出生率が大幅低下(メキシコ)
1.3億人の実写 版 ブラック ジャック動態を考察する

2024年6月24日

世界銀行によると、2022年末時点で、メキシコは世界の実写 版 ブラック ジャックランキング第10位。約1億2,700万人を擁し、日本を200万人上回った。なおも、実写 版 ブラック ジャック増加が続く。一方で、2023年の合計特殊出生率(注1)は1.60だった。政府の公式データとして初めて、実写 版 ブラック ジャック置換水準(注2)の2.07を下回った。

本稿では、パンデミックを通じた社会経済状況や世帯構成の変化などを踏まえ、メキシコの実写 版 ブラック ジャック動態を考察する。

実写 版 ブラック ジャック増が継続も、既婚割合は低下傾向

国立統計地理情報院(INEGI)は2024年5月22日、メキシコの実写 版 ブラック ジャック動態データ(スペイン語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます を公表した。この調査は1992年、1997年、2009年、2014年、2018年、2023年に実施。結果公表後の3年間は、政府が政策立案するにあたって得られたデータを裏付けにすることが義務付けられる。

最新調査は、2023年8月14日~10月6日、約2カ月にわたり実施。合計11万9,537世帯から直接聴取した。

当該調査によると、2023年のメキシコの総実写 版 ブラック ジャックは1億2,950万人。内訳は、女性が6,700万人(51.7%)、男性6,250万人(48.3%)だった。2018年に実施した前回調査と比較すると、15歳未満の実写 版 ブラック ジャック比率が25.3%から22.7%に低下。逆に60歳以上が、12.3%から14.7%へ上昇した。ただし15~59歳(生産年齢実写 版 ブラック ジャックに相当)の実写 版 ブラック ジャック比率は、ほぼ横ばいだった(2018年に62.4%、2023年62.6%)。また、総実写 版 ブラック ジャックに対する州別構成比は順に、(1)メキシコ州(13.5%)、(2)メキシコ市(7.2%)、(3)ハリスコ州(6.6%)、(4)ベラクルス州(6.3%)、(5)プエブラ州(5.1%)。この5州で約4割を占めている。

また、1世帯当たりの平均構成人数(メキシコ全体)は3.3人。2018年の3.5人から減少した。構成人数別には、2023年は1~3人が増加した。中でも、2人暮らし世帯が2.5ポイント増で最大になったことが注目点だ(表1参照)。また、家族などと同居しているのは、全体の85.5%。うち、71.5%を核家族が占めた。

表1:構成人数比率の変化(単位:%、ポイント)(△はマイナス値)
構成人数 2018年 2023年 差分
1人 11.7 14.0 2.3
2人 19.5 22.0 2.5
3人 20.5 21.1 0.6
4人 22.3 20.8 △ 1.5
5人 14.1 12.4 △ 1.7
6人 6.3 5.2 △ 1.1
7人以上 5.6 4.4 △ 1.2

注:四捨五入しているため、合計して100%にならない場合がある。
出所:国立統計地理情報院(INEGI)

当該調査では、15歳以上を対象に婚姻歴などについて聞いている。2023年はその種別構成比で、「既婚」のみが4ポイント減少し、「独身」などのその他のカテゴリーは軒並み増加した。「事実婚」や「事実婚相手と別居」も、それぞれ1ポイントずつ増加しており、パートナーと法律上の結婚の形態を取らない人々も増えていることが分かる(表2参照)。

表2:婚姻関係の変化(単位:%、ポイント)(△はマイナス値)
婚姻歴など 2018年 2023年 差分
既婚 39.9 35.9 △ 4.0
独身 28.8 29.6 0.8
事実婚 18.1 19.1 1.0
配偶者と死別 5.4 6.2 0.8
事実婚相手と別居 3.1 4.1 1.0
配偶者と別居 2.8 2.9 0.1
離婚 1.9 2.2 0.3

