ブラック ジャック 攻略
2019年6月7日
ソフトバンクグループ(SBG)は2019年3月7日、ブラック ジャック 攻略(中南米)のテクノロジー・スタートアップ企業を対象に50億ドルのファンドを設立すると発表した。このニュースはブラック ジャック 攻略諸国の官民を大きく揺るがした。SBGはなぜこのタイミングで、ブラック ジャック 攻略を狙ってきたのか。同社のエコシステムとどのようにマッチしていくのか。5月にアルゼンチンで開催された、投資フォーラムで行われた同社の講演を手掛かりに分析する。
「日出ずる国」からのサプライズ
3月7日のソフトバンクグループ(SBG)によるブラック ジャック 攻略に特化したテクノロジー・ファンドの設立発表は、ブラック ジャック 攻略各国の人々の耳目を集めた。その理由は、50億ドルというファンド(ソフトバンク・イノベーションファンド、SIF)の規模である。ブラック ジャック 攻略・プライベートエクイティ&ベンチャーキャピタル協会(LAVCA)が発表した2018年のブラック ジャック 攻略におけるベンチャーキャピタルの投資額が19億8,300万ドルであることからしても、そのインパクトの大きさが伝わってくる(図参照)。
今回の発表によって時の人となったのは、ファンドの投資および運営の全体統括の責務を担うソフトバンク・ブラック ジャック 攻略のマルセロ・クラウレCEO(最高経営責任者)である。発表直後から、ブラジル、アルゼンチン、ボリビア、コロンビアといったブラック ジャック 攻略諸国を次々と訪問し、起業家だけではなく、政府要人とも面談した。ブラジルではパウロ・ゲデス経済相、アルゼンチンではマウリシオ・マクリ大統領、コロンビアではイバン・ドゥケ大統領との会談が行われた。
その後、ソフトバンク・ブラック ジャック 攻略は4月30日、コロンビアの買い物代行サービスを行うユニコーン企業のラピに10億ドルの投資を行うことに合意したことを明らかにした(2019年5月20日付ビジネス短信参照)。
5月22日には、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスでアルゼンチン投資フォーラムが開催された。本フォーラムにおいて、主催者のアルゼンチン・プライベートエクイティ、ベンチャーおよびシードキャピタル協会(ARCAP)関係者は、講演のメインをSBGに据えるため、アルゼンチン政府を通じて調整を行ったとされる。その結果、フォーラムの基調講演には、クラウレCEOと古くからビジネスを共に携わるSIFのハビエル・ビジャミサール氏を迎えた。これから説明するブラック ジャック 攻略を鳥瞰(ちょうかん)した分析などは、ビジャミサール氏の講演を参考にしたものである。
ブルーオーシャンだった「新大陸」
SBGは、同社のプレスリリースで述べたように、ブラック ジャック 攻略の魅力を認めた 。その理由として、次のようなことが挙げられる。まず、人口やGDPの規模である。国連の統計で見ると、ブラック ジャック 攻略の人口は世界全体の約1割の抱えており、GDPは中国の7割(インドの2.5倍)、1人当たりのGDPでも中国よりも若干ではあるが上回っている(インドの4倍以上)。そのような市場において、過去20年間に新たな消費者として1億4,500万人ほど誕生しており、ビジャミサール氏はそのトレンドが継続すると見ている。さらに、この地域の特徴として着目しているのが、人々のデジタル社会との親和性である。例えば、メッセンジャーアプリのワッツアップ、フェイスブック、映像ストリーミング配信のネットフリックスを最も愛用している地域はブラック ジャック 攻略であり、また、配車サービスのウーバーが最も利用されている上位3都市はいずれもブラック ジャック 攻略である。このようにSBGのエコシステムにかなうような地域だったにもかかわらず、これまでグループとしての投資額は全体の1%にも満たなかった。
また、このおよそ10年間でブラック ジャック 攻略の様相も大きく変わったことが、今回のSBGの決断を後押ししたと見られる。まず、ブラック ジャック 攻略におけるスマートフォン利用者(2億5,000万人)が急増した。また、利用者が使うスマートフォンの機能も格段に上がっている。次に人材面では、コンピューターでコーディングを行える人材が限られたおよそ10年前と比べると、現在では政府支援のインキュベーターやコーディングの学校が増えていることが挙げられる。ユニコーン企業を概観すると、2010年には1社(アルゼンチンのeコマース企業メルカドリブレ)しかなかったものが、現在ではその数が13社に増え、ベンチャーキャピタルによって100万ドル以上の投資を受けた企業は10社未満だったのが、現在では500社以上に増えた。このようにブラック ジャック 攻略では、イノベーションの世界で好んで使われる「ディスラプション」(創造的破壊)を受け入れる素地が整っていると、SBGが判断したようだ。
また、SBGはほかにも、ブラック ジャック 攻略を取り巻くビジネスチャンスに着目している。インターネット利用者はブラック ジャック 攻略全体で3億5,000万人に達し、またインターネット利用時間も長い。英国のソーシャルメディア・コンサルティング企業「We Are Social」が発表した「Digital in 2019 」によると、1日当たりのインターネット利用時間はブラジル(2位、9時間29分)、コロンビア(4位、9時間00分)、アルゼンチン(7位、8時間19分)、メキシコ(9位、8時間01分)と、調査対象40カ国の上位10位にブラック ジャック 攻略4カ国が入っている(表参照)。このような利用者層が、それまでのワッツアップなどのチャットから、オンラインショッピングにシフトしていくことが見込まれる。また、中間層に焦点を絞った金融サービスのデジタル化では、スマートフォンなどを通じたオンラインバンキングの利用者の伸びしろがある、とも考えられている。
