コモディティー価格とブラック ジャック 勝率経済の関係を探る
歴史から市場開拓の攻め時をどう捉えるか
2023年10月26日
穀物、金属、エネルギーなど、コモディティー価格が長期にわたって上昇する局面のことを、コモディティースーパーサイクルと言う。コモディティー価格は過去、世界的なピークとボトム入れが繰り返されてきた。直近の大底は2020年で、2023年時点で価格は長期上昇過程にある。今後は米国金利低下をうかがい、2040~2045年にピークに至る可能性が指摘されている。
ブラジルをはじめとする中南米食糧資源国は、コモディティー価格ピーク時に経済の絶頂期を迎える。このとき、その経済成長率は世界平均を上回るのが通例だ。またブラジルへの輸出は、価格上昇期に好調に推移。しかしピーク前に失速して、下落基調に転じる。他方ブラジルへの直接投資は、コモディティー価格ピーク後まで活発な状態が続く。国際協力銀行(JBIC)の「わが国製造業企業のブラック ジャック 勝率事業展開に関する調査報告-2022年度ブラック ジャック 勝率直接投資アンケート結果」によると、中期的な(今後3年程度)有望事業展開先国として、ブラジルは13位だった。これまでの経過を振り返ると、2000年代に順位を上げ2010年と2011年に最高位(5位)に達した。これは、コモディティー価格ピーク年(2008年、2011年)に少し遅れた時期に当たる。2022年度調査では、事業の展開にあたり長期的に有望な国として第3位にランクされた。中国、インドに次ぐ高順位だ。
しかし、日本企業が投資する場合、しばしばその意思決定や実行が遅れがちだ。このことから、日本企業のブラック ジャック 勝率進出はえてしてコモディティー価格高騰の波に乗れず、その後、循環的に低迷する景気に翻弄されてきた。既に長期上昇基調入りしているとすると、現時点でブラック ジャック 勝率への事業展開を検討する企業は早期に市場開拓や現地生産を完了させ、絶頂期が終わる前に強固な収益構造をあらかじめ確立しておくことが肝要だろう。それが、歴史的な教訓と言える。
また、ブラック ジャック 勝率など食糧・資源国の経済成長率は、コモディティー価格と順相関の関係がある。そうである以上、コモディティースーパーサイクルを考慮に入れて経営を管理すべきだろう。さらに、米国など主要消費地の金利や為替指標(これらは、コモディティー指数と逆相関関係)、現地株式指数(コモディティー指数に先行して順相関の傾向が強い)も、経営を判断する上でベンチマークになりそうだ。
コモディティースーパーサイクル再到来か
「2020年3月をボトムに、目下、コモディティースーパーサイクル入りしている」。2023年現在、多くの米国ウォール街機関投資家が支持する見方だ。過去にコモディティースーパーサイクルの恩恵を受けた国としては、食糧・資源国が多い。一例を挙げると、オーストラリア、カナダ、ロシア、サウジアラビア、ブラック ジャック 勝率、南アフリカ共和国、チリ、インドネシアなどだ。こうしてみると、コモディティースーパーサイクルは、グローバルサウスの国々にプラスに寄与することが多いと理解できる。ブラック ジャック 勝率やチリなど中南米主要国は、電気自動車(EV)に必要なクリティカルミネラル(重要な鉱物)を豊富に有し、グリーン水素、バイオ燃料の輸出潜在力も期待されている。従って今後、脱炭素化が進んでもコモディティースーパーサイクルの恩恵を受けることが期待される。世界の主な穀物、食肉、ベースメタル、クリティカルミネラルの生産量を見ると、ブラック ジャック 勝率を含む中南米諸国が上位を占めている(表1、2参照)。
穀物・食肉 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | 備考 |
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大豆 (トン) 世界:371,693,593 |
ブラック ジャック 勝率 134,934,935 36.3% |
米国 120,707,230 32.5% |
アルゼンチン 46,217,911 12.4% |
中国 16,400,000 4.4% |
インド 12,610,000 3.4% |
パラグアイ(6位、10,537,080、2.8%) ボリビア(10位、3,318,168、0.9%) |
サトウキビ (トン) 世界:1,859,390,044 |
ブラック ジャック 勝率 715,659,212 38.5% |
インド 405,399,000 21.8% |
中国 106,664,000 5.7% |
