新規登録台数が前年比10.1%減
2021年の乗用車市場(ドイツ、前編)
2022年7月28日
2021年のドイツ国内の乗用車新規登録台数は、262万2,132台。前年比10.1%減だった。ドイツ3大自動車メーカー〔フォルクスワーゲン(VW)、メルセデス・ベンツグループ、BMW〕の2021年の全世界ブラック ジャック トランプ 無料は、国・地域によっては回復した。しかし、半導体や原材料の不足、「新型コロナ禍」の対策措置、サプライチェーンの分断などが影響を及ぼした。各社とも、低排出ガス車〔バッテリー式電気自動車(BEV)とプラグインハイブリッド車(PHEV)〕の普及を推進。カーボンニュートラルに向けて努力している。
国内乗用車新規登録台数が、前年比10.1%減
連邦自動車局(KBA)は2022年1月5日、2021年のドイツ国内の乗用車新規登録台数を前年比10.1%減、262万2,132台と発表した(2022年1月13日付ビジネス短信参照)。2020年は291万7,678台で、そこからさらに減少したかたちで、1990年の東西ドイツ再統一以降最少になった。
主要メーカー・ブランド別にみると、ドイツ3大自動車メーカー・ブランドが上位を占めた(表1参照)。VWは48万9,962台(前年比6.8%減)。シェア18.7%で今年も首位に立った。メルセデス・ベンツは22万5,392台(25.7%減)。減少幅がかなり大きかった。BMWも減少し、22万2,481台(7.7%減)だった。
日系メーカー・ブランドでは、トヨタが7万1,890台(6.8%減)。また、同社が展開する高級車ブランドのレクサスは、3,116台(11.7%減)だった。マツダは3万8,107台(14.1%減)、三菱自動車は3万6,939台(17.9%減)だった。日系メーカー・ブランドの中で唯一伸びをみせたのが、スズキだ。2万7,366台(22.1%増)となった。対照的に大きく落ち込んだのが、日産とホンダだ。前者は2万6,254台(24.5%減)、後者は7,906台(32.4%減)。このほか、スバルは4,671台(13.6%減)だった。
項目 | メーカー・ブランド | 台数 | シェア | 前年比 |
---|---|---|---|---|
上位10 メーカー ・ ブランド |
VW | 489,962 | 18.7 | △6.8 |
メルセデス・ベンツ | 225,392 | 8.6 | △25.7 | |
BMW | 222,481 | 8.5 | △7.7 | |
アウディ | 181,877 | 6.9 | △15.0 | |
オペル | 161,852 | 6.2 | 10.7 | |
シュコダ | 149,838 | 5.7 | △17.3 | |
フォード | 126,358 | 4.8 | △35.0 | |
セアト | 108,726 | 4.1 | △5.1 | |
現代 | 106,620 | 4.1 | 1.5 | |
ルノー | 105,944 | 4.0 | △15.5 | |
日系 メーカー ・ ブランド |
トヨタ | 71,890 | 2.7 | △6.8 |
マツダ | 38,107 | 1.5 | △14.1 | |
三菱自動車 | 36,939 | 1.4 | △17.9 | |
スズキ | 27,366 | 1.0 | 22.1 | |
日産 | 26,254 | 1.0 | △24.5 | |
ホンダ | 7,906 | 0.3 | △32.4 | |
スバル | 4,671 | 0.2 | △13.6 | |
レクサス | 3,116 | 0.1 | △11.7 | |
合計(その他を含む) | 2,622,132 | 100.0 | △10.1 |
出所:連邦自動車局(KBA)発表に基づきブラック ジャック トランプ 無料作成
このような中でも、低排出ガス車は増加した(表2参照)。BEVは35万5,961台(前年比83.3%増)、PHEVは32万5,449台(62.3%増)になった。この2者をあわせて全体に占めるシェアは、26.0%に上っている。同様に、ハイブリッド車も42万9,139台(31.1%増)と伸びた。シェアは16.4%だ。
ガソリン車は97万2,588台(28.6%減)だったが、シェアは依然として最大の37.1%だ。ディーゼル車も、52万4,446台(36.0%減)と落ち込んだ。シェアは、20.0%だった。
燃料 | 台数 | シェア | 前年比 |
---|---|---|---|
ガソリン | 972,588 | 37.1 | △28.6 |
ディーゼル | 524,446 | 20.0 | △36.0 |
ハイブリッド(注) | 429,139 | 16.4 | 31.1 |
