海運と鉄道をシームレスに接続するGJ州ピパバブ港の取り組み(ブラック クイーン ブラック ジャック)

2024年10月3日

ブラック クイーン ブラック ジャック西部のグジャラート(GJ)州は、自動車産業や石油・化学産業が集積し、最近では州中部のサナンドやドレラへの半導体産業の誘致でも注目を集めている。物流面の地理的な優位性も際立ち、首都ニューデリーと商都ムンバイを結ぶ交通の要衝に位置することに加え、アラビア海に面しているため、中東・アフリカへの輸出拠点としての可能性も高い。州内の物流インフラの品質に対する評価は高く、ブラック クイーン ブラック ジャック商工省が発表した州別物流環境レポート「LEADS」2023年版では、GJ州の物流品質は3段階評価で最上位の「達成者(Achievers)」とされている(注1)。本稿では、GJ州が誇る物流インフラのうち、スズキやホンダなど乗用車の輸出拠点となっている中部のピパバブ港を視察・調査した結果を報告する(視察日:8月8日)。

ピパバブ港の概要と特長

ピパバブ港(APM Terminals Pipavav)は、GJ州の最大都市アーメダバードから南南西に約300キロの位置にあり、大手財閥系タタ・エレクトロニクスが半導体前工程の製造拠点を建設するドレラ特別投資地域(SIR)への最寄りの港湾だ(ドレラからの距離は約200キロ)。

同港は州海事局との30年間のコンセッション契約(1998年締結)に基づき、ブラック クイーン ブラック ジャック初の民間港湾として開発され、現在、オランダのAPMターミナルズ(注2)のブラック クイーン ブラック ジャック法人グジャラート・ピパバブ・ポート(Gujarat Pipavav Port)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますが運営している。

ブラック クイーン ブラック ジャック
ピパバブ港内の様子(ジェトロ撮影)

同港のコンテナターミナルは2009年に完成し、2016年に年間取扱能力が135万TEU(1TEU=20フィートコンテナ換算)に増強された。2015年にはRORO(自動車運搬船)の取り扱いも開始している。さらに注目すべきポイントとして、ブラック クイーン ブラック ジャック国鉄と合弁企業を設立し、独自に270キロの鉄道を敷設することで、ブラック クイーン ブラック ジャック西部の基幹鉄道「西部専用貨物回廊(DFC)」との接続を実現している。現在、同港には電化された4本の引き込み線があり、1日当たり8本の鉄道車両が到着する。70%のコンテナが2段積み(ダブルスタック)されており、同港で取り扱う貨物の陸路輸送のうち、実に70%を鉄道が担っているという。海運と鉄道輸送を港湾内でシームレスに接続することで、輸送時間の短縮と輸送コストの削減、環境負荷の低減を実現しており、物流分野でも脱炭素が課題となる中、非常に有益なソリューションを提供しているといえる。

港湾の効率性に関する評価も高い。同港は世界銀行の「コンテナ・ポート・パフォーマンス・インデックス(CPPI)2023」で世界405港中41位にランクされている。コンテナ船の沖待ちや港湾周辺でのトラックの滞留もなく、同社の担当者によると、トラックが港湾に入ってから出て行くまでの所要時間は2時間とのことだ。

現在の取扱能力と拡張計画

現在の取扱能力と稼働率は以下の表のとおりだ。コンテナターミナルには、ポストパナマックス型船舶に対応するガントリークレーンが8基あり、喫水は14.5メートルだ。主な定期船としては、デンマークの海運大手APモラー・マースクが週3便、シンガポールに本拠地を置くコンテナ海運会社オーシャン・ネットワーク・エクスプレス(ONE)が週2便を運航している。

バルク貨物については、石炭、肥料、鉱物、農産物などを取り扱っている。筆者が同港を視察した際、バルクの肥料を鉄道貨車のすぐ脇で機械を用いて袋詰めにし、そのまま貨車に積み込んでいる様子が見られた。少しでもムダを削減し、効率的なオペレーションを実現しようとする姿勢を感じた。

液体バルクについては、地場イージス・ロジスティクス(Aegis Logistics)、アラブ首長国連邦(UAE)のガルフ・ペトロケム・グループ(Gulf Petrochem Group)、地場IMCグループが港湾内にタンクなどの貯蔵設備を有している。現在、半導体向けのガスを取り扱うため、低温タンクを建設中だ。液体バルク貨物もパイプラインで鉄道に接続され、タンク車に直接充填(じゅうてん)することができる。