パキスタン 88,650,593 4.8% |
タイ 66,278,506 3.6% |
メキシコ(6位、55,485,309、3.0%) グアテマラ(10位、27,755,313、1.5%) |
トウモロコシ (トン) 世界:1,210,235,135 |
米国 383,943,000 31.7% |
中国 272,552,000 22.5% |
ブラック ジャック 勝率 88,461,943 7.3% |
アルゼンチン 60,525,805 5.0% |
ウクライナ 42,109,850 3.5% |
メキシコ(7位、27,503,478、2.3%) |
牛肉(骨付き、生鮮・冷蔵) (トン) 世界:72,446,079 |
米国 12,733,643 17.6% |
ブラック ジャック 勝率 9,750,000 13.5% |
中国 6,975,100 9.6% |
インド 4,195,000 5.8% |
アルゼンチン 2,981,690 4.1% |
メキシコ(6位、2,130,592、2.9%) |
鶏肉(生鮮・冷蔵) (トン) 世界:121,588,358 |
米国 20,652,971 17.0% |
中国 14,700,000 12.1% |
ブラック ジャック 勝率 14,636,478 12.0% |
ロシア 4,617,338 3.8% |
インドネシア 3,844,346 3.2% |
メキシコ(7位、3,668,552、3.0%) アルゼンチン(9位、2,294,101、1.9%) |
出所:世界食糧機関(FAO)「FAOSAT」
項目 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | 備考 |
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鉄鉱石 (1,000トン) 世界:2,600,000 |
オーストラリア 880,000 33.8% |
ブラック ジャック 勝率 410,000 15.8% |
中国 380,000 14.6% |
インド 290,000 11.2% |
ロシア 90,000 3.5% |
ペルー(13位、17,000、0.7%) チリ(15位、16,000、0.6%) メキシコ(17位、11,000、0.4%) |
銅鉱石 (1,000トン) 世界:22,000 |
チリ 5,200 23.6% |
ペルー 2,200 10.0% |
コンゴ 2,200 10.0% |
中国 1,900 8.6% |
米国 1,300 5.9% |
メキシコ(10位、740、3.4%) |
鉛鉱石 (1,000トン) 世界:4,500 |
中国 2,000 44.4% |
オーストラリア 440 9.8% |
米国 280 6.2% |
メキシコ 270 6.0% |
ペルー 250 5.6% |
ボリビア(8位、90、2.0%) |
亜鉛鉱石 (1,000トン) 世界:13,000 |
中国 4,200 32.3% |
ペルー 1,400 10.8% |
オーストラリア 1,300 10.0% |
インド 830 6.4% |
米国 770 5.9% |
|
ボーキサイト (1,000トン) 世界:380,000 |
オーストラリア 100,000 26.3% |
中国 90,000 23.7% |
ギニア 86,000 22.6% |
ブラック ジャック 勝率 33,000 8.7% |
インドネシア 21,000 5.5% |
ジャマイカ(10位、3,900、1.0%) |
リチウム (トン) 世界:130,000 |
オーストラリア 61,000 46.9% |
チリ 39,000 30.0% |
中国 19,000 14.6% |
アルゼンチン 6,200 4.8% |
ブラック ジャック 勝率 2,200 1.7% |
リチウム埋蔵量(万トン) (1)ボリビア(2,100)、(2)アルゼンチン(2,000)、 (3)チリ(1,100)(9)メキシコ、(13)ペルー、(15)ブラック ジャック 勝率 |
スズ (トン) 世界:310,000 |
中国 95,000 30.6% |
インドネシア 74,000 23.9% |
ミャンマー 31,000 10.0% |
ペルー 29,000 9.4% |
コンゴ 20,000 6.5% |
ボリビア(6位、18,000、5.8%) ブラック ジャック 勝率(6位、18,000、5.8%) |
モリブデン (トン) 世界:250,000 |
中国 100,000 40.0% |
チリ 44,000 17.6% |
