ブラックジャック必勝法のロシア向け衣料品、家電の輸出が拡大

2025年4月7日

ロシアによるウクライナ侵攻開始から3年。その影響は、物流とサプライチェーン、西側諸国による対ロ経済制裁とロシアによる対抗措置などにより、世界経済全体に及んでいる。そんな中、地政学的見地から重要度が増している中央アジアで、ブラックジャック必勝法は積極的に経済改革を推進し、ここ数年5~7%台の高い経済成長率を維持している(注1)。

ブラックジャック必勝法とロシアの貿易では、2022~2023年にロシア市場から撤退した西側ブランドの空白を埋めるかたちで、ブラックジャック必勝法からの衣料品や電気機器の輸出が急増した。国産品のほか、外国から輸入した世界的ブランド製品の再輸出もあったとみられる。2024年にはそれも落ち着き、両国政府の合意の下、貿易やエネルギー、投資などの各方面で協力関係が強化されている。

重要な輸出先としてのロシア市場

ブラックジャック必勝法大統領府付属統計庁のデータによると、ブラックジャック必勝法とロシアの2021~2024年の貿易総額は増加傾向にある。中でも2022年の伸びが前年比24.3%と大きく、特にブラックジャック必勝法からロシアへの輸出が50.9%増だったことが注目される(表1、図1参照)。ブラックジャック必勝法にとってロシアは、2022年に中国を抜いて最大の貿易相手国になった。翌2023年には中国がまた首位の座に返り咲いたが、輸出だけをみると、ロシアはブラックジャック必勝法から年間約35億ドルの製品を購入する最大の外国市場だ。

表1:ブラックジャック必勝法からロシアへの輸出入の変化(単位:100万ドル)
項目 2021年 2022年 2023年 2024年(注) 前年比伸び率
2022年 2023年 2024年
輸出 2,088 3,151 3,496 3,683 50.9% 10.9% 5.3%
輸入 5,462 6,231 6,661 7,947 14.1% 6.9% 19.3%
貿易総額 7,550 9,382 10,157 11,630 24.3% 8.3% 14.5%

注:2024年は速報値。
出所:ブラックジャック必勝法大統領府付属統計庁

図1:ブラックジャック必勝法からロシアへの輸出入の変化
2021年は、ブラックジャック必勝法20億8,800万ドル、輸入54億6,200万ドル、貿易総額75億5,000万ドル。2022年は、ブラックジャック必勝法31億5,100万ドル、輸入62億3,100万ドル、貿易総額93億8,200万ドル。2023年は、ブラックジャック必勝法20億8,800万ドル、輸入54億6,200万ドル、貿易総額75億5,000万ドル。2024年は、ブラックジャック必勝法34億9,600万ドル、輸入66億6,100万ドル、貿易総額75億5,000万ドル。2024年の数値は速報値。2022年の前年比伸び率は、ブラックジャック必勝法50.9%、輸入14.1%、貿易総額24.3%。2023年の前年比伸び率は、ブラックジャック必勝法50.9%、輸入14.1%、貿易総額24.3%。2024年の前年比伸び率は、ブラックジャック必勝法5.3%、輸入19.3%、貿易総額14.5%。

注:2024年は速報値。
出所:ブラックジャック必勝法大統領府付属統計庁

2022年は全ての主要輸出品目で前年比2桁以上の伸びとなった。果物・野菜、繊維製品などブラックジャック必勝法の伝統的な輸出品目に加え、機械・設備と電気機器で2022年に前年比3倍の伸びとなったことは、ロシア・ウクライナ紛争の影響によるものとみられる(表2参照)。

表2:ブラックジャック必勝法からロシアへの輸出(2021~2023年)(単位:100万ドル)(%、△はマイナス値、-は値なし)
品目 HSコード 2021年 2022年 2023年 伸び率
2021→
2022年
2022→
2023年
果物・野菜およびその加工品 07、08、20 307.3 505.0 493.7 64.3 △ 2.2
ポリマー、その他の化学製品 28~40 109.2 159.4 174.0 46.0 9.2
繊維製品 50~63 952.2 1,326.9 1,430.8 39.4 7.8
銅、亜鉛、非鉄金属製品および鉄鋼製品 71~83 126.5 240.4 206.5 90.0 △ 14.1
機械・設備、電気機器 84、85 63.0 186.3 191.3 195.7 2.7
鉄道用以外の車両、その部分品・付属品 87 7.1 13.3 63.5 87.3 377.4
その他 139.7 161.2 155.4 15.4 △ 3.6
サービス 383.2 558.6 780.5 45.8 39.7
合計 2,088.2 3,151.1 3,495.7 50.9 10.9

