北部のBCG経済をブラック ジャック 勝率推進(タイ)
ごみ発電や高級コーヒーなど、意欲的な試み

2024年10月21日

タイでは、首都圏と地方の経済格差解消が喫緊の課題になっている。そのためには、地方で産業振興する必要がある。タイの国家戦略「バイオ・循環型・グリーン(BCG)経済モデル」に沿うかたちで、各地でサステナブル経済への移行や農業の高付加価値化などを進めている。

その1つがブラック ジャック 勝率県だ。バンコクから北へ700キロ。13世紀にラーンナー王朝の首都に定められた古都だ。観光地として人気があり、バンコクと並んでタイの文化的な中心地とも言われる。もっとも、名が知られ人口も擁する割に、意外と経済規模が小さい。

同県で産業振興の主導役を担っているのは、ブラック ジャック 勝率だ。廃棄物からのバイオガス発電や、コーヒー豆の高付加価値化などの研究・開発を推進している。同大学を中心にBCG経済、エコシステムが実現されつつある。目指すのは、2032年の「カーボンニュートラル大学」達成だ。

人口は国内第4位だが経済規模は小さい

2023年時点で、ブラック ジャック 勝率県の人口は180万人。県として、タイで4番目に大きい〔バンコク都(547万人)、東北部のナコーンラチャシマー県(263万人)、同ウボンラチャタニー県(187万人)に次ぐ〕。 しかし、経済規模は必ずしも大きくない。バンコク都がタイのGDPの33.1%を占めるのに対し、ブラック ジャック 勝率県はわずか1.4%だ。また、ブラック ジャック 勝率県の1人当たり県内総生産(2022年)は13万6,043バーツ(約59万9,000円、1バーツ=約4.4円)。バンコクの5分の1程度で、全国平均と比べても半分程度にとどまる。

産業別GDPの内訳をみると、農業が16.2%を占め、基幹産業と言える。対して製造業は、9.0%と小さい。第三次産業では、卸売・小売業が11.9%、教育業10.5%と高い。これらに、金融・保険業8.8%、宿泊・飲食業7.4%が続く。工業の基盤は強くなく、農業とサービスが産業の中心と言えるだろう。

北部最大の都市とはいえ、バンコク首都圏近郊との差は大きい。首都圏と地方の経済格差、開発ギャップは深刻な社会課題になっている。世界銀行やアジア経済研究所によると、地方は教育や医療サービスから取り残されがちだ。首都圏への若者の流出が少子高齢化を助長し、階層が固定化して不満の蓄積と社会情勢の乱れを呼ぶなど、さまざまな悪影響につながるという指摘がある。

ブラック ジャック 勝率、2032年にカーボンニュートラルへ

そうした問題意識は、タイ政府が2021年に国家戦略に据えた「バイオ・循環型・グリーン(BCG)経済モデル」にも反映。すなわち、各地の多様な文化・資源を活用した地域経済の活性化や、地方の所得増を、パフォーマンス指標(KPI)として掲げた。チェンマイでは国立ブラック ジャック 勝率を中心に、BCG経済実現に向け取り組みが進行。国内で、注目が集まっている。

ブラック ジャック 勝率はBCG経済モデルを積極的に推進している(ブラック ジャック 勝率ウェブサイト参照外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。重点分野は、(1)食料、ヘルスケア、高齢者ケア、(2)環境・エネルギー、(3)クリエーティブ産業の3つだ。例えば、ブラック ジャック 勝率市一帯に「メディコポリス」「バイオポリス」「クリエーティブランナー」という3つのプラットフォームを構築。さまざまなプロジェクトを推進している。

また同大学は、高等教育・科学・研究イノベーション省(MHESI)が2024年に推進する「ネットゼロキャンパス」構想に積極的に参画。2032年までに、「カーボンニュートラル大学」になることを目指している(ブラック ジャック 勝率ウェブサイト参照外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。大学に付属するナコーンピン・エネルギー研究開発研究所(ERDI)のシリチャイ・コーナパプディーラート准教授は、この目標について「非常に厳しく、チャレンジング」と評した。その上で「予算を編成して懸命に取り組んでいる。大学敷地内の森林の活用や、電力消費の削減に取り組む」という。