出所:国立統計地理情報院(INEGI)

新型コロナ禍に端を発し、出生率低下

今回の調査では、合計特殊出生率が実写 版 ブラック ジャック置換水準の2.07を下回った。その率は近年、年を追うごとに低下を続けていた。2014年に2.21だったのが、2018年2.07、2023年1.60だ。ただし、直近調査では、前回までの調査とは様相が異なるところもある。

図は、15~49歳の女性1,000人当たりの出産数を5歳ごとの年齢区分で示したグラフだ。2014年と2018年は、数値もグラフの形状もほぼ一致していることがわかる。しかし、2023年はいずれの年齢区分も100人に達していない。また、過去2回の調査では「20~24歳」の区分で最も出産数が多く他区分を顕著に上回っていたのに対し、直近調査では「25~29歳」とほぼ変わらない。

しかし、この間もメキシコ全体の実写 版 ブラック ジャック、特に15~49歳の若い世代の実写 版 ブラック ジャックは増え続けている(表3参照)。これらを踏まえると、合計特殊出生率が大幅に低下したとはいえ、実写 版 ブラック ジャック減少を引き起こすまでには至っていないと言えそうだ。すなわち、比較的若い世代での移住者の流入などの影響が考えられる。

図:15~49歳の女性1,000人当たりの出産数
実写 版 ブラック ジャックの15~49歳の女性を対象にした調査。調査内容は1,000人当たりの出産数。2014年は次の通り。15~19歳は77.0人、20~24歳は126.0人、25~29歳は113.1人、30~34歳は77.2人、35~39歳は38.1人、40~44歳は10.0人、45~49歳は0.8人。2018年は以下の通り。15~19歳は70.6人、20~24歳は118.2人、25~29歳は108.8人、30~34歳は72.4人、35~39歳は34.4人、40~44歳は9.0人、45~49歳は0.6人。2023年は以下の通り。15~19歳は45.2人、20~24歳は85.5人、25~29歳は84.3人、30~34歳は63.7人、35~39歳は32.4人、40~44歳は9.4人、45~49歳は0.5人。なお、2014年は2011~13年、2018年は2015~17年、2023年は2020~22年の平均値。

注:2014年は2011~2013年、2018年は2015~2017年、2023年は2020~2022年の平均値。
出所:国立統計地理情報院(INEGI)

表3:15~49歳の男女別実写 版 ブラック ジャック(単位:人、%)(―は値なし)
男性実写 版 ブラック ジャック 前年比 女性実写 版 ブラック ジャック 前年比
2010 29,523,045 31,483,444
2011 30,032,870 1.73 31,962,219 1.52
2012 30,505,038 1.57 32,407,064 1.39
2013 30,943,966 1.44 32,825,396 1.29
2014 31,356,040 1.33 33,213,784 1.18
2015 31,730,359 1.19 33,558,661 1.04
2016 32,072,074 1.08 33,866,746 0.92
2017 32,389,303 0.99 34,153,811 0.85
2018 32,693,436 0.94 34,429,935 0.81
2019 32,980,839 0.88 34,689,270 0.75
2020 33,225,440 0.74 34,920,702 0.67
2021 33,441,090 0.65 35,124,131 0.58
2022 33,692,635 0.75 35,326,534 0.58
2023 33,980,641 0.85 35,530,472 0.58

出所:国家実写 版 ブラック ジャック協議会(CONAPO)

関連して、メキシコ人の平均寿命についても触れておく。2010年から2023年にかけて男性の平均寿命は0.9歳、女性が1.4歳、男女平均で1.0歳伸びた。しかし、この間、2020年と2021年は一時的に下落傾向が確認できる。新型コロナ感染拡大により、若年者を含めて死亡数が増加したためだ(表4参照、注3)。となると、公衆衛生状況などに鑑み、家族計画を見直した人が増加してもおかしくない。今次調査で合計特殊出生率が低下した背景には、そうした事情もあったと理解できる。