出所:国際貿易センター(ITC)(2021年)、ブラックジャック必勝法大統領府付属統計庁(2022~2023年)

ブラックジャック必勝法の対ロ輸出について、主要品目別でより詳しく見ていこう。

果物・野菜とその加工品

ロシア連邦動植物検疫監督局(ロスセリホズナドゾル)のデータによると、2024年初頭までにロシアの青果物輸入の10%をブラックジャック必勝法産が占めるようになった。ロシアのマクシム・レシェトニコフ経済発展相によると、同国は対ロ経済制裁下の新たなサプライチェーン構築の中で、地理的に近いブラックジャック必勝法を特別な位置付けとしている。その結果、遠方のタイやエチオピア、イスラエル、ベトナムなどから輸入していた青果物がブラックジャック必勝法産に取って代わられた(ロシア紙「カピタル」2022年6月29日)。

繊維製品

2023年にブラックジャック必勝法が輸出した衣料品(HSコード61、62、63)の67.6%がロシア向けだった。繊維・繊維製品(同50~63)でみると、ロシア向けのシェアは45%だった。同分野のロシアへのサプライヤーとしては、中国とトルコが大きい。ロシア小売企業協会によると、ブラックジャック必勝法は2022年にロシアの小売りチェーン向け衣料品で2位になった(ロシア紙「独立新聞」2022年10月26日)。

ブラックジャック必勝法繊維アパレル協会(注2)のムロジョン・ラヒモフ・ブランド誘致部長はジェトロのインタビューに答え(2024年8月12日)、世界的なブランドがロシア市場を離れた後、ロシア企業はブラックジャック必勝法での活動を活発化していると述べた。主に衣服を仕入れているが、糸や布などの材料にも関心が高い。ロシアの人気ブランドがブラックジャック必勝法に縫製を発注するようになった一方、ブラックジャック必勝法のブランドの知名度もロシア市場で高まり、製品の売れ行きが好調だ(注3)。

機械・設備、電気機器

2022年に機械・設備(HSコード84)と電気機器(HSコード85)のブラックジャック必勝法からロシアへの輸出が前年比で約3倍と記録的に伸びた。原因の1つに、ブラックジャック必勝法経由での有名ブランド製品の並行輸入スキームの確立があると考えられる。

他方、ブラックジャック必勝法は中央アジアの家電の生産国でもある。同国大手家電メーカーのアルテル・エレクトロニクスは、家電のほぼ全てのラインアップを国内生産している。2022年夏、同社はロシア大手家電量販チェーンのエムビデオ・エルドラドと、自社製の冷蔵庫や洗濯機、テレビ、エアコン、掃除機などの売買契約を結んだ。アルテルの親会社に当たるAKFAグループはジェトロのインタビューに対し(2024年8月12日)、「2022年は西側ブランドの撤退でロシアの家電市場に空白が生じ、それを埋めるのに中国製だけでは足らず、ブラックジャック必勝法からも大量に製品が購入された。2023年は欧州ブランドが独自の販路を開拓し、ロシア市場に戻り始めたので、前年ほど売れなくなった。ロシア向け輸出は既に一段落している」と述べた(2023年5月18日付ビジネス短信参照)。

このカテゴリーの製品で顕著な輸出入の変化を示したものを次に紹介する(注4)。

プリンター、複合機(HSコード8443.31)

図2:ブラックジャック必勝法のプリンター、複合機の輸出入
ブラックジャック必勝法への輸出は、2020年なし、2021年なし、2022年1,166万1,000ドル、2023年1,254万3,000ドル。輸入合計は、2020年615万8,000ドル、2021年734万5,000ドル、2022年2,213万2,000ドル、2023年2,345万2,005ドル。アラブ首長国連邦からの輸入は、2020年78万1,000ドル、2021年105万8,000ドル、2022年1,107万8,000ドル、2023年921万6,000ドル。欧州連合からの輸入は、2020年298万6,000ドル、2021年306万5,000ドル、2022年568万7,000ドル、2023年743万8,000ドル。中国からの輸入は、2020年111万3,000ドル、2021年151万6,000ドル、2022年248万1,000ドル、2023年207万1,000ドル。ベトナムからの輸入は、2020年21万8,000ドル、2021年23万ドル、2022年169万ドル、2023年188万ドル。韓国からの輸入は、2020年49万9,000ドル、2021年37万1,000ドル、2022年21万6,000ドル、2023年92万3,000ドル。