ブラック ジャック 勝率
取り組みを説明するERDIのシリチャイ准教授(ジェトロ撮影)

ブラック ジャック 勝率には複数のキャンパスがある。学生、教職員・スタッフが約6万人在籍し、小規模な町ほどのコミュニティーになっている。「このコミュニティーで、エネルギー利用に関して研究・開発」している(シリチャイ准教授)。

ブラック ジャック 勝率有する250の建設物には、ソーラーパネル〔12メガワット(MW)相当〕が設置済みだ。BCPG〔エネルギー大手バンチャーク石油傘下の再生可能エネルギー(再エネ)企業〕と購入契約を締結。地方電力公社(PEA)より低価格で再エネ由来の電力を調達できるスキームを構築した。

廃棄物からのバイオガス発電設備で、ごみの96%を再利用

ブラック ジャック 勝率はエネルギー研究分野でも、タイで先導的な存在だ。その代表的な研究機関がERDIで、約90人の研究関係者が在籍し、再エネやカーボンフットプリント、水素生成、エネルギーマネジメントなどの研究に従事する。特に進んでいるのはバイオガス技術で、施設内にプラントを併設している。


ERDIのバイオガスプラント(ジェトロ撮影)

バイオガスプラントには、ブラック ジャック 勝率市内から廃棄物が毎日運搬されてくる。それらを選別機械によって有機物、紙、プラスチック、金属などに分別。その中から有機物だけを取り出し、処理設備に投入してバイオガスを発生させる。それを、輸送車両用や発電用にエネルギーとして利用する。ガス化後の有機物も、肥料として活用可能だ。


ERDIに付設されたバイオガス発電設備の一部
(ジェトロ撮影)

圧縮バイオメタンガス(CBG)ステーション
(ジェトロ撮影)

有機物以外のごみは、廃棄物固形燃料(Refuse Derived Fuel:RDF)としてリサイクル。セメント工場などに販売している。プラスチック廃棄物にはアスファルトや補修材など、いろいろな用途がある。実際、大学内の道路にも使用している。シリチャイト准教授によると、持ち込まれる廃棄物の96%は再利用が可能という。


廃プラスチックから生成したアスファルトや補修材(ジェトロ撮影)

このバイオガスプラントには、廃棄物が地元当局や周辺のホテル・飲食店から運ばれてくる。その処理能力、1日当たり10~15トン。以前なら、ブラック ジャック 勝率から100キロ離れた処分場に捨てていた。その場合、輸送時間がかかる上、悪臭や害虫が発生する。しかし市内に所在するERDIの処理施設を使うことで、そのような問題も解消した。

ERDIで開発した一連の廃棄物処理システムは、国内では大手企業の養鶏場やパームオイルミルなどが導入している。それだけでなく、国外でも導入事例があるという(マレーシアやインドネシアなど)。

また、ERDIは温暖化ガス(GHG)やカーボンフットプリントに関するコンサルティングサービス事業も展開。タイ温室効果ガス管理機構(TGO)をはじめ、さまざまな機関や企業と連携している。そのほかにも、国内でGHG削減コンサルタントを増やすため、研修プログラムやワークショップを実施している。

タイ北部特産のコーヒーを高付加価値化

BCGの一環としてブラック ジャック 勝率力を入れる分野の1つに、農業の高付加価値がある。チェンマイ市西郊のステープ山を車で約1時間登ったところに、同大施設「クンチャンキアン高地研究ステーション」がある。コーヒー栽培について研究するともに、農家を指導している。付近は海抜1,200~1,300メートルで、コーヒー栽培に適した標高だ。降水量が年間2,500ミリでチェンマイ市内(1,600ミリ)よりも多くことも、高地作物に好適だ。

