輸入急増で経常収支が悪化、外貨準備も減少傾向に
(バングラデシュ)
ダッカ発
2022年07月13日
バングラデシュ銀行(BB)は7月、2021年7月~2022年5月の国際収支を発表した。同期間の経常収支は172億3,300万ドルの赤字で、前年同月期の27億8,300万ドルの赤字から大幅に赤字が膨らんだ(添付資料表参照)。
経常収支悪化の背景として、バングラデシュは慢性的に輸入超過で貿易収支が赤字となっている中、ロシアによるウクライナ侵攻や新型コロナウイルス禍による資源価格や材料費などの高騰により、前年同月比39%増と輸入が大幅に増加したことが要因だ。輸出については、主要産業の衣料品出荷が好調で、同33%増となったものの、輸入の増加分を補いきれなかった。輸入超過分については、新型コロナ禍以前は、在外労働者からの郷里送金で相殺するかたちとなっていたものの、郷里送金が前年同期比16%減となり、経常収支の赤字が一層膨らんだ。なお、金融収支に含まれる外国直接投資(ネット)は前年同期比で59.7%増となった。合計の国際収支としては43億ドルの赤字で、前年同期の85億1,900万ドルの黒字から大幅に悪化した。
これらにより、対ドルの通貨タカの為替相場は下落しており、6月末時点では1ドル93.45タカとなり、2021年6月末の84.8タカから大幅にタカ安傾向が進んでいる。これによって輸入金額が増大する傾向にあるため、外貨準備は422億200万ドル(輸入の5カ月分相当)と、前年同期の449億6,100万ドル(輸入の6.1カ月分相当)から減少している。
政府は一部地域への電力供給を停止するなどして発電用のエネルギー消費を抑制する措置を実施するとの報道がみられる。エネルギー関連輸入の抑制を通じ、インフレのコントロールや収支改善に取り組もうとしている。
(安藤裕二)
(バングラデシュ)
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