小売市場の潮流を読み、ブラック ジャック ランキング参入可能性を探る(チリ)
大手スーパー輸入調達責任者に聞く
2024年11月6日
チリの食品市場の販売チャネルとして約5割のシェアを持つスーパーマーケット業界。その市場を概観する。あわせて、輸入食品の取り扱いが多い大手スーパーマーケットチェーンの担当者から、ブラック ジャック ランキング市場参入のヒントを聞いた。
当地スーパーマーケットは、小売大手4社が席巻
米国農務省(USDA)のレポート「食品小売り年次報告(Retail Foods Annual)」によると2023年、チリの食品小売市場は全体で約289億ドル。そのうち、スーパーマーケットが約155億ドル。半分以上を占めた。
地場系スーパーマーケットは、小売り大手4社が寡占している。当地報道によると、市場はその4社で90%を占める。売上高順に示すと、次のとおりだ。
- ウォルマート(Walmart)
業界最大手。「リーデル(Líder)」などのチェーンを擁し、国内で約390店舗運営。プライベートブランド商品に強みを持つ。米国小売り大手のウォルマートの子会社である。 - センコスッド(Cencosud)
スーパーマーケットやハイパーマーケットなどの業態を展開する。 - SMU
「ウニマルク(Unimarc)」チェーンを持つ。 - ファラベラ(Falabella)
「トットゥス(Tottus)」チェーンを持つ。
チリ国家統計局によると、スーパーマーケットの2024年8月の売り上げ指数は前年同月比5.4%増だった。これに先立ち、2022年5月から2024年1月までは前年同月比マイナスを記録し続けていた。しかし、景気の回復とともに持ち直し傾向にある。
センコスッドは輸入食品に強い
大手4社の2番手、センコスッドは、国内にスーパーマーケットチェーンを2つ擁する〔ジュンボ(Jumbo)とサンタ・イサベル(Santa Isabel)〕。その下で、計286店舗展開している〔2024年第1四半期(1~3月)時点〕。経営する小売事業は、スーパーマーケットだけでなく、ショッピングモールなど幅広い。また、国際的にも展開。ブラジル、アルゼンチン、ペルー、コロンビアの南米各国に、1,000超える店舗を構える。多角的かつグローバルな大企業と言えるだろう。2022年には米国のザ・フレッシュ・マーケット(the Fresh Market)の株式を取得し、さらに事業を拡大させた。
特にジュンボは、一定の高所得者層をターゲットに据え、品質と品ぞろえを重視。他社スーパーマーケットチェーンと比べても、輸入食品の取り扱いが多いのが特徴だ。国内事業で輸入食品の調達責任者を務めるマグダレナ・ベナベンテ氏は、ブラック ジャック ランキングのインタビューに対し「日本に行ったチリ人がノスタルジアを感じる日本らしい商品に、特に可能性を感じている」と話す(注1)。
同チェーンでは、これまでに世界34カ国から調達した実績を持つ。輸入元が多いのは、欧米各国だ。具体的には、ドイツをはじめ、イタリア、スペインなど欧州各国や、米国が目立つ。大規模店舗では輸入食品だけで1,700~2,000SKU(注2)を取り扱う。中でもクッキーやチョコレートなどの菓子類が人気という。
輸入調達するに当たっては「価格と賞味期限、そしてMOQ(注3)のバランスを重視している」と語る。また、輸入食品を購入するのは、プレミアムな商品を探している人、特に女性が多いと分析している。もっとも、当地消費者は価格を気にする傾向にあるため、市場の類似商品と差が大きくなり過ぎないことが重要だ。
現状では、日本からの直接輸入は実現していない。日本企業との接点があまり多くないこともあるが、最もネックとなるのは賞味期限で、距離がある故に輸送に時間を要するため、少なくとも1年以上は必要だと語る。
トレンドはオンラインと健康志向
同氏は、スーパーマーケット業界のトレンドとして、(1)ネットスーパーや(2)健康食品の普及を挙げた。
(1)に関しチリでは、店舗の制服を着たオンラインショッパー(注4)が買い物カートを押す姿を、一般のスーパーマーケット内で日常的に見かける。「新型コロナウイルス禍前まで、ジュンボでオンライン販売の割合は1%程度に過ぎなかった。しかし現在では、約20%を占めるに至った」という。ネットスーパーが普及する中、ジュンボではダークストア(注5)を併設する店舗が増えた。今後、力を入れていく分野の1つという。
大手チェーンのいずれも、自社のプラットフォームでオンライン販売するようになっている。並行して、ウーバーイーツなどのフードデリバリーサービスとの提携を進めている状況だ。
また(2)の背景にあるのは、チリ人が健康志向を高めていることだ。この動きに連れ、「ビーガン」「オーガニック」「高タンパク質」商品のニーズが増えた。事実、それら商品専用のコーナーを設けている店舗もある。
チリでは近年、日本食の普及も進んでいる。現地化したすしは、今や定番化。近年は、ラーメンブームが続いている。日本食の認知度は高まっていると言えるだろう。しかし、地場系スーパーマーケットに並ぶ日本メーカーの商品は限定的。しょうゆや豆腐、インスタント麺などごくわずかに留まる。換言すると、日本酒や日本茶、日本の菓子類などの商品は見かけない。日本の商品は多くの場合、まだ「知ってもらう」努力を積み重ねなければならない段階にある。当地市場でニッチなジャンルと言わざるを得ないだろう。もっとも、ベナベンテ氏がブラック ジャック ランキング調達に意欲的なように、市場にはポテンシャルも参入余地もある。
なお、ベナベンテ氏は2025年3月に開催予定の「ブラック ジャック ランキング食品輸出商談会 at FOODEX JAPAN」に参加予定である。
チリの食品や小売市場については、ブラック ジャック ランキングの「日本食品輸出のヒント集(チリ)(2.8MB)」も有用だ。
- 注1:
- 筆者が現地取材(2024年7月29日、10月9日)した結果に基づく。
- 注2:
- SKUは、Stock Keeping Unitの略。受発注したり在庫管理したりする上での最小単位。
- 注3:
- MOQは、Minimum Order Quantityの略。サプライヤーからの商品購入時に発注できる最低数量のこと。
- 注4:
- ネットスーパーの注文を受けた場合、対象の店舗商品を配達することになる。オンラインショッパーとは、注文した顧客に成り代わり商品収集する職員。
- 注5:
- ダークストアでは、商品を陳列するものの、消費者に直接販売することはない。eコマースの配送拠点としても機能する。
- 執筆者紹介
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ブラック ジャック ランキング・サンティアゴ事務所長
大塚 優希(おおつか ゆうき) - 2018年、ブラック ジャック ランキング入構。ビジネス展開支援課、新興国ビジネス開発課、佐賀貿易情報センター勤務を経て、2023年9月から現職。