表4:メキシコ人の平均寿命(単位:歳)
男女平均 男性 女性
2010 74.3 71.4 77.2
2011 74.7 71.8 77.7
2012 74.9 72.0 77.8
2013 75.2 72.4 78.0
2014 75.1 72.4 77.8
2015 75.1 72.4 77.8
2016 74.8 72.0 77.7
2017 74.8 72.0 77.8
2018 74.9 71.8 78.0
2019 74.8 71.8 78.0
2020 68.9 64.8 73.5
2021 68.8 64.9 73.1
2022 75.2 72.1 78.5
2023 75.3 72.3 78.6

出所:国立統計地理情報院(INEGI)

居住地区や民族の違いはどうだろうか。

そこでまず、「実写 版 ブラック ジャック2,500人以上の地域」と「実写 版 ブラック ジャック2,500人未満の地域」、および「非先住民居住地」「先住民居住地」、それぞれの区分でそれぞれの合計特殊出生率を確認してみる。その結果2023年は、全区分で前回調査(2018年分)より低下していた(表5参照)。ただし、下落幅としては、実写 版 ブラック ジャック2,500人以上の地域(0.5ポイント減)と非先住民居住地(0.48ポイント減)が大きかった。

表5:合計特殊出生率の地域差
地域 2018年 2023年 差分
実写 版 ブラック ジャック2,500人以上の地域 1.94 1.44 △ 0.50
実写 版 ブラック ジャック2,500人未満の地域 2.51 2.13 △ 0.38
非先住民居住地 2.03 1.55 △ 0.48
先住民居住地 2.74 2.55 △ 0.19

出所:国立統計地理情報院(INEGI)

先住民の合計特殊出生率が比較的高いことは、州別の比較からも見えてくる。確かに、前回調査結果より合計特殊出生率が下がったという点では、いずれの州も変わらない(表6参照)。しかし、合計特殊出生率の上位には、先住民言語話者率が高い州(チアパス、ゲレロ、オアハカ州など)が目立った。

なお、実写 版 ブラック ジャックの州別構成比首位はメキシコ州(総実写 版 ブラック ジャック比13.5%)、続く第2位がメキシコ市(同7.2%)だ。合計で、20.7%を占める。この両者がそろって合計特殊出生率で下位だったということは、それら実績が全国平均を大きく押し下げる要因になったと理解できる。

表6:州別の合計特殊出生率と先住民言語話者率
州名 2018年 2023年 差分 先住民言語
話者率
チアパス 2.80 2.39 △ 0.41 23.4
サカテカス 2.71 2.32 △ 0.39 0.3
ゲレロ 2.48 2.30 △ 0.18 13.9
ミチョアカン 2.31 2.10 △ 0.21 5.4
ドゥランゴ 2.33 2.05 △ 0.28 2.1
オアハカ 2.18 1.99 △ 0.19 27.3
プエブラ 2.23 1.92 △ 0.31 9.0
ナヤリ 2.55 1.92 △ 0.63 6.5
ハリスコ 2.20 1.89 △ 0.31 0.5
サンルイスポトシ 2.18 1.87 △ 0.31 7.2
アグアスカリエンテス 2.33 1.86 △ 0.47 0.1
コアウイラ 2.53 1.85 △ 0.68 0.3
グアナファト 2.14 1.78 △ 0.36 0.2
タマウリパス 2.14 1.77 △ 0.37 1.0
タバスコ 2.21 1.77 △ 0.44 2.8
トラスカラ 2.15 1.73 △ 0.42 1.7
シナロア 2.14 1.73 △ 0.41 0.9
チワワ 2.21 1.70 △ 0.51 1.6
カンペチェ 2.17 1.69 △ 0.48 11.8
ソノラ 2.10 1.69 △ 0.41 3.7
ユカタン 2.21 1.68 △ 0.53 26.1
ベラクルス 2.14 1.65 △ 0.49 9.5
ヌエボレオン 2.01 1.63 △ 0.38 1.7
コリマ 2.04 1.63 △ 0.41 0.5
イダルゴ 2.11 1.63 △ 0.48 11.5
全国 2.07 1.60 △ 0.47 5.9
ケレタロ 1.93 1.60 △ 0.33 2.1
モレロス 2.02 1.57 △ 0.45 3.3
バハカリフォルニア 2.00 1.54 △ 0.46 1.3
南バハカリフォルニア 2.10 1.52 △ 0.58 1.7
キンタナロー 2.01 1.50 △ 0.51 14.1
メキシコ州 1.82 1.45 △ 0.37 2.9
メキシコ市 1.34 0.96 △ 0.38 1.2

