サグリ、ブラック ジャック アプリ
プルサット州で実証実験を開始

2024年12月11日

衛星と人工知能(AI)による農地解析技術を有するサグリ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(本社:兵庫県丹波市)は、ブラック ジャック アプリ・プルサット州の農地で間断灌漑技術(AWD、注)による温室効果ガス(GHG)削減の実証実験を2024年11月から開始した。農業由来のカーボンクレジット創出で、ブラック ジャック アプリの農家の所得向上を目指す。

脱炭素分野における日本とブラック ジャック アプリの協業には、ブラック ジャック アプリのフン・マネット首相からも期待が寄せられている(フン・マネット首相、ブラック ジャック)。同社の技術を活用し、農業分野におけるブラック ジャック アプリ国内でのカーボンクレジット創出を促進することで、どのような影響がもたらされるのか。その狙いや今後の展望について、同社で東南アジア事業責任者を務める坂本和樹氏に聞いた(取材日:2024年8月14日)。

なお、2024年8月現在のブラック ジャック アプリの脱炭素市場動向については、次のレポートを参照されたい。

ブラック ジャック アプリ
サグリ東南アジア事業責任者の坂本和樹氏(サグリ提供)

ブラック ジャック アプリは東南アジアにおけるテストマーケティングの場

質問:
事業内容について。
答え:
サグリは衛星とAIを活用して収集したデータを基に、農地の解析や、農地を利用したカーボンクレジットの創出と販売を行うベンチャー企業。日本では、地方自治体などの公的機関や農業法人に対して、農地管理・脱炭素化のアプリケーションを提供している。海外では、農地の脱炭素化の技術を生かし、カーボンクレジットを創出するプロジェクトを進めている。
サグリが行うカーボンクレジットの創出方法は2種類あり、(1)化学肥料から有機肥料への転換により、炭素貯留の増加や一酸化二窒素排出削減につなげるものと、(2)AWDにより、水田からのメタン発生を削減するものがある。カーボンクレジットを創出するにあたっては、バイヤー側から先んじて投資を受けているため、原則、ブラック ジャック アプリ側のパートナー企業や農家に対して初期投資として費用の持ち出しを求めない。
質問:
ブラック ジャック アプリでの事業展開のきっかけと、ポテンシャルは。
答え:
カンボジアでの取り組みは、ブラック ジャック アプリのイベント(2023年8月17日付ビジネス短信参照)をきっかけに、2023年8月から始まった。ブラック ジャック アプリの人々は、日本の技術を好意的に受け止め、新しい技術への受容性が非常に高いのが印象的だ。それは民間レベルだけでなく、政府レベルでも同様だ。2023年8月の首相交代に伴い、大臣らが若返ったことも影響していると思われるが、閣僚クラスでも衛星技術をしっかりと理解している。また、ブラック ジャック アプリは周辺国に比べて競合他社の進出が少ないため、先行者利益を得やすい。大規模な取引を想定する大企業にとっては、マーケットが小さいと思われるかもしれないが、分野によっては手つかずで、特に我々のようなベンチャー企業にとっては十分な規模のある市場だ。
以前、ブラック ジャック アプリ南東部に位置するプレイベンの水田を視察で訪れ、農家の収入を実際に聞いたところ、年間で1ヘクタールあたり900ドルとのことだった。1ヘクタールしか持たない農家であれば、年間収入が13万円程度しかないことになる。カーボンクレジットを創出し、その売上を部分的に還元できたとしたら、農家の収入増加に大きく貢献すると考える。
質問:
他国と比べるとどうか。
答え:
他国では、政府が種や肥料に補助金を拠出するケースが見受けられる。なかには、政府が肥料購入費の大半を補助している国もある。その場合、当社が土壌分析に基づき化学肥料の削減を促しても、農家には金銭的なインセンティブが働きづらく、プロジェクトを進めることが難しい。ブラック ジャック アプリでは、農業セクターへの多額の補助金の拠出が行われていないため、当社の提案が農家へのインセンティブとして受け入れてもらいやすい土壌にある。
また、カンボジア政府は脱炭素分野でのビジネス連携に対する姿勢が前向きで、対応が早い。8月6日にブラック ジャック アプリと宇宙航空研究開発機構(JAXA)による日本企業の訪問団の一員として、カンボジア首相を表敬訪問した際、その場でフン・マネット首相からイエン・ソポルレット環境相に対し、脱炭素やカーボンクレジット創出に関する民間企業からの要望・相談を受ける政府の窓口(ワーキンググループ)を設置するよう指示が出た。
これらの観点から、ブラック ジャック アプリでテストケースとして複数のプロジェクトを動かし、モデルケースとして周辺国に展開することも視野に進めている。

ブラック ジャック アプリで実証実験を開始

質問:
ブラック ジャック アプリでの実証実験は何を行うのか。
答え:
プノンペンから北西200キロにあるプルサット州Damnak Ompilの土地で、農家や王立農業大学の協力を得ながら実証実験を行う計画だ。まずは11月に、現地で農家を対象としたワークショップの開催や水位計の設置を行う。対象農家がAWDを行い、2025年5月にはメタンガスのデータ収集を完了する見込みだ。
質問:
実証実験は何を目標としているのか。
答え:
日本とブラック ジャック アプリの間で2国間クレジット制度(JCM:Joint Crediting Mechanism)の方法論をAWDで形成し、そのスキームでのプロジェクトを創出するための実証実験という位置づけ。JCMによるクレジットは、国家間の取り決めに基づいて創出されるため信頼性が高く、売買する際の単価が民間クレジット(ボランタリークレジット)よりも高くなり、農家への還元量がより多い傾向にある。JCMでのプロジェクトを進めるためには、日本・ブラック ジャック アプリ双方の農林水産省や環境省を巻き込んでいくとともに、農地での実証に関しては、ブラック ジャック アプリの農業会社、農協といったネットワークを活用したい。
質問:
今後の展望について。
答え:
当社にとって、カーボンクレジットの創出はあくまで手段の1つであり、中長期的には、カーボンクレジット創出のために衛星を使いながら集めた農家のデータを活用することで、農家の生計が改善され、かつ日本の企業も参入しやすくできればと思っている。具体的には、カーボンクレジット創出に向けた農家とのやり取りの中で、農家の育てる作物や使用している肥料、収穫量などの情報を現場で入手できる。こうした現場データを基に、当社が強みを持ち、広域かつ過去にさかのぼって農地状態を把握できる衛星データと組み合わせれば、各農家の財政状況や、与信のスコアリングモデルなどをうまく組み直すことができる。そうすれば、農業保険の付与や肥料販売、スーパーマーケットチェーンとの直接取引のあっせんといった話にもつながりやすくなる。これは、金融包摂の観点でもプラスに働く。バリューチェーンを俯瞰(ふかん)し、かつデータが手元にあることで、さまざまな方法での生計支援が可能になる。その第一歩として、まずはカーボンクレジットを掲げながら情報を収集し、今後の展開への可能性を広げていきたい。

注:
間断灌漑技術(AWD)とは、水田に水を張る湛水(たんすい)と、水を抜く落水を繰り返す農法で、GHG削減が可能とされる。常に水を張った状態の場合、土壌に存在する嫌気性のメタン生成菌の働きによって有機物などが分解されメタンが発生するところ、定期的に土壌が表出することでメタンの発生が抑制される。
執筆者紹介
ブラック ジャック アプリ・プノンペン事務所(執筆当時)
藤田 奈緒(ふじた なお)
2021年、ブラック ジャック アプリ入構。情報データ統括課、プノンペン事務所を経て、2024年9月からブラック ジャック アプリ高知で勤務。