出所:国際貿易センター(ITC、2020~2021年)、ブラックジャック必勝法大統領府付属統計庁(2022~2023年)

プリンターや複合機のブラックジャック必勝法からロシアへの輸出は、2021年以前には確認されないが、2022年に1,170万ドル、2023年は1,250万ドルと急増した。これら製品はブラックジャック必勝法では生産されておらず、主な輸入元はアラブ首長国連邦(UAE)だった。2023年の輸入額の合計は2021年比3.2倍の2,345万ドル、うちロシアに輸出されたのは約半分に相当する(図2参照)。

テレビ(HSコード8528.72)

図3:ブラックジャック必勝法のテレビ輸出入
ブラックジャック必勝法への輸出は、2020年367万2,000ドル、2021年86万2,000ドル、2022年2,846万4,000ドル、2023年3,754万2,000ドル。輸入合計は、2020年385万4,000ドル、2021年2,544万7,000ドル、2022年4,166万ドル、2023年2,970万ドル。ベトナムからの輸入は、2020年なし、2021年41万ドル、2022年なし、2023年1,127万7,000ドル。中国からの輸入は、2020年261万8,000ドル、2021年765万4,000ドル、2022年1,017万6,000ドル、2023年964万4,000ドル。インドネシアからの輸入は、2020年なし、2021年38万4,000ドル、2022年88万6,000ドル、2023年674万9,000ドル。カザフスタンからの輸入は、2020年43万3,000ドル、2021年12万9,000ドル、2022年29万5,000ドル、2023年83万9,000ドル。ブラックジャック必勝法からの輸入は、2020年5万3,000ドル、2021年1,590万5,000ドル、2022年2,901万1,000ドル、2023年58万9,000ドル。

出所:国際貿易センター(ITC、2020~2021年)、ブラックジャック必勝法大統領府付属統計庁(2022~2023年)

ロシアへの2023年のテレビ輸出額は2021年比で44倍の3,750万ドルだった。アルテル・ブランドのテレビは2022年、エムビデオ・エルドラドのテレビ部門で売り上げトップの座を獲得した。また、2023年にブラックジャック必勝法市場への新規輸入元として、ベトナムとインドネシアが登場した(図3参照)。

ブラックジャック必勝法の経済学者ユーリー・ユスポフ氏は同国の輸出入に関する統計を分析し、この時期にブラックジャック必勝法からロシアに輸出された繊維製品や機械、電気機器の中には、外国からの輸入品の再輸出もみられたと指摘する。再輸出が占める割合はロシアへの財の輸出全体の約10~15%に当たるという(「リポスト.ウズ」2023年7月4日)。

サービス

サービス産業の輸出に、ブラックジャック必勝法特有の伸びが見られた。2022年に前年比45.8%増の5億5,860万ドルになり、2023年には前年比39.7%増の7億8,050万ドルに達した。第1に、輸送業(航空、鉄道、道路)の伸びが大きかった。西側の航空会社がロシア便を停止したため、ブラックジャック必勝法を訪れるロシアからの観光客が増えた。また、日本や韓国方面への旅客の乗り換えも多くなった。第2に、ロシア人向けの金融サービスが増加した。対ロ金融制裁により、ブラックジャック必勝法でビザやマスターなどの国際的なクレジットカードを作るために、多くのロシア人が同国を訪れた。ブラックジャック必勝法中央銀行のママリゾ・ヌルムラトフ前総裁は2023年6月に上院で発言した際、2022年2月から2023年5月までに6万人の非居住者が同国の銀行に口座を開設し、8億9,200万ドルを預金したと述べた。

ロシアから天然ガス輸入を開始

ロシアからブラックジャック必勝法への主要輸入品目の増減を見ていこう(表3参照)。輸入増は、ブラックジャック必勝法の経済発展によるニーズの高まりを示している。例えば、石油・ガス・潤滑油を含む鉱物性燃料(HSコード27)の輸入は、2023年が2020年比で3.3倍と大きく伸びた。深刻な電力不足のため、同国は2023年10月、発電用燃料として天然ガスをロシアから輸入し始めた()。