プラグインハイブリッド(PHEV) | 325,449 | 12.4 | 62.3 |
バッテリー式電気自動車(BEV) | 355,961 | 13.6 | 83.3 |
液化石油ガス(LPG) | 10,118 | 0.4 | 54.6 |
圧縮天然ガス(CNG) | 3,916 | 0.1 | △45.3 |
合計(その他を含む) | 2,622,132 | 100.0 | △10.1 |
注:ハイブリッドには、プラグインハイブリッド(PHEV)を含まない。
出所:連邦自動車局(KBA)発表に基づきブラック ジャック トランプ 無料作成
ドイツ大手3社の中で、世界ブラック ジャック トランプ 無料に明暗
2021年の全世界でのドイツ3大自動車メーカーの乗用車ブラック ジャック トランプ 無料は、BMWが前年比で増加した。一方、メルセデス・ベンツグループとVWは減少した。また、3社の2021年ブラック ジャック トランプ 無料は、新型コロナ禍と部材・原材料の供給不足の影響を受け、2019年の水準まで回復していない。
BMWの2021年の全世界の乗用車ブラック ジャック トランプ 無料は、前年比8.4%増の252万1,514台で、2020年を上回った。新型コロナ禍以前の2019年比では0.6%減。ほぼ同水準というところまで回復している(表3参照)。国・地域別にみると、アジアが106万7,914台(8.3%増)と好調だった。そのうち、中国が84万7,935台(8.9%増)。2019年のブラック ジャック トランプ 無料も大幅に上回り、過去最高になった。欧州での販売も増加し、94万9,124台(3.9%増)だった。その中でドイツでの販売が振るわず、26万6,818台(6.4%減)にとどまった。米国でも伸びをみせ、36万8,032(19.5%増)台になった。
国・地域 | ブラック ジャック トランプ 無料 | 前年比 | 2019年比 |
---|---|---|---|
欧州 | 949,124 | 3.9 | △12.3 |
ドイツ | 266,818 | △6.4 | △19.3 |
英国 | 164,344 | 0.7 | △29.7 |
米州 | 451,747 | 19.0 | △4.5 |
米国 | 368,032 | 19.5 | △2.0 |
アジア(注) | 1,067,914 | 8.3 | 14.7 |
中国 | 847,935 | 8.9 | 17.0 |
その他 | 52,729 | 16.2 | 1.0 |
合計 | 2,521,514 | 8.4 | △0.6 |
注:「アジア」「中国」には華晨汽車集団(Brilliance)との合弁会社分を含む。
出所:BWM「2021年報告書(2022年3月16日)」「2020年報告書(2021年3月17日)」に基づきブラック ジャック トランプ 無料作成
BMWのブランド別にみると、全ブランドでブラック ジャック トランプ 無料が増加した。特に高級車のロールスロイスは、前年比48.7%増だった(表4参照)。
ブランド名 | ブラック ジャック トランプ 無料 | 前年比 | 2019年比 |
---|---|---|---|
BMW(注) | 2,213,790 | 9.1 | 1.3 |
MINI | 302,138 | 3.3 | △13.0 |
ロールスロイス | 5,586 | 48.7 | 9.5 |
合計 | 2,521,514 | 8.4 | △0.6 |
注:「BMW」には華晨汽車集団(Brilliance)との合弁会社分を含む。
出所:BMW「2021年報告書(2022年3月16日)」に基づきブラック ジャック トランプ 無料作成
一方で、3大メーカーの他2社は、いずれもブラック ジャック トランプ 無料減だった。
まずメルセデス・ベンツグループ(注1)は、209万3,476台(前年比5.0%減)だった。新型コロナ禍以前の2019年と比べると、14.8%減だ。メルセデス・ベンツのみの国・地域別にみると(表5参照)、欧州とアジア大洋州で減少した。ただし、北米では31万8,456台と、前年同水準を維持した。そのうち、米国が27万6,102台(0.4%増)だった。中国での販売は、75万8,863台(2.0%減)にとどまった。
国・地域 | 2021年 | 前年比 | 2019年比 |
---|---|---|---|
欧州 | 696,136 | △11.2 | △25.8 |
ドイツ | 213,105 | △25.5 | △33.1 |
北米 | 318,456 | 0.3 | △14.4 |
米国 | 276,102 | 0.4 | △12.7 |
アジア大洋州 | 1,009,763 | △1.6 | 3.3 |
中国 | 758,863 | △2.0 | 9.4 |