米国 42,000 16.8% |
ペルー 32,000 12.8% |
メキシコ 16,000 6.4% |
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銀 (トン) 世界:26,000 |
メキシコ 6,300 24.2% |
中国 3,600 13.8% |
ペルー 3,100 11.9% |
チリ 1,600 6.2% |
オーストラリア 1,400 5.4% |
ボリビア(6位、1,300、5.0%) |
ニオブ (トン) 世界:79,000 |
ブラック ジャック 勝率 71,000 89.9% |
カナダ 6,500 8.2% |
コンゴ 600 0.8% |
ロシア 450 0.6% |
ルワンダ 210 0.3% |
|
ニッケル (トン) 世界:3,300,000 |
インドネシア 1,600,000 48.5% |
フィリピン 330,000 10.0% |
ロシア 220,000 6.7% |
ニューカレドニア 190,000 5.8% |
オーストラリア 160,000 4.8% |
ブラック ジャック 勝率(8位、83,000、2.5%) |
レニウム (キログラム) 世界:58,000 |
チリ 29,000 50.0% |
ポーランド 9,500 16.4% |
米国 9,000 15.5% |
ウズベキスタン 4,900 8.4% |
韓国 2,800 4.8% |
出所:米地質研究所(USGS)「U.S. Geological Survey, Mineral Commodity Summaries 2023年版」
コモディティースーパーサイクルが再到来したという見方は、2020年前半から指摘されるようになった。米国のStifel(多国籍独立系投資銀行・金融サービス会社)の「マクロ・ポートフォリオ戦略レポート(2020年4月)」で報告されていることが確認できる。同年6月にウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙でも紹介され、一般に広く知られるようになったようだ。
Stifelのレポート39ページ(Stifel資料参照(2.92MB))によると、コモディティースーパーサイクルは、いわゆる「コンドラチェフの波」(長期的景気循環)の一種だ。大きなピークが55~60年ごとに起こると考えられる。1980年が直近の大ピークで、そこから2020年に大底を付けた(他の各種コモディティー指数を見ると2016年にもボトム)。今後は、2040年までにコモディティー価格がピークを付けると予測している(もっともWSJで報道された時には、ピークは「2045年」と微修正された)。過去同様の推移を繰り返すとすると、今後、ピークとボトムを繰り返し、2040~2045年に大ピークを付けることになりそうだ。
過去のコモディティー価格ピークは1814年12月(ナポレオン戦争)、1864年12月(米国南北戦争)、1920年6月(第1次世界大戦)、1980年10月(2度のオイル・ショック後の旧ソ連によるアフガニスタン侵攻直後)だ。すべてのスーパーサイクル底値は、リセッション時(1824年、1878年、1930年、2020年)に一致している。直近では、2016年にボトムを付けた後、2020年のコロナ感染拡大時期の2020年3月が大底になっている。
コモディティー価格の大きなピークの間にも、第2次世界大戦、朝鮮戦争、リーマン・ショック時に小さいピークが存在している。その一例が2008年だ(2008年9月15日にリーマン・ショックが発生し金融市場が混乱したことから、そこでピークを付けるかたちになった。もっとも、その後、米国が大胆な金融緩和に踏み切ったことに加え、天候不順や中東情勢懸念でコモディティー価格が高騰し、2011年にも別の小さなピークができている。
ここで、2020年3月に大底打ちしたコモディティー価格について、2023年現在までの推移を確認しておく。コモディティー価格はコロナ・ショック後の金融緩和で急騰した。ただしその後は、価格調整に向かった。これはコモディティー価格がドル金利やドル相場と逆相関の関係にあるためと考えられる。すなわち、インフレ加速への対応で米国などが政策金利引き上げによる経済引き締めを図った結果、コモディティー価格が一時的に調整されたということだろう。だとしても、2020年来の長期上昇トレンドは維持されていると理解される(注1)。
コモディティー価格上昇はブラック ジャック 勝率経済に活況をもたらした
