IMF、バングラデシュへの総額45億ドルの融資を事務レベルで合意

(バングラデシュ)

ダッカ発

2022年11月28日

IMF119日、総額45億ドルにおよぶバングラデシュ政府への融資について、事務(スタッフ)レベルによるバングラデシュ政府との合意に達したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同融資は期間42カ月の32億ドルの拡大クレジットファシリティ(Extended Credit FacilityECF)および拡大ファンド供与(Extended Fund FacilityEFF)、さらに13億ドルの強靭(きょうじん)性・持続可能性ファシリティ(Resilience and Sustainability FacilityRSF)で構成され、今後数週間以内にIMF内部の承認プロセスを経て決定される。1026日から119日までIMFの特別チームがダッカを訪問し、ムスタファ・カマル財務相やバングラデシュ中央銀行総裁らと面談を行っていた。

今般の融資については、スリランカ(2022年9月5日記事参照)やパキスタン(2022年8月2日記事参照)に認められたローン供与と同じEFFの枠組みではあるものの、バングラデシュへのEFFは財政危機の支援を目的としたものとは異なっており、政府がマクロ経済の安定を図り、将来の不確実性に備えるため、またグリーン成長をサポートするための構造改革を進めることが目的とされる。また、RSFEFFを補完するもので、バングラデシュ政府の財政活用の余地を拡げることが期待されている。

IMFは同発表において、「新型コロナ禍におけるバングラデシュの安定した経済回復は、ロシアのウクライナ侵攻による影響下で、経常収支の悪化(2022年7月13日記事参照)、外貨準備高の減少(2022年9月29日記事参照)やインフレの進行(2022年7月27日記事参照)がみられ、これらは今後、同国の経済成長の鈍化につながるとみられる。バングラデシュ政府はこうした課題と向き合っているものの、2026年のLDC(後発開発途上国)卒業(2021年12月6日記事参照)や2031年の中所得国入りの目標達成のため、気候変動化下でのマクロ経済の安定維持、民間投資の誘致促進、金融部門のガバナンス強化など構造的な問題解決に向けた取り組みを進め、経済成長を加速させることが重要」と指摘した。バングラデシュ国内では、現時点の経済情勢は危機的状況ではないとの見方もある中(「フィナンシャルスプレス」紙1114)、政府の今後の政策動向に一層注目が集まる。

(山田和則)

(バングラデシュ)

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