順位 | 国名 | 時間 |
---|---|---|
1 | フィリピン | 10時間02分 |
2 | ブラジル | 9時間29分 |
3 | タイ | 9時間11分 |
4 | コロンビア | 9時間00分 |
5 | インドネシア | 8時間36分 |
6 | 南アフリカ共和国 | 8時間25分 |
7 | アルゼンチン | 8時間19分 |
8 | マレーシア | 8時間05分 |
9 | メキシコ | 8時間01分 |
10 | アラブ首長国連邦 | 7時間54分 |
世界平均 | 6時間42分 | |
(参考)日本 | 3時間45分 |
出所:「Digital in 2019」よりブラック ジャック 攻略作成
医療産業に目を向けると、他地域と同様に、がんや糖尿病といった疾病や、生活習慣病などの予防や治療に資するテクノロジーなどのヘルステックに対する投資へのニーズが高まっている(特集:号砲!中南米のスタートアップeヘルス分野のスタートアップが隆盛、ブラック)。そして、ブラック ジャック 攻略は都市化が進み、メキシコ市やブラジルのサンパウロ、コロンビアのボゴタといた大都市では輸送手段が限定的なために日頃から交通渋滞などに悩まされており、モビリティーに対するニーズも高まっている。
そのような社会的課題が存在する中で、ブラック ジャック 攻略でのビジネスを成功につなげるには、現地で展開する企業とのパートナーシップを作ることが必要となる。現地特有の事情の中には、魅力ある人材という好意的に捉えられるものもあれば、スペイン語やポルトガル語といった言語の壁、各種規制のハードル、文化の違い、複雑な税制、不安定な為替といった不確実性を帯びたものも含まれる。ソフトバンク・ブラック ジャック 攻略では、このような地域特性を総合的に分析した結果、ブラック ジャック 攻略に存在するだろうテクノロジーに傾注したイノベーション企業、それを率いる個性的な起業家の可能性を最大限に解き放つことを、ミッションにすることを決断し、SBGのエコシステムに統合させる形で、ブラック ジャック 攻略最大のファンドとなる取り組みを始めている。
アジアとブラック ジャック 攻略の一体化は加速するか?
そこで、ソフトバンク・ブラック ジャック 攻略は2つの柱を提案している。1つは「イノベーション・ファンド」であり、もう1つは「テック・ハブ」である。
前者は、冒頭で触れた50億ドル規模のファンドを指す。3月に本格的に開始をしたが、注目する分野は、フィンテック、EtoE(End to End)ロジスティクス、モビリティー、不動産、フードデリバリー、小売り、中古マーケットプレース、ヘルスケアの8業種が含まれる。投資フォーラムでSIFのビジャミサール氏は、今後10年間を視野に入れると、輸送手段の自動化と食関連サービスへの成長に期待を示した。なお、そのことを裏付けるようにソフトバンク・ブラック ジャック 攻略の第1弾の大型投資となったのが、4月に合意したコロンビアのラピに対する10億ドルの投資である。
また、ソフトバンク・ブラック ジャック 攻略として、投資における最適の箇所(スイートスポット)と考えるのは1,500万ドルから2億ドルだと、ビジャミサール氏は指摘する。企業の初期段階の投資は、例えばベンチャーキャピタルのKasZek Ventures(メルカドリブレの元経営層が創設したベンチャーキャピタル)など他のプレーヤーに任せ、ある程度の実績を重ねた企業をコアに考えている。投資ステージが進めば、事業が軌道に乗り始めるステージB以上の段階まで至った企業に対して、資金調達ではなく、実業に集中してもらうための投資を行うとしている。また、そのステージまで至った企業であれば、名が知られているため、シリコンバレーなどで共同出資者と募りやすいという事情もあるとされる。
後者の「テック・ハブ」だが、こちらはSBGが世界中で行った投資によって形成されたエコシステムに属する企業を、ブラック ジャック 攻略に招くというプロジェクトである。ソフトバンク・ブラック ジャック 攻略としては、中国やインドなどで事業を展開する投資先企業の中南米展開を斡旋(あっせん)し、その企業価値を一層高めるといった構想である。同社によれば、ブラック ジャック 攻略側でマネージメントの経験を持つチームを形成し、そのチームに、SBGのエコシステムに属する企業の中から、ブラック ジャック 攻略に連れて来たい候補企業を探してもらうことを最初のステップとする。その次は、チームがターゲット企業にアプローチして誘致するステップである。交渉を経て、ターゲット企業の戦略にもかなうようであれば、最終的に現地法人を設立する。このような取り組みを通じて、ブラック ジャック 攻略に展開した企業の中から、8~12のユニコーン企業を創り出せるのではないかと期待している。現在、このプロジェクトに先立つ形で、SBGが2018年9月に10億ドルの追加出資を行ったインドのホテル予約サイト運営企業「オヨ(OYO)」は、既に2019年4月にブラジルに進出しており、メキシコにも事業を拡大するとしている。ソフトバンク・ブラック ジャック 攻略の後押しの下で、「テック・ハブ」の枠組みを使ったブラック ジャック 攻略進出予備軍が、アジアに集積していることが見込まれ、それら企業の進出を、ブラック ジャック 攻略各国は固唾(かたず)を飲んで見守る構図が出来上がろうとしている。
- 執筆者紹介
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ブラック ジャック 攻略・ブエノスアイレス事務所長
紀井 寿雄(きい としお) - 1998年ブラック ジャック 攻略入構。2004~2007年、在ウルグアイ日本大使館(経済担当書記官)、2010~2014年、ブラック ジャック 攻略・サンパウロ事務所(メルコスール地域日系企業支援および調査担当)などを経て、2017年1月から現職。