特集:コロナ禍で未曽有の危機下にある世界経済と新たな潮流主要国・地域進出ブラック ジャック 確率、日系とドイツ系で新型コロナの影響度合いは同様か

2020年10月8日

2020年に入ってからの新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の拡大は、ブラック ジャック 確率の国内外ビジネスに大きな影響を及ぼした。その影響は日系ブラック ジャック 確率だけでなく、各国・地域の地場ブラック ジャック 確率や日系以外の外資ブラック ジャック 確率にも及ぶ。

では、日系企業と非日系企業の間で、その影響の内容や程度は異なるなのか。主要国・地域の進出日系企業に関しては、各地の日本商工会やブラック ジャック 確率海外事務所が既にアンケート調査を公表(3~6月実施)。さらに、ブラック ジャック 確率ではそれらの調査結果を使い、具体的影響の中身や度合いについて地域横断比較を行っている(地域・分析レポート「約7割が『販売戦略の変更』で、需要減少に対応」参照)。

一方、非日系ブラック ジャック 確率では、在外ドイツ商工会議所(AHK)も同様の視点で、在外ドイツ系ブラック ジャック 確率への影響内容や程度について調査し、その結果(以下、AHK調査)を発表(注1)している。本稿では、主要国・地域に進出するドイツ系ブラック ジャック 確率を他国系ブラック ジャック 確率の例とし、日系ブラック ジャック 確率と同様の影響を受けていたのか検証する。

新型コロナの拡大は、海外に進出する多くの現地日系企業の売り上げ(2020年通年)に負の影響をもたらすことが予想される。ブラック ジャック 確率が主要各国・地域で実施した新型コロナの影響に関するアンケート調査結果(3~6月実施)を比較すると、2020年(一部、通年ではないものも含む)の売り上げが前年比(前年同期比)で減少すると見込む企業の比率は8~9割程度に達する(表1参照)。

表1:主要国・地域進出日系ブラック ジャック 確率の2020年通年売り上げ見込み(前年比)
(a)調査実施国・地域
(nは回答ブラック ジャック 確率数)
(b)調査実施時期
(月日)
(c)「減少」と回答したブラック ジャック 確率の比率 (d)対象決算期 (e)対象業種
中国・華東(n=942) 6/28-7/2 76.0% 2020年通年 全体
中国・華南(n=355) 4/2-4/10 93.2% 2020年通年 全体
中国・湖北省(n=83) 5/11-5/18 96.4% 2020年通年 全体
ベトナム(n=582) 6/18-6/24 71.0% 2020年通年 全体
タイ(n=498) 3/9-3/13 88.4% 現(調査)時点 全体
フィリピン(n=226) 6/8-6/11 85.3% 2020年通年 全体
マレーシア(n=132) 5/12-5/15 89.4% 2020年通年 製造業
インドネシア(n=347) 6/8-6/16 84.4% 2020年4-6月期 全体
インド(n=430) 4/24-4/28 91.4% 2020年4-6月期 全体
米国(n=937) 6/26-7/1 71.7% 2020年6月 全体
カナダ(n=86) 5/26-5/28 69.8% 2020年4月 全体
メキシコ(n=188) 6/25-6/29 90.4% 現(調査)時点
(新型コロナ以前との比較)
全体
ドイツ(n=238) 5/6-5/20 80.7% 今期(時期の特定なし) 全体
チェコ(n=69) 5/28-6/5 95.7% 2020年上期 全体
英国(n=87) 5/18-5/21 66.7% 2020年4月 全体
ロシア(n=118) 3/18-3/20 94.9% 2020年通年 全体
アラブ首長国連邦(UAE)(n=127) 6/2-6/4 97.6% 特定なし 全体