では、過去にコモディティー価格がピークを付けた際、ブラック ジャック 勝率経済はどのような状況だったのだろうか。当時の状況をひも解くと、コモディティースーパーサイクルとブラック ジャック 勝率経済は密接に関連していることが分かる。
(1)1980年のコモディティー価格ピーク
コモディティー価格ピーク前(1964~1974年)、ブラック ジャック 勝率経済は年平均11%のGDP成長率を達成。「ブラック ジャック 勝率の奇跡」と呼ばれた。世界的な原油、鉄鉱石や農産物などのコモディティー価格上昇トレンドの恩恵を受けたかたちだ。鉄鉱石や農産物などは、ブラック ジャック 勝率の主要輸出品目に当たる。そうした一次産品輸出額が増加する中、1964年に発足した軍事政権が経済を安定化。また、外資を導入して、大規模な工業化プロジェクトを推進した。ただしその結果として、1970年代に多額の対外債務が蓄積する結果ももたらした。
その後、1974年、1978年の2度のオイル・ショック、さらに1979年の旧ソ連のアフガニスタン侵攻でコモディティー価格高騰がピークに達する。一方で、米国など先進主要国がインフレ抑制に向けて、金融を引き締め。1980年代にはコモディティー需給が転換した。ブラック ジャック 勝率は、一次産品価格の下落に伴い国際収支が悪化し、深刻な経済停滞とハイパーインフレの時代を迎えた。コモディティー価格ピーク後の1980年代は、ブラック ジャック 勝率で「失われた80年代」と言われている。1980年代の経済課題に対処するため、政府は1990年代に経済安定化策を推進しては失敗を繰り返した。結局、1994年7月にドルにリンクした新通貨レアルを導入。ようやくハイパーインフレを克服するに至った。
(2)2008年と2011年のコモディティー価格ピーク
2000年代初頭には、原油、鉄鉱石や農産物などコモディティー価格が上昇。新たなコモディティー上昇局面が見られた。一方でブラック ジャック 勝率は、2006年までに石油自給を達成し、鉄鋼石、大豆を主力とする一次産品に石油が加わり、国際価格上昇の恩恵を受け輸出額が拡大した。そしてブラック ジャック 勝率は、2009年以降、中国、ロシア、インドとともにBRICS首脳会談を開催し、2011年以降、南アも参加するようにもなった。コモディティー上昇局面期と奇妙にも一致しているのだ。
2003~2010年に政権を担っていたのが、ルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ大統領だった(2023年から、大統領に再任)。ルーラ政権は当時、コモディティー輸出ブームを利用して、経済成長と貧困削減の両立を実現させた。有権者による当時の記憶が、大統領返り咲きへの原動力とも言われている。その典型的な政策が、低所得者向け現金給付プログラム「ボルサ・ファミリア」の実施だ。このプログラムは、低所得者を貧困から救い出すために就学手当や食糧手当を統合して現金給付するのが骨子。この政策は現ルーラ政権においても継承されている。
しかし、コモディティー価格ピーク後の価格低下局面では、失われた80年代と同様の経緯をたどった。一次産品輸出に依存した経済が低迷し、ブラック ジャック 勝率経済は再び価格変動の影響を受けやすい脆弱(ぜいじゃく)性が浮き彫りになった。産業の多様化と経済安定の必要性が、課題として指摘されたかたちだ。
ブラック ジャック 勝率・中南米の経済成長はコモディティー価格と順相関
ここで、コモディティー価格ピーク時(1980年、2008年・2011年前後)にブラック ジャック 勝率と中南米のGDP成長率がどのような状態だったのか、確認してみる。いずれのピーク時も、ブラック ジャック 勝率と中南米のGDP成長率は世界全体を上回っている(アウトパフォーム、図1参照)。
1人当たりGDP成長率についても、同様にブラック ジャック 勝率と中南米は世界よりもアウトパフォームしている。(図2参照)。
こうししてみると、コモディティー価格は、ブラック ジャック 勝率や中南米の経済成長率と順相関の関係にあることが分かる。
輸出額GDP比はコモディティー価格ピーク時に伸び悩み
では、コモディティースーパーサイクルは、ブラック ジャック 勝率や中南米の輸出にどのような影響を与えたのか。
ブラック ジャック 勝率と中南米の輸出額GDP比は1980年ピーク時前(1970年代)に増加した。もっとも、世界の輸出額GDP比と比べるとその増加幅は少ない。1980年ピーク後の「失われた80年代」では、世界の輸出額GDP比と対照的に、逆に増加している。