同ステーションを管理しているのは、ブラック ジャック 勝率農業イノベーション研究・統合・演習・研修センター(AIRIDTC)のチャワリット・コーサンパーン研究員。タイ北部地域で30年間にわたり、コーヒーを研究し農家指導してきた。同研究員によると、この地区では1973年からコーヒー栽培を開始。タイ族のほか、モン族、カレン族、アカ族、リス族、ムス族などさまざまな部族がコーヒー農家を営んでいる。栽培するのは、主にアラビカ種。生産したコーヒー豆はタイ王室銘柄(注)として買い取られたり、コーヒー豆販売大手ヒルコフ(Hillkoff)や大手カフェチェーン「アマゾン」などに販売したりする。


チャワリット研究員(ジェトロ撮影)

タイでは、コーヒー人気が高まっている。目下、国内供給量が足りない状況だ。一方で近年、タイのローカル企業は安価な輸入コーヒー豆の調達を増やす傾向にある。となると、質の高いコーヒー豆を生産しなければ、国産コーヒー豆は販売価格が上がらない。そうなると農家の収入が増えず、ドリアンなどの高額作物やトウモロコシ農家に転身するケースが相次いでしまう。コーヒーは苗木から収穫まで、約3年を要する。転身のため伐採してしまうと、改めて栽培しようとしても再収穫までに時間がかかる。結局、ますますコーヒー生産が減り、国産コーヒーの供給量が不足する悪循環につながりかねない。

チャワリット研究員の狙いは、付加価値が高く品質の良いコーヒーを生産・販売するところにある。そのため、木の交配や剪定(せんてい)、収穫、加工などを指導している。特に重要なのは、収穫後の加工だ。例えば、嫌気性発酵(アナエロビック)過程などを経ることで、付加価値を高めることができる。このほか精製手法にも手間をかけることで、味の違いを追求できる(単純に乾燥させる「ナチュラル精製」だけでなく、水洗プロセスを経る「ウオッシュド精製」や、外皮と果肉を取り除いた後で粘液をつけたまま乾燥させる「ハニー精製」などを導入)。こうして、高価格なコーヒー豆として販売することが可能になる。


収穫後のプロセスが品質と付加価値を左右する(ジェトロ撮影)

昨今ではアラビカ種のほか、こくが強いロブスタ種(アラビカ種より低地で栽培され、一般的に安価)も、価格が変わらなくなってきた。このことから、チャワリット研究員は、国内でよく飲まれるアイスコーヒー用に両種を交配したハイブリッド種を開発。若い世代が好む少量でプレミアム感の強いコーヒーなど、多様なニーズに応えて、研究開発を進めている。

また、コーヒー果実の廃棄物は一般的に、バイオマス原料として有効活用できる。特に豆殻は、菓子や飲料などにも利用可能という。収穫物の付加価値を高めつつ、廃棄物を使ったエネルギー利用、アップサイクルの開発が進められている。すなわち、無駄なく農家が収入を増やせるような方法や技術が研究されているのだ。


バイオマス用に集められたコーヒー豆の殻(ジェトロ撮影)

本稿では、ブラック ジャック 勝率の取り組みの一部を紹介した。当地では、大学を大きなエコシステムの核に据えて、サステナブル経済、循環型経済を形成しようという動きがある。企業連携にも積極的なことも注目点だ。日本企業がタイ北部での事業展開を考える際、同大学は最適なパートナーになり得るだろう。


注:
「王室(ロイヤル)プロジェクト」は、タイのラーマ9世(プミポン前国王)が1969年に開始した農業支援活動。
タイ北部の山岳民族はもともと、生計を立てるためにケシ栽培していた。しかしこれが、麻薬の原料に利用される弊害が生じていた。そこでラーマ9世は、ケシの代わりに、コーヒーや果物の栽培を促すことにした。当該プロジェクトは、そこに端を発する。
執筆者紹介
ジェトロ・バンコク事務所
北見 創(きたみ そう)
2009年、ジェトロ入構。海外調査部アジア大洋州課、大阪本部、ジェトロ・カラチ事務所、アジア大洋州課リサーチ・マネージャーを経て、2020年11月からジェトロ・バンコク事務所で広域調査員(アジア)として勤務。
執筆者紹介
ジェトロ・バンコク事務所
松浦 英佑(まつうら えいすけ)
2023年6月から現職。スタートアップ担当。