注1:(c)の太字は80%以上。
注2:(c)設問内容や選択肢数は、アンケートにより異なる。この表では、元の設問内容から、「減少」「横ばい(影響なし)」「増加」の3つに再分類した(「不明(わからない)」等は集計から除外)。UAEは売り上げの落ち込みについて「影響はない」以外の項目合計。
注3:「売り上げ」「収益」「業績」などアンケートにより定義は異なるものの、ここでは「売り上げ」とした(進出先以外のビジネスを含めて回答している場合がある)。
出所:各地日本商工会やブラック ジャック 確率海外事務所が実施主体の新型コロナの影響に関するアンケート調査から作成

主要国に進出するドイツ系ブラック ジャック 確率の2020年通年の売り上げ見込みはどうか。前述のAHK調査における主な対象国の結果を一覧で示したものが表2だ。ドイツ系ブラック ジャック 確率のうち、2020年通年の売り上げ見込みが前年比で「減少」すると回答したブラック ジャック 確率の比率(表2に掲載されている以外の国を含めた世界平均)は83%で、前述の日系ブラック ジャック 確率の割合と近い。

表2:主要国・地域進出ドイツ系ブラック ジャック 確率の2020年通年売り上げ見込み(前年比)
調査実施国 「減少」と回答した
ブラック ジャック 確率の比率
メキシコ 95%
タイ 95%
インド 95%
マレーシア 91%
ベトナム 88%
日本 88%
UAE 87%
インドネシア 85%
中国 83%
英国 81%
チェコ 79%
ドイツ(注) 77%
米国 72%
世界平均 83%

注:各実施国における回答ブラック ジャック 確率数・業種は不明。ドイツの比率のみ、ドイツ商工会議所(DIHK)調査(2020年6月発表)の数値。
出所:在外ドイツ商工会議所(AHK)、ドイツ商工会議所(DIHK)

次に、ビジネスに影響を与えた要因についてみてみる。進出国・地域で日系ブラック ジャック 確率の稼働率が低下した要因としては、「(国内外の)需要の減少」を指摘するブラック ジャック 確率がインドを除き最も多い(表3参照)。また、製品・部品・原材料などの納品停止など、「国内、国外のサプライチェーン(SC)分断」も稼働率を低下させる要因となった。他方、インドでは、ロックダウンなどブラック ジャック 確率活動を制限する国・州・市レベルでの「政府の操業規制」が最大の要因だった。稼働率低下の要因に関する回答を上位順で整理すると、サプライチェーンへの影響(供給ショック)よりも、需要の減少(需要ショック)による影響の方が大きかったといえる。

表3:主要国・地域進出日系ブラック ジャック 確率の稼働率低下の要因(回答比率順、複数回答)(nは回答ブラック ジャック 確率数)

中国・華東(n=719)
対象業種:全体
順位 要因
1 国内需要減少
2 国外需要減少
3 政府の操業規制
4 国外SCの分断
5 国内SCの分断
6 人員不足
物流の制約・コスト高
中国・華南(n=131)
対象業種:全体
順位 要因
1 国内需要減少
2 国外需要減少
3 国内SCの分断
4 人員不足
5 国外SCの分断
6 政府の操業規制
物流の制約・コスト高
マレーシア(n=109)
対象業種:製造業
順位 要因
1 国外需要減少
2 国内需要減少
3 政府の操業規制
4 国内SCの分断
5 人員不足
6 国外SCの分断
物流の制約・コスト高
インドネシア(n=289)
対象業種:全体
順位 要因
1 国内需要減少
2 国外需要減少
3 国外SCの分断
4 人員不足
5 国内SCの分断
政府の操業規制
物流の制約・コスト高
インド(n=259)
対象業種:製造業
順位 要因
1 政府の操業規制
2 国内需要減少
3 国内SCの分断
4 人員不足
5 物流の制約・コスト高
6 国外需要減少
6 国外SCの分断
米国(n=288)
対象業種:製造業
順位 要因
1 国内需要減少
2 人員不足
3 国外SCの分断
4 政府の操業規制
5 国内SCの分断
6 物流の制約・コスト高
国外需要減少