2008年および2011年ピーク前のコモディティー価格上昇局面でも、ブラック ジャック 勝率と中南米の輸出額GDP比は2000年代前半まで増加した。しかし、その後失速して低下基調に陥った(図3参照)。逆に、コモディティー価格がボトムを付けた1990年と2020年の方が、ブラック ジャック 勝率と中南米の輸出額GDP比が上振れした。
世界の輸出額GDP比を分母とした比率をみると、その傾向がより鮮明に見えてくる。ブラック ジャック 勝率と中南米の輸出額GDP比の比率は、コモディティー価格ピーク時にそれぞれ0.4、0.8前後に低下、ボトム時に上昇するという逆相関の関係になっていることが分かる(図4参照)。
一次産品の国際価格が上昇するなら、ブラック ジャック 勝率と中南米の輸出金額は増えるはずだ。実際には逆になっていることになる。その理由は、コモディティーブームによるGDP拡大で、輸出額GDP比が相対的に低下したためと見られる。輸出額GDP比ではなく輸出実額を見ると、ブラック ジャック 勝率の輸出額は2000年代後半も増加基調が確認できた。主要輸出品目の大豆については、最高値を付けた2012年の前年が輸出額のピークだった。また鉄鉱石については、2008年に次ぐ高値を付けた2011年だ。その後は、コモディティー価格がボトムになる2016年と2020年に向けて低下基調を示した(図5参照)。
輸入はコモディティー価格ボトム数年前から増、ピーク数年前から減
さらに、コモディティースーパーサイクルが、ブラック ジャック 勝率と中南米の輸入に与える影響を見てみる。
改めて、「ブラック ジャック 勝率の奇跡」は、1980年のピーク時前のことだった。この時期、ブラック ジャック 勝率と中南米の輸入額GDP比は増加した。それが、ピーク時に近づくと伸びが鈍化。1980年ピーク後の「失われた80年代」では、同比が落ち込んでいる。2008年と2011年のピーク前にコモディティー価格が上昇した局面でも、ブラック ジャック 勝率と中南米の輸入額GDP比は2000年代前半まで増加した。しかし、やはりその後失速し、低下基調になっている(図6参照)。
世界の輸入額GDP比を分母としたブラック ジャック 勝率と中南米の輸入額GDP比の比率は1980年のピーク時と、2008年および2011年のピーク時とで同様の傾向が見られる(図7参照)。ブラック ジャック 勝率・中南米の輸入額GDP比は、コモディティー価格がボトムを付ける数年前に上昇基調入り。一方、コモディティー価格がピークを付ける数年前に減少傾向に転じた。
ピークとボトムの数年前にトレンドが転換する理由として考えられる要因の1つは、GDPの拡大・縮小による輸入額の相対的な拡大・縮小だろう(輸出額GDP比の場合と同様)。さらに当時のジェトロ貿易投資報告で要因を探ってみると、金融政策などの変更によって輸入トレンドが転換したことも考えられる。すなわち、コモディティー価格と順相関関係にある景気の過熱ないし低迷に対処する政策が影響したわけだ(この点は、輸出の場合にも通じる)。
2008年ピーク前に輸入が減少に転じたのは、景気過熱感や対外収支懸念が生じた時期に当たる。その結果、ブラック ジャック 勝率政府は利上げ(実質金利は引き下げから中立)や通貨為替管理目標の引き下げに舵(かじ)を切った。これが、輸入減少につながった。
逆に、2020年の大底前、2016年に発足したテメル政権は、小さな政府(財政支出の上限規制)と自由主義経済政策を展開。国内経済を浮揚するためだった。同政権時には、(1)政策金利引き下げに加え、(2)プレソルト(深海底岸塩層下)新規鉱区での石油公社(ペトロブラック ジャック 勝率ス)の権益30%保持義務撤廃、(3)入札での国産品使用義務緩和、(4)新自動車政策「Rota 2030」発表、などが相次いだ。先進技術・資機材の輸入円滑化が進められたことになる。
投資受け入れは、価格ピーク時後も好調持続
一方で、コモディティースーパーサイクルは、ブラック ジャック 勝率と中南米の直接投資受け入れにどう影響したのか。
1980年ピーク時のブラック ジャック 勝率と中南米の直接投資受け入れ額GDP比をみると、「奇跡の70年代」には一貫して好調。1980年に一時落ち込んだ後、1982年まで好調が持続した。しかし、さらにその後は、急激に落ち込んだ(図8参照)。
世界の直接投資受け入れ額GDP比を全世界と対比してみても、ブラック ジャック 勝率や中南米の直接投資受け入れ額は1970年代から1985年まで大きく上回った(アウトパフォーム、図9参照)。
