外貨準備高が減少傾向も、輸入6カ月分相当で安定水準
(バングラデシュ)
ダッカ発
2022年09月29日
バングラデシュ銀行(中央銀行)が発表する外貨準備高統計によると、8月末の外貨準備高は389億4,550万ドルで、過去最大の外貨準備高を有した2021年8月末時点の480億6,000万ドルから比べると、約91億ドル減少した(2021年12月24日記事参照)。ロシアによるウクライナ軍事侵攻を契機とし、国際的なエネルギー価格の高騰や食料品価格の上昇による輸入額の急騰が外貨準備高を減少させている。
報道によると、さらに9月中にバングラデシュなど9カ国が加盟するアジア決済同盟(ACU)と呼ばれる地域間決済機構での清算が行われたため、外貨準備高は370億6,000万ドルまで減少したと伝えている(「デーリー・スター」紙9月9日付)。報道では、バングラデシュはIMFに45億ドルの融資を申請したと伝えられているものの、2022年7月の輸入額(暫定値)の58億6,200万ドルを基準とすると、6.3カ月相当分の外貨準備を有している。また同国は、国内のエネルギー価格引き上げ、計画停電などの痛みを伴う措置によって、経常収支の改善を目指している(2022年8月26日、9月22日記事参照)。
バングラデシュ会計士協会(ICAB)のマリア・ハウラデール元副会長(HmAC代表取締役社長)は「バングラデシュの主要財源は衣料品輸出と国外の労働者からの郷里送金のため、観光業に依存していたスリランカとは経済構造が異なる。バングラデシュ政府は緊縮財政や輸入抑制を進めており、輸出や郷里送金も伸びを見せているため、外貨準備高の減少についても近く回復し、安定すると見込んでいる。また、国外への直接投資も外貨収入の財源として期待されており、12月に操業を予定するバングラデシュ経済特区(BSEZ、2021年9月17日付地域・分析レポート参照)は有力な投資候補先だ」と話している。
(安藤裕二)
(バングラデシュ)
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