IMFの金融支援、実務レベルでは合意

(スリランカ)

アジア大洋州課

2022年09月05日

92日のスリランカ株式市場のCSE全株指数は前週末比5.9%上昇の9,316.45ポイントと、約1年ぶりの高値で取引を終えた。株高の背景の1つには、政府とIMFの協議が進展したことが挙げられる。政府は9月1日、IMFから約29億ドルの金融支援を受けることをIMFとの実務者協議で合意したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしていた。支援形態は拡大信用供与(EFF)の枠組み(注)による融資で、期間は48カ月間のプログラム。

同国へのIMF支援プログラムの目的は、マクロ経済の安定と債務の持続可能性を回復することにある。また、金融を安定化させ、弱者を保護し、腐敗に対処して潜在成長力を引き出すために、財政収入の拡大などによる構造改革を強化することに主眼を置いている。IMFとスリランカ政府は、債務の確実な支払いを実現するには、債権者による債務減免と多国間のパートナーによる追加融資が必要とする。また、IMFは支援の前提として、政府が債務再編に向けて尽力するよう求めた。

IMFプログラムでは、スリランカ政府に対し、第1に財政健全化のために歳入拡大を求める。政府の歳入は世界で最も低水準とされる。拡大の方法として、所得税の累進税率の引き上げや、法人税の課税ベース拡大などを挙げ、2025年までに基礎的財政収支の黒字をGDP2.3%にまで引き上げることを目標とする。さらに、コストを加味した燃料・電力料金の設定といった国営企業改革、セーフティーネットの改善を通じた社会的弱者の保護、データ重視の金融政策や柔軟なインフレ目標の導入などを通じた中央銀行の自律性強化による物価の安定、市場メカニズムを通じた為替レートの決定による外貨準備の積み上げに努めることなどからプログラムは構成されている。

(注)EFFExtended Fund Facilityの略。抜本的な経済改革を必要とする大きなゆがみに起因する中・長期的な国際収支上の問題に取り組む国を支援する措置。

(新田浩之)

(スリランカ)

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