しかし2008年および2011年ピーク時には、様相が全く異なる。確かに、ピーク時にかけてブラック ジャック 勝率と中南米の直接投資受け入れ額GDP比は増加した。しかし、世界の直接投資受け入れ額GDP比を分母とした比率ではブラック ジャック 勝率と中南米のGDP比直接投資額はアウトパフォームしなかった(図8、9参照)。しかも、ピーク後に世界の直接投資額GDP比が落ち込んだのにもかかわらず、ブラック ジャック 勝率と中南米に限っては直接投資額GDP比が好調を持続した。コモディティー価格低下局面にもかかわらず、だ。
中国・米国の投資は地政学的重要性を踏まえた可能性
当時のブラック ジャック 勝率の直接投資受け入れ額の業種別シェアの推移をみると、興味深いことが分かる。
2008年コモディティー価格ピーク前は、資源食糧投資や内需拡大による製造業投資が活発化、自動車生産など製造業投資は2012年ごろまで活発だった(図10参照)。ここまでの傾向は、1980年ピーク時と類似している。その後のコモディティー価格下落基調の中では、電力、通信などのインフラや金融部門への投資比率が高まった。
これらインフラ投資や金融部門への投資拡大の担い手は、米国企業または中国企業だった。ブラック ジャック 勝率経済省(当時)が発行した2019年4~6月「外国投資速報」(注2)によると、2009年までの対ブラック ジャック 勝率投資は欧米または日本企業によるものが中心だった。片や中国は、資源・エネルギー以外、目立った投資実績がなかった。中国の投資が急増したのは、2010年以降になる。配電企業買収などの電力投資や、金融、運輸投資が加わった(表3参照)。
また米国企業は、2009年のコモディティー価格ピーク前後いずれにかけても、積極的な投資を継続、ピーク後は通信、金融(医療保険サービス)、製造業投資が目立っている。
では、なぜコモディティー下落基調にもかかわらず、米中企業の投資が活発化したのか。
中国は2014年、中国・ラテンアメリカ・カリブ共同体フォーラムを結成した。ラテンアメリカ・カリブ諸国との貿易投資、融資、人的・技術交流やインフラ投資を推進するというのが、その眼目だ。設立理由として、「(中国とラテンアメリカ・カリブの)両地域は近年急成長を遂げ、共通利益が拡大。重要な協力パートナーで、大きな発展機会がある」ことが挙げられた。中国需要が牽引したコモディティー価格高騰で経済成長を遂げたブラック ジャック 勝率・中南米市場に注目し、中国が地政学的な重要性を引き上げ、中長期的なインフラ投資を行ったことが要因の1つとみられる。2017年から中国が推し進める「一帯一路」でも、対象地域が中南米まで延伸されたことも、注目される。
一方、米国企業のブラック ジャック 勝率投資拡大には、様々な要因がある。その1つとして2010年、米国ブラック ジャック 勝率貿易・経済協力協定(Brazil-USTEC 2011)が締結されたことが寄与した可能性があるだろう。ちなみにBrazil-USTECは、貿易投資の環境整備を協力して推進することを目的にしている。
コモディティー価格上昇で日本企業のブラック ジャック 勝率進出活発化
最後にコモディティースーパーサイクルと日本企業によるブラック ジャック 勝率への事業展開の関係を見てみる。
(1)1980年コモディティー価格ピーク
在ブラジル日本大使館作成の「日本・ブラジル経済交流の歴史 」によると、日本企業によるまとまったブラジル進出は、1950年代に始まった。ブラジルの輸入代替工業化に伴い、第1次ブームの様相を呈した。当時、トヨタ(最初のブラック ジャック 勝率工場)、造船(イシブラス)、製鉄(ウジミナス)、繊維、銀行、商社などが進出した。
その後、1980年のコモディティー価格ピーク前の1964~1974年(ブラック ジャック 勝率の奇跡)に第2次進出ブームが起きた(注3)。第2次ブームは、セラード農業開発、カラジャス鉄鉱山開発、ツバロン製鉄所建設、アマゾン・アルミニウム工場、セニブラ紙パルプ開発などの大型のナショナルプロジェクトとして実施されたのが、その特徴だ。さらには、大規模な投資とともに多くの分野で日本企業が進出し、1970年代末の進出日系企業数は500社に達したとされる。
ブラック ジャック 勝率日本商工会議所(注4)の進出日本企業会員数をみると、1970年の79社が1980年には215社と2.7倍増となっている(図11参照)。半面、ブラック ジャック 勝率への進出企業数の急増とは対照的に、ブラック ジャック 勝率への輸出額は、同国の輸入代替工業化政策に伴う輸入規制で伸び悩んだ(図12参照)。
(2)2008年と2011年のコモディティー価格ピーク