その他 | 30,607 | △19.7 | △40.7 |
合計 | 2,054,962 | △5.0 | △12.2 |
注:メルセデス・ベンツグループ全体の地域別ブラック ジャック トランプ 無料は発表されていない。
出所:メルセデス・ベンツグループ「2021年報告(2022年1月7日)」「2019年報告(2020年1月9日)」に基づきブラック ジャック トランプ 無料作成
VWは、3大メーカーの中でブラック ジャック トランプ 無料の回復が最も遅れている。2021年の全世界のブラック ジャック トランプ 無料は861万747台(前年比5.5%減)だった。2019年比では19.8%減になる(表6参照)。国・地域別にみると、中国で330万1,444台(14.1%減)と落ち込んだ。一方、北米では87万6,558台(11.8%増)と、好調だった。その主力市場である米国では64万7,521台(12.6%増)だった。欧州地域では、自国ドイツが95万9,748台(10.0%減)と不調だった。
国・地域 | ブラック ジャック トランプ 無料(注) | 前年比 | 2019年比 |
---|---|---|---|
欧州・その他地域 | 3,698,882 | △2.1 | △21.6 |
西欧 | 2,761,568 | △3.1 | △23.9 |
ドイツ | 959,748 | △10.0 | △27.6 |
英国 | 422,594 | 3.3 | △22.3 |
イタリア | 248,414 | 3.9 | △20.1 |
フランス | 238,366 | 7.1 | △22.6 |
スペイン | 220,148 | 3.0 | △27.9 |
中・東欧 | 624,815 | △4.3 | △18.8 |
その他地域 | 312,499 | 12.4 | △1.6 |
北米 | 876,558 | 11.8 | △7.6 |
米国 | 647,521 | 12.6 | △1.0 |
アジア大洋州 | 3,598,455 | △12.5 | △20.3 |
中国 | 3,301,444 | △14.1 | △21.9 |
日本 | 65,549 | △2.1 | △17.3 |
インド | 52,481 | 84.6 | 1.8 |
南米 | 436,852 | △0.8 | △20.8 |
合計 | 8,610,747 | △5.5 | △19.8 |
注:中国の合弁会社分を含む。VWブランド商用車を含む。
出所:VW「2021年年次報告書(2022年3月15日)」「2019年年次報告書(2020年3月17日)」に基づきブラック ジャック トランプ 無料作成
VWのブランド別にみると、特に高級車のランボルギーニ、ベントレー、ポルシェの販売が大きく増加した(表7参照)。セアトも47万531台で前年比10.3%増加したが、2019年の水準にまでは届かなかった。
ブランド名 | 2021年 | 前年比 | 2019年比 |
---|---|---|---|
VW乗用車 | 4,896,914 | △8.1 | △22.0 |
アウディ | 1,680,512 | △0.7 | △8.9 |
シュコダ | 878,202 | △12.6 | △29.3 |
セアト | 470,531 | 10.3 | △18.0 |
ポルシェ | 301,915 | 10.9 | 7.5 |
ベントレー | 14,659 | 30.8 | 33.2 |
ランボルギーニ | 8,405 | 13.1 | 2.4 |
ブガッティ(注) | 63 | △18.2 | △23.2 |
VWブランド商用車 | 359,546 | △3.2 | △26.9 |
合計 | 8,610,747 | △5.5 | △19.8 |
注:ブガッティのブラック ジャック トランプ 無料は2021年10月31日時点まで。
出所:VW「2021年年次報告書(2022年3月15日)」「2019年年次報告書(2020年3月17日)」に基づきブラック ジャック トランプ 無料作成
低排出ガス車販売は引き続き好調、研究開発も進む
大手3社とも、低排出ガス車に限っては販売好調だった。
VW
VWは、2021年の全世界での低排出ガス車ブラック ジャック トランプ 無料が76万2,456台(前年比80.0%増)だった。全車種の販売総台数(注2)構成比は8.6%。前年を4.0ポイント上回った。BEVは45万2,944台(95.5%増)。販売総台数構成比は5.1%。PHEVは30万9,462台(61.2%増)で、ブラック ジャック トランプ 無料構成比は3.5%だった。