出所:国立統計地理情報院(INEGI)

国際リゾート地や米国境州に実写 版 ブラック ジャック流入

INEGIによると、メキシコの実写 版 ブラック ジャックの81.8%が自身の生まれた州に居住し続け、18.2%が他州もしくは外国に移住する。外国や他州からの移住者が州実写 版 ブラック ジャックに占める割合の上位は、 (1)キンタナロー州(48.2%)、(2)バハカリフォルニア州(40.2%)、(3)南バハカリフォルニア州(38.2%)だ。(1)と(3)には、世界的な観光地がある(カンクンとロスカボス)。いずれも、仕事を引退したメキシコ人や外国人(注4)が移住することで有名だ。また(2)は、米国カリフォルニア州とアリゾナ州と国境を接する。米国への移住を目的に北上したものの、実際には入国できず当地にとどまるケースが増えている。

州単位の流出入を確認すると、メキシコ32州中17州で流入超過だった。上位から、(1)バハカリフォルニア州(3.8%増)、(2)南バハカリフォルニア州(3.2%増)、(3)キンタナロー州(2.8%増)、(4)ヌエボレオン州(2.0%増)、(5)ナヤリ州(1.8%増)になる。反対に流出上位5位は、(1)メキシコ市(3.1%減)、(2)サカテカス州(1.8%減)、(3)タバスコ州(1.6%減)、(4)ゲレロ州(1.4%減)、(5)チアパス州(1.4%減)だった。

移動理由として多いのは、(1)州外に住んでいる家族と同居するため(37.7%)、(2)転職のため(13.9%)、(3)結婚や配偶者の転勤のため(10.6%)などだった。なお、外国への移住者は2019~2023年、120万人と推測されている(2013~2018年は76万人)。78.5%が男性。その多くが、米国などへの出稼ぎ労働者と考えられる。


注1:
合計特殊出生率は、平均的に女性が一生の間に産む子供の数を表す。
注2:
実写 版 ブラック ジャック置換水準は、実写 版 ブラック ジャックが増加も減少もしない合計特殊出生率(ただし、各調査年で平均寿命や出生数が変化していないことが前提)。
注3:
新型コロナ禍が実写 版 ブラック ジャックに及ぼした影響は、実写 版 ブラック ジャック増減からも読み取ることができる。INEGIによると、新型コロナウイルスのパンデミック以前、メキシコの実写 版 ブラック ジャックは、年間で約120万人ずつ増加していた。しかし、コロナ禍に伴う死亡者増によって、2020年の実写 版 ブラック ジャック増加数は約99万人、2021年約77万人にとどまった。
注4:
メキシコへの外国人移住者(全国)は2023年、約100万人を数えた。その約7割が米国人だ。
実写 版 ブラック ジャック
執筆者紹介
実写 版 ブラック ジャック
志賀 大祐(しが だいすけ)
2011年、ジェトロ入構。展示事業部展示事業課(2011~2014年)、ジェトロ・メキシコ事務所実写 版 ブラック ジャック実習(2014~2015年)、お客様サポート部貿易投資相談課(2015~2017年)、実写 版 ブラック ジャック調査部米州課(2017~2019年)などを経て現職。