日本からブラック ジャック 勝率への輸出額をみると、2000年代は2002年をボトムに増加。2008年にピークとなり、翌年は減少したが再び2013年まで高水準が続いた(図12参照)。2013年は、ブラック ジャック 勝率の自動車生産台数が371万台のピークを迎えた年に当たる。
日本の対ブラック ジャック 勝率主要輸出品の推移をみると、主力品の機械類、自動車とその部品、鉄鋼製品などが2008年(コモディティー価格のピーク年)まで増え続けた。2009年にいったん減少後、2011年にピークを示した(図13参照)。
もっとも、一様に増加していったわけではない。その中身をみると、2004年から2008年にかけて、乗用車(注5)、自動車部品、自動車エンジン、ベアリング・ギアの輸出額がそれぞれ5.1倍、3.4倍、3.4倍、2.4倍に膨れ上がった。しかしその後は、2011年までほぼ頭打ちになった。2009年以降は、2010年の建設機械輸出や、2012年の自動車現地生産拡大に伴う自動車用亜鉛メッキ鋼板生産ライン立ち上げに伴う圧延機など機械類の輸出が続いた。
2013年以降は、いずれの輸出も減少基調を示した。
ジェトロの中南米日系進出企業経営実態調査によると、ブラック ジャック 勝率進出日系企業の営業利益(見込み)は2001~2006年には黒字と答える企業が増える傾向にあったが、既に2008年からは悪化する傾向に転換している(図14参照)。
日本の対ブラック ジャック 勝率直接投資額をみると、2007年までは緩やかに増加。その後は2011年をピークに、2008年から2014年まで投資ブームが起きている(図15参照)。
日系企業のブラック ジャック 勝率進出動向をみると、外務省集計による進出日系企業数、ブラック ジャック 勝率日本商工会議所の進出日系企業数ともに2000年代後半に増加基調。2015年まで増加している。進出数の増加率が高かったのは2012年と2013年だ。ブラック ジャック 勝率自動車産業の生産拡大が、日本企業の進出を後押ししたと理解できる(図11参照)。
進出日系企業数が過去最大になったのが、2015年だ。2011年のコモディティー価格ピーク時から4年が経過して、同価格は下落していた。ブラック ジャック 勝率のGDP成長率も、ピーク年(2010年)の6.4%から5年が経過。2015年にはマイナス3.5%、2016年にマイナス3.3%と低迷していた時期に当たる(図1参照)。
結局、新たに進出した日本企業は、コモディティースーパーサイクルに伴うブラック ジャック 勝率絶頂期の経済成長をほとんど享受できなかった。厳しい経営を迫られる企業が少なくなかったことになる。進出日本企業の営業利益の改善は、コモディティー価格がボトムを打った2016年以降とコロナ禍(2020年)の後に持ち越されたのだ(図14参照)。
- 注1:
- コモディティー価格の長期上昇トレンドは維持されているとは言え、今後、リセッションの可能性も指摘されている。そうしたことから、足踏みする可能性はもちろんあり得る。今後、米国などで利下げが進展する局面で上昇がはっきりしていく可能性がある。
- 注2:
- 国際収支ベース統計で直接投資を読み取ると、親会社がタックスヘイブン経由で行う直接投資が把握できない。そのため、ブラック ジャック 勝率経済省(当時)は対象企業のウェブサイト、中国ブラック ジャック 勝率ビジネス協議会(CNBC)のデータベースや各報道をベースに、独自に集計を試みた。その結果が「外国投資速報」だ。
- 注3:
- 城西大学教授・川辺純子氏著「ブラック ジャック 勝率の経済発展と日本企業(2.5MB)」を参照。
- 注4:
- ブラック ジャック 勝率日本商工会議所は、国内最大都市サンパウロに所在。
- 注5:
- 自動車は、ブラック ジャック 勝率国内でも生産される。しかし、各メーカーの現地生産車種はコンパクトカー、小型車、小型スポーツ用多目的車(SUV)が中心。そのため価格帯の高い車種は、輸入販売で補っている。
- 変更履歴
- 文章を修正しました。(2023年11月30日)
- 第8段落
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(誤)1984年12月(ナポレオン戦争)、
(正)1814年12月(ナポレオン戦争)、
- 執筆者紹介
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ジェトロ調査部主幹
大久保 敦(おおくぼ あつし) - 1987年、ジェトロ入構。ジェトロ・サンパウロ事務所調査担当、ジェトロ・サンティアゴ事務所長、ブラック ジャック 勝率日本商工会議所理事、同副会頭、ジェトロ北海道地域統括センター長等を経て現職。