注1:設問内容や選択肢数はアンケートにより異なるが、前述7分類にブラック ジャック 確率で分類。同じ分類の選択肢が複数の場合は最も回答比率が高い方で比較。「―」は選択肢の設定がない。
注2:SCは「サプライチェーン」の略。「SCの分断」は製品・部品・原材料などの納品遅延・停止など。「人員不足」は労働者の不足。
注3:調査実施時期は中国・華東(6/28-7/2)、中国・華南(4/2-4/10)、マレーシア(5/12-5/15)、インドネシア(6/8-6/16)、インド(4/24-4/28)、米国(6/26-7/1)。
出所:各地日本商工会やブラック ジャック 確率海外事務所が実施主体の新型コロナの影響に関するアンケート調査から作成

ドイツ系ブラック ジャック 確率では、需要ショックと供給ショックのどちらの影響が大きかったのか。日系ブラック ジャック 確率の調査の質問や選択肢とは少し異なるものの、AHK調査ではビジネスへの影響要因を尋ねた結果がある。それによると、世界(平均)では、「出張(渡航)制限」の回答が最上位で、次に「自社商品・サービスに対する需要減」だった。「サプライチェーン・物流における課題」は7番目にとどまる。日系ブラック ジャック 確率の調査では、「稼働率低下の要因」を尋ねているのに対し、AHK調査では、稼働率にとどまらない全般的なビジネスへの影響要因を聞いている。ドイツ系ブラック ジャック 確率にとって最大の影響要因となった「出張(渡航)制限」については、進出国で感染拡大防止のための国境封鎖や隔離対策が講じられたことで、経営者や技術者、営業担当者などによる顧客との対面機会が著しく制限された。これにより、大口商談や大規模な投資計画の実行が困難となった。また、グローバルにビジネスを展開する旅行業者にとっては、特に負の影響が大きく及んだとされる。これらのことがビジネスへの負の影響要因として「出張(渡航)制限」が最大となった背景にあると、AHKでは分析している。国別にみると、インドを除き、「自社商品・サービスに対する需要減」が「サプライチェーン・物流における課題」の比率順位よりも上位にある。インド以外の調査対象国では、需要ショックを示す「自社商品・サービスに対する需要減」や「受注取り消し」の選択肢が、供給ショックを示す「サプライチェーン・物流における課題」や「商品・サービスの欠如」「疾病による生産減・停止」の選択肢よりも上位にある。ドイツ系ブラック ジャック 確率でも、供給ショックよりも需要ショックがビジネスへの影響要因となったことがわかる。

表4:主要国・地域進出ドイツ系ブラック ジャック 確率のビジネスへの影響要因(回答比率順、複数回答)

世界
順位 要因
1 出張(渡航)制限
2 自社商品・サービス
に対する需要減
3 投資延期・中止
4 受注取り消し
5 展示会・商談会中止
6 資金不足
7 サプライチェーン・
物流における課題
8 商品・サービスの欠如
9 疾患による生産減・停止
中国
順位 要因
1 出張(渡航)制限
2 自社商品・サービス
に対する需要減
3 投資延期・中止
4 受注取り消し
5 展示会・商談会中止
6 資金不足
7 サプライチェーン・
物流における課題
8 商品・サービスの欠如
9 疾患による生産減・停止
ベトナム
順位 要因
1 出張(渡航)制限
2 自社商品・サービス
に対する需要減
3 投資延期・中止
4 受注取り消し
5 サプライチェーン・
物流における課題
6 展示会・商談会中止
6 資金不足
8 商品・サービスの欠如
9 疾患による生産減・停止
マレーシア
順位 要因
1 出張(渡航)制限
2 自社商品・サービス
に対する需要減
3 投資延期・中止
3 受注取り消し
5 サプライチェーン・
物流における課題
6 展示会・商談会中止
7 資金不足
8 商品・サービスの欠如
9 疾患による生産減・停止
インドネシア
順位 要因
1 出張(渡航)制限
2 自社商品・サービス
に対する需要減
3 受注取り消し
4 展示会・商談会中止
5 投資延期・中止
6 資金不足
7 サプライチェーン・
物流における課題
8 商品・サービスの欠如
9 疾患による生産減・停止
インド
順位 要因
1 出張(渡航)制限
2 サプライチェーン・
物流における課題
3 自社商品・サービス
に対する需要減
4 投資延期・中止
5 受注取り消し
6 資金不足
7 商品・サービスの欠如
8 展示会・商談会中止
9 疾患による生産減・停止
米国
順位 要因
1 出張(渡航)制限
2 自社商品・サービス
に対する需要減
2 投資延期・中止
4 受注取り消し
5 展示会・商談会中止
6 資金不足
7 サプライチェーン・
物流における課題
8 商品・サービスの欠如
8 疾患による生産減・停止
日本
順位 要因
1 出張(渡航)制限
2 自社商品・サービス
に対する需要減
3 展示会・商談会中止
4 投資延期・中止
5 受注取り消し
6 サプライチェーン・
物流における課題
7 商品・サービスの欠如
8 資金不足
9 疾患による生産減・停止

