アフリカではアーリーアダプター(初期採用層)は34%、アーリーマジョリティ(前期追随層)は33%、レイトマジョリティ(後期追随層)は25%、ラガード(遅滞層)は8%となっている。東アジア、大洋州ではアーリーアダプター(初期採用層)は26%、アーリーマジョリティ(前期追随層)は36%、レイトマジョリティ(後期追随層)は24%、ラガード(遅滞層)は14%となっている。中南米ではアーリーアダプター(初期採用層)は12%、アーリーマジョリティ(前期追随層)は45%、レイトマジョリティ(後期追随層)は31%、ラガード(遅滞層)は12%となっている。南アジアではアーリーアダプター(初期採用層)は9%、アーリーマジョリティ(前期追随層)は24%、レイトマジョリティ(後期追随層)は32%、ラガード(遅滞層)は35%となっている。サブサハラ・アフリカではアーリーアダプター(初期採用層)は14%、アーリーマジョリティ(前期追随層)は18%、レイトマジョリティ(後期追随層)は49%、ラガード(遅滞層)は19%となっている。

出所:The Mobile Economy 2018(GSMアソシエーション)データに基づき作成

これによると、中南米のスマートフォンユーザーは、アーリーマジョリティーとレイトマジョリティーの割合がそれぞれ45%、31%と高いのが特徴だ。アーリーマジョリティーをGSMアソシエーションでは「実用主義者」層としている。ただし、アーリーアダプターの割合、つまり活用度の高い層は他地域より少ない(12%)。これは、2G通信規格がまだ主流で、通話に多用されている南アジア(9%)に次ぐ低さである。GSMアソシエーションは今後、通信速度の向上とともに、各段階の消費者がより高度な活用パターンに移行するのでは、とみている。中南米の場合も、アーリーマジョリティーとレイトマジョリティー層がより高度な消費者になる(「通信に接続しているだけの消費者」から「デジタルサービスを使いこなす消費者」へ)ということである。中南米におけるアーリーアダプター層の薄さは、将来的な成長余地を残しているとみることもできる。

ちなみに、世界銀行の2017年時点のデータによると、ブラック ジャック コツターネットを使った支払い行為ないしショッピングを過去に行った15歳以上の人口割合は、ブラジルで17.6%(うちモバイル経由は12.7%)、コロンビア11.7%(7.0%)、メキシコ13.2%(5.7%)にすぎない。ちなみに、日本は48.1%(33.3%)と、これらの国々よりはるかに高い。

なお、中南米の今後の通信回線整備については、エリクソンのレポートによると、2024年にはLTE回線が全体の4分の3を占めるようになり、次世代規格の5G通信については3.5GHz(ギガヘルツ)帯のものが2019年中にアルゼンチン、ブラジル、チリ、コロンビア、メキシコで導入されるだろうとしている。GSMアソシエーションは、2025年の5G導入率は7%、そしてLTE含む4Gの割合は66%に達するとみている(注5)。

世界的にみても長いネットの利用時間

通信環境とともに、抑えておきたいポブラック ジャック コツトは、市民のネットの活用特性である。例えばブラジルの場合、個人のブラック ジャック コツターネットアクセス率が日本よりもかなり低い(日本93%、アルゼンチン71%、ブラジル61%、メキシコ60%、注6)。しかし世界的にみても、ネットの利用時間が長いという特徴がある。

英国の「We are Social」のグローバル・デジタルレポート2018によると、モバイルインターネットに費やす1日当たりの時間は、ブラジルが4時間21分でタイに次いで世界2位、アルゼンチンが6位、メキシコが12位だ。また、ソーシャルメディアに費やす時間(1日当たり)も、ブラジルは3時間39分でフィリピンに次いで世界2位、アルゼンチンが5位、メキシコが7位となっている。さらに、フェイスブックのユーザー数は、インド、アメリカに次いでブラジルが世界3位(1億3,000万人)、メキシコが5位(8,300万人)だ(注7)。そのほか、シェアブラック ジャック コツに関して例を挙げると、Uberではブラジルが世界2位を占めるなど、SNSやシェアアプリを日常的に活用している市民の多さが、ベンチャーキャピタルを引きつける要素の1つとなっている。

ユーザーがスマートフォン活用に習熟し、さらに通信が高速化すれば、提供できるサービスもより多様なものとなるし、特に5Gの普及が進むと、より大量の情報がより迅速に交換されるため、農業や鉱業など中南米諸国が競争力を持つ産業分野での活用も広がり、そこに新たなブラック ジャック コツモデルが誕生する可能性もある。


注1:
“LATIN AMERICA VENTURE CAPITAL FIVE-YEAR TREND”(LAVCAウェブサイト https://lavca.org/industry-data/latin-america-venture-capital-five-year-trends/ よりダウンロード)。
注2:
エリクソン「Ericsson Mobility Report November 2018」。
注3:
GSM方式の携帯電話システムを使用している、移動体通信業者などの世界的な業界団体。
注4:
携帯電話回線契約の中から、IoT(モノのブラック ジャック コツターネット)などを除いたスマートフォン接続の割合。
注5:
GSMアソシエーションのレポート「The Mobile Economy 2018」。
注6:
国際電気通信連合(ITU)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます のウェブサイト(2019年1月7日アクセス)。
注7:
2018年1月時点。
ブラック ジャック コツ
執筆者紹介
ジェトロブラック ジャック コツ調査部 主幹(中南米)
竹下 幸治郎(たけした こうじろう)
1992年、ジェトロ入構。ジェトロ・サンパウロ事務所(調査担当)(1998~2003年)、ブラック ジャック コツ調査部 中南米チーム・チームリーダー代理(2003~2004年)、ジェトロ・サンティアゴ事務所長(2008~2012年)、その後、企画部事業推進主幹(中南米)、中南米課長、米州課長等を経て現職。