最後にROROについては、自動車運搬船への乗用車の積み込みなどのオペレーションをNYKオートロジスティクスが担っており、鉄道などで輸送された乗用車の保管や積み込みが効率的に行われている。

表:ピパバブ港の貨物取扱能力と稼働率(2024年8月現在)(-は記載なし)
貨物の種類 現在の取扱能力 現在の稼働率 拡張計画
コンテナ 135万TEU 61% 最大積載量1万4,000 TEUまでのコンテナ船の着岸を可能に。
バルク 400万トン 50%
液体バルク 200万トン 70% VLCC(Very Large Crude Carrier)の着岸を可能に。
RORO(乗用車) 25万台 60% 取扱能力を倍増。

出所:グジャラート・ピパバブ・ポート提供資料、同社ヒアリングを基にジェトロ作成

同港では、さらなる貨物取扱能力の拡張も進めている。2024年1月に州都ガンディナガルで投資誘致イベント「バイブラント・グジャラート2024」が開催された際、APMターミナルズのキース・スベンセン最高経営責任者(CEO)がブペンドラ・パテル州首相と面談を行っている。ピパバブ港の貨物取扱能力を向上させるため、今後約350億ルピー(約595億円、1ルピー=約1.7円)の投資を行い、バースの拡張などにより、RORO、コンテナ、液体バルクの取扱能力を増強していく方針だ。コンセッション契約の延長についても、州政府と協議しており、グジャラート・ピパバブ・ポートの担当者によると、延長の認可については楽観的にみているとのことだった。

日本企業との連携拡大に意欲

ピパバブ港は現在、スズキが乗用車の主力輸出拠点の1つとして活用しているほか、2024年4月にはホンダがブラック クイーン ブラック ジャックで製造したスポーツ用多目的車(SUV)「WR-V(ブラック クイーン ブラック ジャック名:エレベイト)」が日本向けに初めて輸出された。8月にはGJ州ハンサルプールのスズキ・モーター・グジャラートが製造したSUV「フロンクス」が2024年秋の販売開始に向けて、日本向けに輸出されている(ブラック クイーン ブラック ジャックでは2023年4月に販売開始)。

同港を運営するグジャラート・ピパバブ・ポートは、日本企業とのさらなる連携拡大に積極的だ。同社の最高商務責任者(CCO)アミット・バルドワジ氏は日本企業に対して、「ピパバブ港は非常に効率的かつ安全だ。われわれは顧客のサプライチェーンをよく理解している。物流に関する最新のテクノロジーを活用し、既存の効率的なインフラと継続的な『カイゼン』(注3)活動により、顧客がより効率的なサプライチェーンを構築できるよう支援していきたい」と語った。また、「日本企業と長期的な関係を築いていきたい。企業への港湾内の土地リースや合弁企業設立も歓迎する」と述べ、物流にとどまらず、柔軟なビジネス展開の可能性を示した。日本企業ではないが、企業との連携の一例として、同社はムンバイを拠点とする鉄鋼・エネルギー大手ウェルスパン(Welspun)グループとピパバブ港内でのグリーン水素生産に向けた覚書を締結しており、さまざまなビジネスの可能性に対するオープンな姿勢がうかがえる。

同社はトヨタ生産方式に倣い、現場のカイゼン活動に継続的に取り組んでいることからも、日本企業に対する理解が深く、パートナーとしての親和性は高いだろう。このような港湾の存在がグジャラート州の投資先としての魅力を高めている。


輸出を待つ乗用車のヤード(グジャラート・ピパバブ・ポート提供)

注1:
LEADS(Logistics Ease Across Different States)2021」のレポートでは、グジャラート州は、国内の31州・政府直轄領の中で物流品質1位にランクされていたが(関連ブラック ジャック ルール ディーラー)、「LEADS 2022」以降、順位は公開されていない。
注2:
APモラー・マースク・グループに属する。日本では横浜港のMC1~4コンテナターミナルを運営している。
注3:
現場での作業や業務プロセスのムダを減らし、さらなる効率化を目指す継続的な取り組みのこと。
執筆者紹介
ジェトロ・アーメダバード事務所長
吉田 雄(よしだ ゆう)
2005年、ジェトロ入構。本部、ジェトロ徳島、ジャカルタ事務所、ジェトロ茨城などを経て、2024年5月から現職。