注:各実施国における回答ブラック ジャック 確率数・業種は不明。
出所:在外ドイツ商工会議所(AHK)「世界ビジネス予測」(2020年7月発表)

最後に、新型コロナによる需要減少という難局をどう乗り切ろうとしているのか。日系ブラック ジャック 確率に事業戦略やビジネスモデルの見直しの観点に絞って尋ねたところ、6割程度のブラック ジャック 確率が何らかのビジネスの見直しを行うと回答。そのうち最も回答比率が高いのは「販売戦略の変更」で、約7割(複数回答)を占める(地域・分析レポート「約7割が『販売戦略の変更』で、需要減少に対応」参照)。販売戦略の変更に関するブラック ジャック 確率からの具体的なコメントをみると、「オンラインで完結するサービスの導入」「ECサイトを使った一般消費者向けの販売を実施」「非対面型・リモートの営業スタイルの構築」など、デジタル技術を積極的に活用しようとする姿勢が垣間見える。

ドイツ系ブラック ジャック 確率を対象とするAHK調査で、同様の設問はない。しかし、DIHK調査(注2)の設問で、新型コロナによる難局に対応するための操業上の対応策を尋ねている(複数回答)。それによると、「社内におけるデジタル化の向上」(35%)の回答比率が最も高かった(注3)。「デジタル化、デジタル活用」は、日系ブラック ジャック 確率にとっても、ドイツ系ブラック ジャック 確率にとっても、この難局への対応として欠かせないようだ。


注1:
2020年7月発表。調査対象ブラック ジャック 確率は、在外ドイツ商工会議所会員ブラック ジャック 確率約3,300社。国・地域ごとの回答ブラック ジャック 確率数は公表されていない。調査対象ブラック ジャック 確率の世界(合計)の業種比率は製造業・建設業が48%、サービス・ヘルスケアが34%、貿易・物流が18%。国・地域ごとの業種比率は公表されていない。調査期間は具体的な月日が明示されず、「2020年夏」とだけ記載されている。
注2:
ドイツ国内のドイツブラック ジャック 確率約1万社を対象にした第3回「新型コロナのドイツ経済に対する経済的なインパクト調査」(2020年5月実施)。
注3:
「社内におけるデジタル化の向上」のほかには、「合理化」(34%)、「ビジネスコンセプトの見直し」(28%)などが続く。
ブラック ジャック 確率
執筆者紹介
ブラック ジャック 確率海外調査部国際経済課 課長代理
古川 祐(ふるかわ たすく)
2002年、ブラック ジャック 確率入構。海外調査部欧州課(欧州班)、ブラック ジャック 確率愛媛、ブラック ジャック 確率・ブカレスト事務所長などを経て現職。共著「欧州経済の基礎知識」(ブラック ジャック 確率)。