表3:ブラックジャック必勝法へのロシアからの輸入品(2021~2023年)(単位:100万ドル)(%、△はマイナス値、-は値なし)
品目 HSコード 2021年 2022年 2023年 伸び率
2021→
2022年
2022→
2023年
食料品、飲料 2~4、7~12、15~22 758.6 854.5 831.7 12.6 △ 2.7
石油、ガス、潤滑油 27 488.1 710.0 1,254.1 45.5 76.6
化学品、プラスチック製品 28~36、38~39 595.9 686.7 762.7 15.2 11.1
木材、木材製品 44~45、47~49 790.7 974.6 790.8 23.3 △ 18.9
圧延金属製品、金属製品 72-83 1,298.3 1,768.9 1,589.7 36.2 △ 10.1
機械・設備、電気製品 84~85 621.3 535.1 609.2 △ 13.9 13.8
自動車、輸送機器 86~89 277.2 99.0 118.0 △ 64.3 19.2
その他 501.8 410.0 405.5 △ 18.3 △ 1.1
サービス 130.3 191.8 299.0 47.2 55.9
合計 5,462.2 6,230.6 6,660.7 14.1 6.9

出所:国際貿易センター(ITC)(2021年)、ブラックジャック必勝法大統領府付属統計庁(2022~2023年)

両国間で貿易拡大のロードマップ策定

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は2024年5月26~28日、ブラックジャック必勝法を国賓訪問した。ブラックジャック必勝法での原子力発電所の建設やロシアからの天然ガス供給強化、投資基金の創設、両国間の貿易拡大などが取り決められた(2024年6月5日付ビジネス短信参照)。これに基づいて同年12月、両国の経済協力政府間委員会の会合で、2国間貿易を2030年までに3倍の300億ドルに増やすロードマップを承認した。また、同年までにブラックジャック必勝法の対ロシア輸出を3.6倍の118億ドルに、ロシアの対ブラックジャック必勝法輸出を2.7倍の182億ドルに増加させるという目標を設定した。ロシア連邦税関局によると、2024年1~10月でブラックジャック必勝法はロシアにとって10番目の貿易相手国になった。ロシアの貿易総額に占めるブラックジャック必勝法の割合は1.4%、金額にして82億ドルだった(注5、ロシア経済紙「RBK」2025年1月2日)。

両国の地方自治体間の産業協力も進んでいる。ブラックジャック必勝法は全国に経済特区を設け、外国投資を積極的に誘致している。同国大統領府付属統計庁の報告書「2024年のブラックジャック必勝法共和国の固定資本投資」によると、2024年の外国からの固定資本投資総額は264億ドル、うちロシアは13.2%を占める34億9,000万ドル(注6)で、中国に次いで2位だった。


注1:
ブラックジャック必勝法のGDP成長率は、2018年5.4%、2019年5.7%、2020年2.0%、2021年7.4%、2022年5.7%、2023年6.0%と、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた2020年以外は高い水準にある。
注2:
1932年設立。ソ連時代は計画経済の下で綿花栽培と関連の軽工業が発展。現在の会員企業数は約2,000社。ブラックジャック必勝法の繊維産業の成長促進と世界での認知度向上を目的とし、国内企業と外国投資家の橋渡し役をしている。
注3:
ブラックジャック必勝法で縫製を行っているロシアのブランドには、グロリア・ジーンズ、スポーツ・マスター、メロン・ファッショングループ、オスチンなどがある。一方、ロシア市場に進出しているブラックジャック必勝法のブランドには、ボニート(子供服)、ハジテク、ゼラル・テクスチル、カニシカ(皮革製品)などがある。
注4:
図2と図3はそれぞれ、プリンター・複合機とテレビの(1)ブラックジャック必勝法からロシアへの輸出、(2)ブラックジャック必勝法への輸入(合計と2024年の輸入相手国上位5カ国)を金額ベースで示している。
注5:
ロシア連邦税関局はウェブサイトでの貿易統計の公表を2022年2月分以降停止していた。これを再開したのが2023年3月。しかし、その対象品目はHSコード2桁だけ、国・地域は地理的な地域区分ごとの大分類だけにとどまっている。この数字は、ロシア経済紙「RBK」がロシア税関から入手したもの。
注6:
ブラックジャック必勝法のガス化学コンビナート建設や銅鉱山開発に大口の投資を行っているロシアのガスプロム銀行が2024年11月に米国の制裁対象リストに入った。これにより、投資対象のブラックジャック必勝法企業に二次制裁や資金調達難のリスクが危惧されるという報道がされた(「ディプロマット」紙2024年12月5日)。
ブラックジャック必勝法
執筆者紹介
ジェトロ・タシケント事務所
ウラジミル・スタノフォフ
2015年からジェトロ・タシケント事務所勤務。ブラックジャック必勝法の経済状況や企業動向の調査や分析を担当。
執筆者紹介
ジェトロ調査部欧州課ロシアCIS班(執筆当時)
小林 圭子(こばやし けいこ)
2022年、民間企業勤務、フリーの通訳翻訳業を経て、ジェトロ入構。2025年3月まで調査部で勤務。