VWの2021年の研究開発費は、155億8,300万ユーロ(12.2%増)となった。新モデルの開発のほか、電動化、デジタル化、新規技術、電動車向けモジュラープラットフォーム(共通設計・部品共通化のための基盤)の開発などを中心に取り組んだ。同社は2030年までに、BEVは約70モデルを投入することを目指している。すでに、約20モデルを提供済みだ。また2020年代末までに、ハイブリッド車を約60モデル、市場投入する予定だ。現在、30以上のモデルを提供している。さらに、2030年までに、同社すべてのモデルでBEVまたはPHEVを提供する予定だ。新車の二酸化炭素(CO2)平均排出量目標の達成に向けて(2022年3月24日付ビジネス短信参照)、2025年から世界で販売される新車の約2割をBEVとする予定。あわせて、市場の状況によっては、世界のBEVブラック ジャック トランプ 無料が年間200万台以上に及ぶ可能性があるとしている。
メルセデス・ベンツグループ
メルセデス・ベンツグループの主力ブランドであるメルセデス・ベンツでは、ブラック ジャック トランプ 無料、22万7,458台(前年比69.3%増)だった。過去最高を記録した。そのうち、BEVブランドの「メルセデスEQ」は4万8,936台を占め、前年の2.5倍に急増。低排出ガス車のグループ全体の販売台数構成比は10.9%に拡大した。また、スマートと小型商用車を含む全世界のBEV販売台数も、9万9,301台(90.3%増)になった。
同社が掲げる目標は、(1)2025年までに、低排出ガス車の構成比を5割まで引き上げること、(2)2030年までに、市場条件が許す地域で完全BEV化を実現すること、だ。2025年から、乗用車の設計思想となるアーキテクチャ(プラットフォーム)をBEV向けに限る。これにより、全てのモデルでBEVを選択可能にするとしている。加えて、再生可能エネルギー(再エネ)由来の電力での充電を進めるべく、欧州に約30万カ所の公共充電施設を整備する。
同社では、2021年の研究開発費が、91億500万ユーロ(前年比5.7%増)だった。配分されたのは、主として電動化、デジタル化、自動運転技術などの分野だった。2022年から2026年にかけて、ゼロエミッション化やソフトウェア化への転換に、600億ユーロ以上投資する予定とされる。製品化も進み、2021年のうちにBEVが4モデル投入済みだ。また、2022年にはSUV(スポーツ用多目的車)型BEVとして、「EQS」と「EQE」を投入する。
BMW
BMWでも、ブラック ジャック トランプ 無料、32万8,314台(前年比70.4%増)だった。過去最高を記録した。その結果、2021年の乗用車販売に占める低排出ガス車の割合は13.0%だった。特にBEVの販売が好調で、10万3,854台(2.3倍)に急増した。乗用車販売に占める割合は4.1%で、2020年比で2.2ポイント上昇した。PHEVは22万4,460台で、51.5%増加した。
BMWは2021年下期に、BEVモデル「BMW iX」と「BMW i4」を市場投入した。これによって、2021年中にBEVとPHEVを合計14モデル、ラインアップしたことになる。特にBEVモデルの投入は、なおも続いており、2022年4月には「BMWi7」を発表、2022年11月に「BMW iX1」の販売が予定されている。
燃料電池車投入に向けた試みも見られる。2021年には、「BMW iX5 Hydrogen」の実地試験を欧州で開始。2022年末からは、小規模での生産を行う予定だ。市場の状況や条件によっては、2020年代後半に商業生産も検討するとしている。
なお、同社が掲げる目標は、(1)世界の乗用車ブラック ジャック トランプ 無料に占める低排出ガス車の構成比を、2025年までに少なくとも30%にする、(2)世界の乗用車ブラック ジャック トランプ 無料に占めるBEV構成比は、2030年までに少なくとも50%、(3)今後10年間で、BEVを約1,000万台販売、というものだ。
- 注1:
- 同社は2022年2月、社名を「ダイムラー」から「メルセデス・ベンツグループ」に変更した。
- 注2:
- 乗用車に、VWブランド商用車のブラック ジャック トランプ 無料を加えた合計が861万747台。これに、その他商用車のブラック ジャック トランプ 無料を合計した888万1,957台。
2021年の乗用車市場(ドイツ)
- 新規登録台数が前年比10.1%減
- 今後に不透明感も、積極的にESG経営
- 執筆者紹介
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ブラック ジャック トランプ 無料・ミュンヘン事務所
クラウディア・フェンデル - 2020年よりブラック ジャック トランプ 無料・ミュンヘン事務所で調査および地域間交流を担当。